二審制

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二審制(にしんせい)とは、裁判において確定までに上訴することができる裁判所が1階層あって、裁判の当事者が希望する場合、合計2回までの審理を受けることができる制度をいう。

日本

日本では三審制が基本であるが、以下の裁判では二審制となっている。

  1. 刑法第2章「第二章」に規定されている内乱罪に関する訴訟(第一審・高等裁判所→第二審・最高裁判所
  2. 公職選挙法第15章「争訟」に規定されている選挙に関する行政訴訟(第一審・高等裁判所→第二審・最高裁判所)
  3. 公職選挙法第25条に規定されている選挙人名簿の登録に関する行政訴訟(第一審・地方裁判所→第二審・最高裁判所)
  4. 地方自治法第74条の2に規定されている市町村の条例の制定又は改廃の請求者の署名簿の署名に関する行政訴訟(第一審・地方裁判所→第二審・最高裁判所)
  5. 特許法第178条に規定されている審決等に対する行政訴訟(第一審・知的財産高等裁判所→第二審・最高裁判所) 商標意匠実用新案についても準用
  6. 電波法第96条の2に規定されている総務大臣の処分についての異議申立てのに対する決定の取り消しに関する対する行政訴訟(第一審・東京高等裁判所→第二審・最高裁判所)
  7. 鉱業等に係る土地利用の調整手続等に関する法律第96条の2に規定されている公害等調整委員会裁定及び裁定の申請の却下の決定に対する行政訴訟(第一審・東京高等裁判所→第二審・最高裁判所)
  8. 日本国憲法の改正手続に関する法律第127条に規定されている国民投票無効の訴訟(第一審・東京高等裁判所→第二審・最高裁判所)
  9. 最高裁判所裁判官国民審査法第36条に規定されている審査無効の訴訟及び第38条に規定されている罷免無効の訴訟(第一審・東京高等裁判所→第二審・最高裁判所)
  10. 弁護士法第16条に規定されている登録拒否等に対する訴訟及び第61条に規定されている弁護士の懲戒に関する訴訟(第一審・東京高等裁判所→第二審・最高裁判所)
  11. 外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法第62条に規定されている登録拒否等及び懲戒に関する訴訟(第一審・東京高等裁判所→第二審・最高裁判所)

また、三審制の裁判であっても、最高裁判所裁判官の定員がわずか15名と極端に少ない日本では上告理由が著しく制限されており、上告のほとんどは「上告理由にあたらない」として棄却されてしまうため、日本の司法は事実上二審制に等しいと主張する者もいる [1][2]

中国

中国の裁判所は下から基層人民法院・中級人民法院・高級人民法院・最高人民法院の四階層が存在するが、事件の種類によって裁判が開始される法院の階層が異なり、裁判は二審制である。たとえば基層人民法院から開始される裁判は中級人民法院までで審理が終了し、高級人民法院や最高人民法院へ審理を移すことは認められない。ただし、日本の裁判所ではほとんど認められない再審が中国では広く適用されており、実質的には三審制に近いとも言われている[3][4]。また、死刑の判決に関わる裁判だけは例外的に三審制が採用されており、裁判自体は中級人民法院から開始されるが、最終的に被告人を死刑とするか否かは最高人民法院の判決を待たなければならないと定められている[5]

脚注

  1. ^ 参議院会議録情報 第180回国会 法務委員会 第10号
  2. ^ 久保井総合法律事務所 最高裁判所の審理状況 ~事実上の二審制?~
  3. ^ 中国の審級制度改革について -三審制導入を展望して-
  4. ^ スプリング法律事務所 上海便り① ~中国の民事裁判制度~
  5. ^ 田中信行研究室 中国法へのアクセス 中国の死刑制度

関連項目