クィア・アズ・フォーク

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索

クィア・アズ・フォーク』(Queer as Folk)は、イギリスで製作され、その後アメリカリメイクされ放送された、男性同性愛者を主人公とするテレビドラマである。タイトルの「Queer as Folk」は、ウェールズ地方の "There's nothing as QUEER AS FOLK." (“普通の人ほど変わり者はいない”、転じて“人間はみな変わり者”という意味)に因んでいる。QUEER(クィア)は英語圏では同性愛者を指す用語(ゲイにとっては「ゲイ」を表す表現の一つ)なので、「家族のようなゲイ」という意味もかけたダブルミーニングになっている。

イギリスでは1999年に、アメリカ、カナダでは2000年から2005年まで放映された。後者は高い視聴率を獲得し、とくにカナダにおいて大きな成功を収めた。

本項では アメリカ版 の内容を記述する。


注意:以降の記述には物語・作品・登場人物に関するネタバレが含まれます。免責事項もお読みください。


目次

概要[編集]

シーズン1~シーズン5の全5シリーズで構成されており、同性愛をテーマにした作品では異例の大ヒットを記録した、同性愛ドラマの先駆けとも言える存在。2005年に放送終了した。

イギリス版をベースにアメリカの視聴者向けに製作し直したため、序盤のストーリーはオリジナルのままだが途中から展開が変わる。イギリス版よりシリーズが長いためか、アメリカ版の方が国際的な知名度・人気ともに高い。

友情恋愛セックス結婚離婚家庭家族仕事出産育児教育健康老化など、ごく身近で普遍的なテーマはもとより、差別児童虐待売春暴力犯罪テロリズムドラッグ政治社会貢献HIV宗教アイデンティティの確立など、よりグローバルかつ社会的なテーマをも同性愛者の若者たちを主人公に等身大で表現しており、コメディ俳優や実際にカミングアウトしているゲイ俳優を起用するなど、同性愛者や同性愛支持者などから強い支持を得たことが大ヒットに繋がった。

ゲイスポットバークラブを舞台に盛り込み、ゲイの "Trick" (ナンパ)など他の作品にはあまり見られない「ゲイの性生活」を積極的に表現。過激な性描写も特徴的。

ドラマ内で使われる音楽もゲイ受けを狙った曲を選出しており、サウンドトラックも発売されている。ドラマで使われているバックグラウンドミュージックには、ビョーク宇多田ヒカル(Utada)も使用されている。

撮影は主にカナダのトロントで行われた。これはトロントがゲイフレンドリーな土地柄という背景もあるが、ユニオンの権力が大きく撮影スタッフの人件費が高額なアメリカ国内での撮影を避けた、という経済的な事情も大きい。ただしこの番組の製作費は開始当初で1話当たり100万ドルに設定されており、低予算という規模ではない。

出演者だけでなく、スタッフにも同性愛者が多く参加している。同性愛者はショウビズ界にも少なからず存在するが、その多くは自らのセクシュアリティをもって社会にメッセージを投げかけるような制作活動は困難な状況。この番組では彼らに機会を与えるという目的もあり、アメリカのみならずカナダ・オーストラリア・イギリス・ニュージーランドなど英語圏の各国から同性愛者の映像スタッフが集められた。「ゲイによるゲイのための連続ドラマ」という特異なコンセプトであるため、キャスティングには相当な時間と労力を要した。とくに主人公ブライアン役は最後まで適任者がみつからず難航した。逆にジャスティン役は早期の段階で決定しており、オーディションに現われたランディ・ハリソンと初めて対面した製作者陣は「小学生にみえた」と述懐している(実際には当時22歳)。

日本での評価[編集]

海外同様、男性同性愛者を中心に認知されている。 しかし現在のところ日本国内では未放送であり、DVDも海外版が発売されているのみである。日本の通販サイトでも海外版を購入できるが、国内DVDデッキ(通常リージョン2)と海外版のリージョン(US版はリージョン1)が違うため、リージョン変更、またはリージョンフリーのデッキなどの設備が必要となる。さらに海外版では日本語字幕、日本語吹き替えもないため日本語版での発売を求める声も多い[1]

あらすじ[編集]

舞台は、ペンシルベニア州ピッツバーグのゲイスポット、リバティーアベニュー。

仲良しのマイケル、エメット、テッドは、夜ごとクルージング(男漁り)に繰り出すが、あまり目立つほうではない3人は、いつも美しいゲイたちをただ眺めているだけ。だが、マイケルの親友・ブライアンは違う。誰もが彼と寝たがり、彼も毎晩適当な相手と、その場限りの快楽を楽しむ。愛なんて信じない、セックスを信じる、恋人なんてまっぴらと公言して憚らないブライアン。

ある夜、ブライアンは、高校生のジャスティンと偶然出会う。当然のように彼を連れ帰り、ベッドを共にするのだが、ヴァージンだったジャスティンは、ブライアンに本気で恋してしまう。

同じ夜、ブライアンの親友・リンジーが、男の子を出産。レズビアンのリンジーは、ブライアンに精子の提供を受けて母になり、パートナーのメラニーと二人で子どもを育てていく。

いつまでも若く自由奔放に生きていたいと思うブライアンだが、未成年の恋人・ジャスティンと、実の息子の出現によって、人生の大きな転換期を迎える。

ブライアンに16年間も報われない密かな想いを抱き続けてきたマイケルにも転機は訪れ……。

登場人物[編集]

(括弧内は俳優名)

Brian Kinney (Gale Harold)
ハンサムでリッチで誰もが彼と寝たがるほどモテるピッツバーグ一ホットなゲイ。特定の恋人は持たず、1度寝た相手とは2度しない主義だが、ジャスティンは例外。マイケルとは14歳の時からの親友。異常にプライドが高く、自由奔放で自己中心的な性格で周囲と人間と衝突することもしばしばだが、時には良きアドバイザーの役割も果たす。両親と姉がいるが家族とはほぼ絶縁状態。一児の父。職業は広告代理店のエグゼクティブ。
Michael Novotny (Hal Sparks)
スーパーマーケットに勤めるコミック好きのオタク。後にコミックショップを経営することになる。ブライアンとは親友で、密かに友情以上の想いを抱きつづけている。性格は控えめ。温厚な性格で誰とも隔たりなく接することができるが、ブライアンに付きまとうジャスティンだけは良く思っていない。交際相手は年上が多く、恋人には積極的。母子家庭
Justin Taylor (Randy Harrison)
放送開始時は17歳の高校生だった。ブライアンにヴァージンを捧げて以来始終つきまとい、ついには同居までするようになる。素直で一途な性格だが、頭の回転が早く計算高い面もある。両親と妹がいる。絵の才能がある。学校でイジメを受けている。
Emmett Honeycutt (Peter Paige)
マイケルのルームメイト。クイーン、いわゆる「オカマ」。ゲイ向けのブティックで働いていたり、ハウスキーパーやパーティーコンパニオンのアルバイトをしたり、のちにはパーティーコーディネーターとしても活躍する。誰にでも優しくあたたかい性格。オシャレ。ミシシッピ州の貧困家庭で育った。
Professor Ben Bruckner (Robert Gant)
マイケルの恋人。カーネギーメロン大学教授小説家として執筆活動もしているが、思った成果が出ず、悩んでいる。HIVポジティブ。性格も外見も完璧と評判の好人物。ベン役のロバート・ガントはこのドラマへの出演をきっかけにカムアウト。「人生が変わった」と述べている[要出典]
Theodore 'Ted' Schmidt (Scott Lowell)
MBA自動車も自宅も持っているのに、いつも自分に自信がないゲイ。会計士として働いていたが、ポルノ好きが昂じてポルノサイトをたちあげる。ユダヤ人。エメットと仲が良い。趣味はオペラ鑑賞。
Melanie Marcus (Michelle Clunie)
人権弁護士。勝ち気な性格でブライアンとは犬猿の仲だが、仲間のピンチには強い味方となる。厳格なユダヤ教徒で、テッドと仲良し。
Lindsay Peterson (Thea Gill)
大学時代からのブライアンの親友。ブライアンから精子の提供を受けて男児をもうける。職業は美術教師で、ジャスティンにとってはよきアドバイザー。メラニーと同居している。両親が彼女の生き方をなかなか認めてくれないことや、ブライアンとメラニーの仲が悪いのが悩み。
Debbie Novotny (Sharon Gless)
マイケルの母親。ピッツバーグのゲイスポット、リバティーアベニューのダイナーウェイトレスをしている。世話好きでお人好しで、みんなのお母さん的キャラクター。息子のことを理解しており、PFLAGの活動に熱心。
Vic Grassi (Jack Wetherall)
デビーの弟(つまりマイケルの叔父)で元菓子料理人。後天性免疫不全症候群(AIDS)を発症していて無職のため、デビーの家に同居している。

脚注・出典[編集]

[ヘルプ]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]