内奏

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内奏(ないそう)は天皇に対して国務大臣などが国政の報告を行うことである。

概要

大日本帝国憲法下では、天皇は統治権の総攬者であったため、内奏は非常に重要な意味を持っていた。

日本国憲法が施行され、天皇が象徴となった現在、内閣は天皇に対しての責務を負っていないため、内奏を行う必要性はない。しかし、芦田内閣時に内奏について内閣総理大臣によるもののみとし閣僚によるものを廃止したが、第2次吉田内閣で閣僚による内奏が復活し、現在においても首相をはじめとした閣僚による内奏は不定期ながら行われている。政府は内奏について「天皇の教養を高めるために閣僚が所管事項の説明を行う」としている[1]

また、内奏に近い国政報告として、高級官僚(各省の事務次官や局長)や学者による「進講」がある(進講とは、天皇や貴人の前で学問の講義をすること)。

天皇の政治利用を避けるため、内奏や進講の内容については明かさないことが慣行となっており[2]、口外することは重大なタブーとされる。以下に主な事例を挙げる(肩書きはいずれも当時のもの)。

  • 1973年5月、増原惠吉防衛庁長官が防衛問題に関する内奏を漏らし、長官辞任に追い込まれた(増原内奏問題[3]
  • 2001年、田中眞紀子外務大臣が内奏を漏らしたことが一部メディアで取り上げられたものの、本人はこれを否定している[3]。週刊誌は「本当なら切腹もの」などと書きたてた[3]
  • 2009年12月27日、テレビ朝日サンデープロジェクト』に出演した亀井静香が、「先日、天皇陛下殿下にお会いしたとき、権力の象徴であった江戸城(現皇居)にお住まいになられるのではなくて、京都か、あるいは(亀井の地元の)広島とかに(お住まいになれば)と恐れ多くも申し上げた」と、天皇との会話内容を明らかにした[4]
  • 2010年11月25日には前原誠司外務大臣が民主党のグループの会合で最近天皇に進講したことを明かし、前原が「陛下は外交安保にかなり興味をもたれていた」と語ったことを出席者が明らかにした[2]。ただし、前原は進講の内容には言及しなかったという[5]

出典

関連書籍

関連項目

外部リンク