大黒屋 (桑名市)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
大黒屋
店舗概要
所在地 511-0101
三重県桑名市多度町柚井1798
座標 北緯35度08分06.1秒 東経136度37分55.2秒 / 北緯35.135028度 東経136.632000度 / 35.135028; 136.632000 (大黒屋)座標: 北緯35度08分06.1秒 東経136度37分55.2秒 / 北緯35.135028度 東経136.632000度 / 35.135028; 136.632000 (大黒屋)
開業日 享保年間(1710年~1736年)
最寄駅 養老鉄道養老線多度駅
テンプレートを表示

大黒屋(だいこくや)は、三重県桑名市多度町柚井にある料理店。享保年間(1710年~1736年)創業[1][2]

歴史[編集]

敷地内

享保年間(1710年~1736年)創業[1][2]。初期は多度大社の参詣者のための旅籠だった[3]。なお、安政3年(1856年)創業とされることもある[4]

江戸時代後期には料理などの川魚料理を出すようになった[3]。大黒屋の代々の当主は儀平という名を襲名し、1963年(昭和38年)時点では5代目儀平が大黒屋を営んでいた[1]。敷地面積は約1000坪であり、建物の他に日本庭園を有する[2]。店内には桑名まちかど博物館に登録されている「大黒屋旅の資料館」がある[3]

食通として知られる作家の池波正太郎は、大黒屋の鯉料理に満足して二日連続で通ったことがある[3]。1955年頃までは木曽三川で獲られた鯉を用いていたが、現在は他県産の鯉を仕入れている[3]。2000年代後半まで、大黒屋の池には全長3メートルにも及ぶ推定年齢130歳の鯉がいた[5]

2017年3月にTBS系で放送されたドラマ『LEADERS 2』ではロケ地となった[6]。2019年の映画『アルキメデスの大戦』でもロケ地となり[6]、主人公らが出会う舞台となる老舗料亭として登場した[7]。2019年に刊行された『ミシュランガイド東海版・愛知(名古屋)2019』では、ミシュランプレート(ミシュランの基準を満たした料理)に選ばれた。

多度大黒屋の鯉料理
庭園の池水清冽にして無数の鯉を養ひあり、其鯉は年中卵を孕み居り「鯉こく」の評判高く、名物の一に数へらる。 — 『養老鉄道案内』養老鉄道、1919年[8]

料理[編集]

料理に用いる鯉はまず群馬県で成長させられ、次いで養老山系の伏流水を用いた大黒屋の池で1年以上飼育されて臭みが抜かれる[5]

メニューは数種類のコース料理のみとなっており、西京味噌による鯉こくや、わさび醤油で食べる鯉の洗い白子の煮物などが含まれている。[要出典]

私もずいぶん、鯉料理を食べてきたが、これほどに多彩な料理ができようとは思ってもいなかった。おそらく、この『大黒屋』にしてはじめて出来得る『芸』なのではあるまいか。こころみに、献立をしるしておこう。すべてが鯉料理である。まず、鯉の皮をそぎとり、はるさめと共に酢の物にした前菜が出た。鯉の皮が、これほど脂濃いものとは知らなかった。うまい。つぎに。アバラ肉をたたいて団子にし、これを揚げたものと、小さな魚田二片と、雄の鯉の肝の煮つけが出た。 — 池波正太郎『食卓の情景』新潮社、1980年[9]

主な来店者[編集]

アクセス[編集]

脚注[編集]

  1. ^ a b c 饗庭義門『多度町史』多度町教育委員会、1963年、pp.124-126
  2. ^ a b c 大黒屋 桑名市観光サイト
  3. ^ a b c d e 大黒屋 ニッポン旅マガジン
  4. ^ a b c d 三重フィールド研究会『三重県の伝統料理』三重県良書出版会、1982年、pp.1-4
  5. ^ a b 大川学園学園長 大川吉崇 多度大社を詣でたのちに大黒屋で食事 まなびの山頂、2010年9月
  6. ^ a b 鯉料理大黒屋 桑名市
  7. ^ 「アルキメデスの大戦」に登場 桑名のコイ料理店「大黒屋」 主人公らが出会う舞台に 三重”. 毎日新聞(地方版) (2019年7月30日). 2019年8月28日閲覧。
  8. ^ 『養老鉄道案内』養老鉄道、1919年
  9. ^ 池波正太郎『食卓の情景』新潮社、1980年

参考文献[編集]

  • 池波正太郎『食卓の情景』新潮社、1980年
  • 池波正太郎『包丁ごよみ』新潮社、1991年
  • 三重フィールド研究会『三重県の伝統料理』三重県良書出版会、1982年
  • 三重県教育委員会『三重県近代和風建築総合調査報告』三重県教育委員会、2008年
  • 小早川道子「伊勢参宮と『伊勢鯉』」『伊勢民俗』伊勢民俗学会、2020年、第49・50号

外部リンク[編集]