マレイ・ゴールド

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マレイ・ゴールド
Murray Gold
ロンドンのスタジオでのマレイ・ゴールド
基本情報
出生名 マレイ・ジョナサン・ゴールド
Murray Jonathan Gold[1]
生誕 (1969-02-28) 1969年2月28日(55歳)[2]
出身地 イングランドの旗 イングランドロンドンポーツマス[3]
職業 作曲家
活動期間 1994年 -

マレイ・ジョナサン・ゴールドMurray Jonathan Gold1969年2月28日 - )は、イングランドの舞台・映画・テレビ音楽作曲家兼劇場・ラジオ脚本家。SFドラマドクター・フー』の音楽監督と作曲家を2005年から2017年まで担当していたことで有名である。英国アカデミー賞に5回ノミネートされている。

ポーツマスユダヤ教徒の家庭に生まれたゴールドは当初職業としてのドラマを追求し、趣味として音楽を書いて演奏していたが、ケンブリッジ大学フットライツでミュージカルディレクターになった際に音楽を主軸へ切り替えた[4]

テレビ[編集]

ゴールドはオリジナルテレビ音楽部門で英国アカデミー賞に5回ノミネートされており、その内訳は『虚栄の市英語版』(1999年)、英国版『クィア・アズ・フォーク』(2000年)、Casanova(2006年)、そして『ドクター・フー』で2回(2009年と2014年)である。英国アカデミー賞を受賞した映画『キス・オブ・ライフ英語版』では2003年にオーバーニュでフランス人審査員により第7回芸術モーツァルト賞(Mozart Prize of the 7th Art)を受賞した。また、彼は Royal Television Society によりテレビの音楽に関連する部門で4回ノミネートされた[3]

彼は『ドクター・フー』のかつての脚本家兼エグゼクティブ・プロデューサーであったラッセル・T・デイヴィスと過去に何度も共同で働いていた。具体的には Casanovaデイヴィッド・テナントが出演)や The Second Coming (クリストファー・エクルストンが出演)および『クィア・アズ・フォーク英語版』のシーズン1 - 2がある[3]。また、彼は Randall & Hopkirk (Deceased) でも付随的な音楽を担当している。同作では『SHERLOCK』の音楽監督でも知られるデヴィッド・アーノルドがテーマ曲を担当した。

ゴールドはチャンネル4のシリーズ『恥はかき捨て英語版』のテーマ曲を作曲し、時代劇 The Devil's Whore の作曲を担当した。その後ゴールドはBBC Oneで放送されたデイヴィッド・テナントのもう一つのシリーズ Single Father でも作曲を担当。オーケストラ用に曲を書くよりも、よりポピュラーな音楽スタイルのアンサンブルを選んだ。

2012年からマレイ・ゴールドは Last Tango in Halifax[5]。2014年にはBBCのテレビドラマ『マスケティアーズ/三銃士』で作曲を担当した。2019年、世界の政治的・文化的・技術的変化がどのようにあるイギリスの家族に影響を与えたかを描くドラマ Years and Years でデイヴィスと再び手を取った。

『ドクター・フー』と関連シリーズ[編集]

2005年から2017年までゴールドはBBCのSFドラマ『ドクター・フー』で音楽監督を務めた。彼はロン・グレイナー英語版が作曲した『ドクター・フー』のテーマ曲をアレンジし、番組の附随的な音楽を作曲した。ゴールドが作曲した第1シリーズと第2シリーズの音楽は Doctor Who: Original Television Soundtrack というタイトルでシルヴィア・スクリーンから2006年12月11日発売された。第二弾 Doctor Who: Original Television Soundtrack – Series 3 は2007年11月5日に、第三弾 Doctor Who: Original Television Soundtrack – Series 4 は2008年11月に発売された。また、彼は2007年クリスマススペシャル「呪われた旅路」でドラマ本編へ僅かなカメオ出演を果たした[6]。さらに、2008年から2010年にかけてのスペシャルシリーズの音楽は2010年10月4日に Doctor Who: Original Television Soundtrack – Series 4: The Specials というタイトルで発売され、11月8日にはDoctor Who: Original Television Soundtrack – Series 5 というタイトルで第5シリーズのサウンドトラックが発売された。

ゴールドがアレンジした『ドクター・フー』のテーマ曲は当初オリジナル版で使われていた "middle eight" の部分がなかったが、2005年クリスマススペシャル「クリスマスの侵略者」から復活した。ゴールドは番組の様々なエレメントに合わせてテーマを作曲しており、これにはドクターのテーマ2曲("The Doctor's Theme" と "The Doctor Forever")、ローズ・タイラーマーサ・ジョーンズドナ・ノーブルガリフレイマスターアストリッド・ペスサイバーマンダーレクがある。

2010年には第5シリーズに向けて再び『ドクター・フー』のテーマ曲をアレンジした。2010年のシリーズでは9代目ドクターと10代目ドクターのテーマ曲に置き換える形で11代目ドクターのテーマ曲("I Am The Doctor" と "A Madman With A Box")を作曲したほか、エイミー・ポンドサイルリアンダーレクのテーマを作曲した。また、サイバーマンのテーマは続投し、"Corridors and Fire Escapes" や "All the Strange, Strange Creatures" など再登場した音楽もある。

『ドクター・フー』の 2005年シリーズの彼の音楽はサンプリングされた音に大きく依存していたものの、「クリスマスの侵略者」以降番組の彼のその後のアレンジはオーケストラによるものとなり、しばしばBBCウェールズ交響楽団によって録音され、メラニー・パッペンハイム英語版らのボーカルで補われた[7]。オーケストラナンバーで最もよく知られた一つキャサリン・ジェンキンスによる 'Abigail's Song',で、2010年クリスマススペシャル『クリスマス・キャロル』で使用され、サウンドトラックは2011年3月に発売された。オーケストラの曲は予算が潤沢であることも手伝って1963年から1989年の『ドクター・フー』クラシックシリーズとは大きく対称的である[8]

また、ゴールドは『ドクター・フー』のスピンオフ The Sarah Jane Adventures や『秘密情報部トーチウッド』の音楽も手掛けており、後者ではベン・フォスター英語版と共に働いた。『秘密情報部トーチウッド』のサウンドトラックは Torchwood: Original Television Soundtrack というタイトルで2008年8月にリリースされた。彼は『ドクター・フー』のテーマ曲をアレンジして Totally Doctor WhoDoctor Who Confidential の仕様にもした。

2008年のBBCプロムスでのマレイ・ゴールド

ゴールドは『ドクター・フー』の音楽のスペシャルライブコンサートを3回開き、アレンジとオーケストラの演奏を行った。第1回の "Doctor Who: A Celebration" はカーディフウェールズ・ミレニアム・センターで2006年 に、第2回の 2008 Doctor Who Promロンドンロイヤル・アルバート・ホールにて2008年7月24日にBBCプロムスの一環として[9]、第3回 2010 Doctor Who Prom は再び同会場で2010年6月24日と25日にBBCプロムスの一環として開催された[10]。2010年3月には彼の『ドクター・フー』サウンドトラックがその年の2番目に優れた新エントリーとして、英国のラジオ局 Classic FM の栄誉殿堂となった[11]。2011年にも殿堂入りのままを維持したが3ランクダウンした[12]

ゴールドは2018年2月に、2005年から音楽監督を務めていた『ドクター・フー』の作曲家を辞任した。第11シリーズの音楽はセグン・アキノラ英語版が担当した[13][14][15]

映画・舞台・ラジオ[編集]

ゴールドは数多くのイギリス映画やアメリカ映画で作曲しており、英国アカデミー賞を受賞した『キス・オブ・ライフ英語版』や『ハウエルズ家のちょっとおかしなお葬式』、Mischief Night などがある[3]

2001年には2000年に Radio 3 で放送されたラジオ Electricityイミソン賞英語版を受賞[16]

2011年のイースターの土曜日に BBC Radio 3 で放送されたラジオ Kafka the Musical にはデイヴィッド・テナントが出演[17]。2013年ティニッスウッド賞英語版オリジナルラジオドラマ賞を受賞した[18]

脚注[編集]

  1. ^ Entry Information”. FreeBMD. Free UK Genealogy. 2015年4月24日閲覧。
  2. ^ @murraygold (2011年2月28日). "thank you :)". 2012年7月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。X(旧Twitter)より2011年2月28日閲覧
  3. ^ a b c d Murray Gold (composer bio)”. Manners McDade Artist Management. Manners McDade & McCleery Music Ltd (2007年). 2007年7月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2007年10月14日閲覧。
  4. ^ Rocker, Simon (2014年1月14日). “Barbican showcase for TV music producer”. The Jewish Chronicle. 2020年2月13日閲覧。
  5. ^ Gilbert, Gerard (2014年12月23日). “Sir Derek Jacobi on 'Last Tango in Halifax' and being just an ordinary fella”. インデペンデント. Independent Media Group. 2015年1月13日閲覧。
  6. ^ Doctor Who - Fact File - Voyage of the Damned”. BBC (2007年12月25日). 2007年12月26日閲覧。
  7. ^ Russell, Gary (2006). Doctor Who: The Inside Story. London: BBC Books. pp. 129–132. ISBN 0-563-48649-X 
  8. ^ Brown, Mick (1979年). “Music Ex Machina”. Radio Times, reprinted on mb21 web site. Mike Brown. 2007年10月14日閲覧。
  9. ^ Dr Who fans enjoy Proms special”. BBC (2008年7月27日). 2008年7月27日閲覧。
  10. ^ Proms Schedule 2010”. BBC (2010年4月27日). 2010年4月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年4月27日閲覧。
  11. ^ Classic FM Website”. Classic FM (2010年). 2010年12月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年3月20日閲覧。
  12. ^ "Hall of Fame 228" Classic FM 2011年6月22日閲覧。
  13. ^ O'Connor, Rory (2018年2月20日). “Doctor Who: Bradley Walsh WON'T work with two big stars after they confirm their exits”. Express. 2018年2月20日閲覧。
  14. ^ Jeffery, Morgan (2018年6月26日). “Doctor Who series 11 composer has been revealed”. Digital Spy. http://www.digitalspy.com/tv/doctor-who/news/a860312/doctor-who-series-11-composer-music/ 2018年6月26日閲覧。 
  15. ^ Martin, Dan (2018年6月27日). “Who is Segun Akinola? The composer reinventing the Doctor Who theme”. The Guardian. https://www.theguardian.com/tv-and-radio/2018/jun/27/who-is-segun-akinola-the-composer-reinventing-the-doctor-who-theme 2018年10月23日閲覧。 
  16. ^ Radio Drama Awards - Past winners”. The Society of Authors. 2013年12月10日閲覧。
  17. ^ Kafka the Musical”. BBC Radio 3. BBC (2011年4月). 2011年4月15日閲覧。
  18. ^ Winners of the BBC Audio Drama Awards announced”. BBC Media Centre (2013年1月27日). 2013年2月16日閲覧。

外部リンク[編集]