与党

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与党(よとう)とは、政権を構成し行政を担当する政党のこと。行政府を与る(あずかる)あるいは与する(くみする)政党の意味である。一般には内閣を組織している政党を指す。内閣が一党で組織される場合には単独内閣、内閣が複数党で組織される場合には連立内閣と呼ばれ、また、内閣には加わらないものの内閣の方針を基本的に支持する形をとる場合には閣外協力と呼ぶ[1]。対義語は野党

概説

与党の要件は党として現在の政権を恒常的に支持し、政権協定などの形で参与することである。日本では一般的には政権を担っている政党を指して用いられている[2]

議院内閣制のように議会のみが選挙により選出され内閣はそれを基盤として成立し民意が一元的に表れるシステムを一元代表制と呼ぶ[3]英連邦王国や日本、ドイツなどの議院内閣制の国においては、行政府の存立には議会(多くは下院)の信任を要し、通常、議会多数派が政権を担い与党となっている。イギリスでは与党は政権党(government)、野党は反対党(opposition)と呼ばれる[4]。一般に議院内閣制の下では与党は基本的に議会で多数を占めているが、与党内の分裂あるいは連立与党間の連立解消も生じることがあり[5]、これによって少数与党に転落しているケースもある。また英連邦王国など、元首がまず内閣を任命し、後に議会が信任の可否を判断する制度の国でも、連立工作で過半数を得た勢力がない場合に当初より少数与党の内閣が発足する場合もある。明治憲法下の日本において憲政の常道により内閣が任命されていた時代では、過半数を制しているか否かに関わらず衆議院第一党が内閣を構成し、政局により内閣が倒れた場合は第二党が内閣を構成していたため、発足当初からの少数与党のケースが頻発した。冒頭の通り、日本では「与党」は一般的には政権を担っている政党を指して用いられているが、イギリスなどとは異なり、日本では「政府・与党連絡会議」のように政府(government)とは区別して用いられているとの指摘がある[6]

これに対してアメリカ型大統領制のように大統領首長)と議会とは別々に選出され民意が二元的に表れるシステムは二元代表制と呼ばれる[3]。このような政治制度の場合には必ずしも議会多数派が政権を担っているわけでなく、また、議会が二院制であれば上下両院で多数派が異なっていることもある。アメリカでは議会の多数政党と大統領の所属政党が一致するとは限らず、また、政党を基準として議会の多数派あるいは少数派といった分け方がなされることもあるが、上下両院で多数派が異なっていることも多いということもあって、通常、「共和党」あるいは「民主党」といった政党の固有名詞が使われるにとどまる[4]。アメリカの政治ニュースが日本で報道される場合に「○○政権の与党・○○党」といった表現が用いられることがあるが、アメリカではこれに対応する表現は見つけがたいとされる[4]。また、日本の地方公共団体も二元代表制であるが、首長が無所属の場合にも、議会でそれを支持している政党あるいは会派という意味で「与党」の語が用いられていることがある[7]

なお自由選挙が行われていないとされる国における執権政党は与党とは呼ばれない。ヘゲモニー政党制を参照。

政権を長く担当した与党

脚注

参考文献

  • 飯尾潤『日本の統治構造―官僚内閣制から議院内閣制へ』中央公論新社(中公新書)、2007年。ISBN 9784121019059 
  • 西尾勝『行政学』(新版)有斐閣、2001年。ISBN 9784641049772 
  • 橋本五郎、飯田政之、加藤秀治郎『Q&A日本政治ハンドブック : 政治ニュースがよくわかる!』一藝社、2006年。ISBN 4901253794 

関連項目