三輪素麺

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三輪素麺の調理例。錦糸卵、海老、シイタケが添えてある。

三輪素麺(みわそうめん)は、奈良県桜井市を中心とした三輪地方で生産されている素麺(そうめん)で、特産品となっている。三輪地方はそうめん発祥の地とも言われる。

製造の始まり

6世紀から7世紀に仏教伝来と共に小麦栽培・製粉技術が伝えられたとされている。 伝説によると大和三輪において紀元前91年(崇神天皇7年)、大物主命の五世の孫である大田子根子命大神神社の大神主に任ぜられ、その十二世の孫である従五位上大神朝臣狭井久佐の次男穀主が初めて作ったという。

製法と特徴

店舗で売られている「神杉」「緒環」「誉」。同値だと銘柄により分量に差がある

原料に小麦粉を使い極寒期に手延べ法により精製したもので、腰のしっかりした煮くずれしにくい独特の歯ごたえと舌ざわりの良さを特徴とする。製造から1年以上寝かしたものを『古物(ひねもの)』、2年以上は『大古(おおひね)』と呼ばれ珍重される。伝統ある三輪では、昔はそうめんのランク(細さ)を上から、

  • 神杉(かみすぎ)…極細の最高級品
  • 緒環(おだまき)・・・神杉より少々太い高級品
  • 瑞垣(みずがき)・・・誉より少し細い高級品
  • (ほまれ)・・・通常の三輪そうめん

の大きく4つに区分していた。しかし最近は各メーカーで独自に生産するそうめんの方が細くなり、この区分は不明確となっている。一般的には瑞垣(鳥居の金帯)、(鳥居の黒帯)という大まかな区分けがされている。

本来国内産の麦はグルテン量が少なく、細く作ることには不適なことから外麦が常態となった近現代で初めて今のような細さが実現できた、と考えるほうがよさそうである。 細さでは三輪そうめん山本の白髪・白龍、あるいは池利の蒼龍の糸など、細さを極限まで追求したこだわり麺もある。ただし白髪・白龍などは長崎県でOEM生産しており、厳密には三輪そうめんと表示されていない。

産地表示違反問題

2002年7月に大手の販売業者3社が長崎県産の素麺を『三輪そうめん』として販売していたとして、農水省の立入検査と改善の指導を受けている[1]

三輪に本社を置く各企業が作るそうめんと、生産者の団体「奈良県三輪素麺工業協同組合」が取り仕切るそうめんの2つがある。長崎県産を仕入れながら「三輪」の表示を使用していた大手そうめん業者に対し、工業協同組合は三輪で作られたものでしか「三輪そうめん」と呼べないとし、鳥居のマークをその依りどころとした。また組合として各企業に工業組合員生産のそうめんを仕入れるように依頼している。そのため各メーカーは自社で作る三輪そうめんとともに、組合を通したそうめんも販売している。メーカーは自社販売品のうち三輪での生産ではない場合、三輪そうめんとは表示しなくなった。大手メーカーでは長崎での委託生産の場合、水を三輪から持ち込むことにしており、生産現場(工場設備)としての機能を借りている感もある。長崎県産の素麺の市場価格が三輪と比較してずっと安価であったため、三輪素麺の安定供給のために常習的に使用していた。

脚注

関連項目

外部リンク