大三冠

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大三冠(だいさんかん)は、日本の囲碁棋戦における七大タイトル(棋聖名人本因坊王座天元碁聖十段)のうち、2023年まで特に上位とされていた三大タイトル(棋聖・名人・本因坊)に同時に在位すること[1][注 1]。達成したのは趙治勲井山裕太の2名のみである。

この頁では、それに次ぐ名人本因坊(めいじんほんいんぼう)についても記載する。

歴代大三冠[編集]

棋士 生年 期間 合計
1 趙治勲 (1956-06-20) 1956年6月20日(67歳) 1983年3月18日-7月28日 133日 1104日
1996年11月8日-1999年7月6日 2年240日
2 井山裕太 (1989-05-24) 1989年5月24日(34歳) 2013年10月17日-2016年11月3日 3年17日 1493日
(最新就位の時点)
2017年10月17日-2018年11月2日 1年16日
2020年10月14日-2022年3月18日 1年155日

備考[編集]

  • 小林光一は約5年間棋聖と名人の二冠だったものの本因坊位が取れず大三冠にも名人本因坊にもなれなかった。3度挑戦するも3回とも趙治勲に阻まれている。
  • 一力遼は棋聖在位中の2023年、7番勝負制最後となった第78期本因坊戦で井山裕太から本因坊を奪取し、名人を獲得すれば「最後の大三冠」となるところだったが井山との挑戦者決定プレーオフに敗れ挑戦はならず、これをもって大三冠の歴史も終了となった[2]

名人本因坊[編集]

名人と本因坊に同時に在位することを指して「名人本因坊」と呼ぶ。棋聖と名人や、棋聖と本因坊の同時在位については特に呼称されることはない[1]井山裕太は、その理由を大きなタイトルが名人と本因坊の2つだったかつての時代の名残ではないかと推測している(名人の起こりが江戸時代から、本因坊も戦前からあるのに対し、棋聖を含む他の5つは戦後に創設された)[1]

歴代名人本因坊[編集]

棋士 生年
1 坂田栄男 (1920-02-15) 1920年2月15日 1963-1964
2 林海峰 (1942-05-06) 1942年5月6日(81歳) 1969
3 石田芳夫 (1948-08-15) 1948年8月15日(75歳) 1974
4 趙治勲 (1956-06-20) 1956年6月20日(67歳) 1981-1982
1996-1998
5 張栩 (1980-01-20) 1980年1月20日(44歳) 2004
6 高尾紳路 (1976-10-26) 1976年10月26日(47歳) 2006
7 山下敬吾 (1978-09-06) 1978年9月6日(45歳) 2011
8 井山裕太 (1989-05-24) 1989年5月24日(34歳) 2013-2015
2017 2020 2022

三大タイトルの歴代在位者[編集]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 他の七大タイトルと三大タイトルの違いとしては、他の七大タイトルが挑戦者をトーナメントで決定するのに対し三大タイトルは総当りのリーグ戦を採用していた点や、他の七大タイトルの挑戦手合は1日制の五番勝負であるのに対し三大タイトルは2日制の七番勝負であった点などが挙げられる。また、賞金額も、大三冠だけで総額1億円を超えるなど、大きな開きがあった。

出典[編集]

  1. ^ a b c 史上2人目! 井山裕太九段が達成した「大三冠」とは”. NHKテキストビュー. 2019年6月25日閲覧。
  2. ^ 一力棋聖が初の本因坊獲得 最終局、辛抱の末に逆転 河北新報 2023年7月20日