一塁手
一塁手(いちるいしゅ、英: First baseman)とは野球やソフトボールにおいて一塁(ファーストベース)周辺を守る内野手。ファーストとも呼ばれる。守備番号は3。英略字は1B(1st Basemanから)。
概要
一塁手の主な役割は他の野手からの送球を受け、一塁において走者をアウトにすることである。一塁に走者がいる場合は投手からの牽制球を受ける役割も担う。送球を受ける機会が非常に多いポジションであるため、確実に捕球する能力が不可欠である[1]。また、打球を他の塁へ転送したり、右翼からの送球を中継する機会もあるため、ある程度の肩の力も求められる。
一方で、他の内野手と比べてゴロやフライを処理する機会が少ないため、フィールディングの能力はあまり重視されない。ただし、打者のバントを処理する際は打球に対する素早い反応が求められる。守備力はあくまで付随的な物で、一塁手の本分は打撃力に拠る所が大きく、打線の中軸を担えるだけの破壊力が必需であり、30本塁打+OPS.900をコンスタントにクリアしてこそ一流である、という意見もある[2]。
左投げの選手の方が捕球後の動作をスムーズにできるため、内野手では唯一左投げの選手が就くポジションである。これは、左投げであれば打球を捕球した後に体の向きを変えずに二塁や三塁に転送することができ、牽制球を受けて走者にタッチする際も右手にミットを持っていた方が素早くできるからである。また、一般に長身の選手の方が送球をカバーできる範囲が広く、野手も的として投げやすいため有利とされている。
公認野球規則1.13で、一塁手はいわゆる「ファーストミット」の使用が認められている。一般にファーストミットは捕球のためのポケットが深く、バウンドしてくる送球を受け止められるように縦長になっている。ただし、使用が義務付けられているものではなく、通常のグラブで守備に就く選手もごく少数ながら存在する。
守備における負担が少ないため、他のポジションを守っていた選手が加齢による守備力の低下にともなって一塁手に転向したり、打撃力がある選手をバッティングに専念させるためにコンバートする例が多く見られる。プロ野球における前者の例としては田淵幸一(捕手)や山﨑武司(外野手)、後者の例としては王貞治(投手)、小笠原道大(捕手)が挙げられる。メジャーリーグにおいては、ノマー・ガルシアパーラ(遊撃手)、アルバート・プホルス(外野手)、スコット・ハッテバーグ(捕手)らが一塁手へのコンバートの例である。