ベーキングパウダー
ベーキングパウダーは、パンや焼き菓子に使われる膨張剤の一種で、膨らし粉とも呼ばれる。炭酸ガスを発生する重曹が基剤(ガス発生剤)[1]となり、酒石酸水素カリウム、リン酸二水素カルシウム (別名第一リン酸カルシウム)、酒石酸、焼ミョウバン、フマル酸、リン酸ナトリウム等のような酸性剤が重曹の分解を助ける助剤となる[1]。これに両者が保存中に反応しないように隔てておく遮断剤としてデンプンが配合される[1]。
水分が加えられる事で重曹と酸性剤が反応して重曹の分解が開始され、加熱によって分解は加速される。分解によって炭酸ナトリウム、炭酸ガス、水が生成するが、生地を膨らませる元になるのは炭酸ガスである。炭酸ナトリウムはアルカリ性で刺激ある苦味を示すが、酸性剤(助剤)等で中和され無味となる。多くのベーキングパウダーは、生地を練っている時と焼き上げる時の2回、膨らます作用を得られる[2]。
ベーキングパウダーはドイツ人の化学者、ユストゥス・フォン・リービッヒ(Justus von Liebig)の弟子の1人であるエーベン・ノートン・ホースフォード(Eben Norton Horsford)の手で1856年に研究が始められた[要出典]。ドイツ人薬剤師のアウグスト・エトカー(August Oetker)が1891年に売り出し[3]、現在でもドイツでは同じBackinの名で売られている[4]。エトカーは1903年に特許を取得している。
重曹との違い
重曹(ベーキングソーダ)との違いは、重曹は純粋な炭酸水素ナトリウム(ガス発生剤)であるのに対し、ベーキングパウダーは重曹に加えて助剤(酸性剤)や分散剤(遮断剤)も含む点にある[1]。両者は対象によって使い分けられる[1][2]。他に酸性の材料(ヨーグルト、チョコレート、バターミルク、はちみつ[2]等)が十分含まれる場合や、焼く時間が比較的短い(重曹が酸と反応する時間が短い)場合[5]は重曹が使われる。酸性の材料が少なかったり焼く時間が十分長い場合等は、ベーキングパウダーが用いられる[2][5]。業務用のベーキングパウダーは焼き物や蒸し物等の用途別に数百種類あると言われる[1]。
- 重曹が用いられる例:クッキー[2][5]、パンケーキ[5]、利休饅頭[1]、どらやき[1]等
- ベーキングパウダーが用いられる例:ケーキ[2]、マフィン[5]、ビスケット[2][5]、バターケーキ[1]、まんじゅうの皮[1]、イースト無しのパン[5]等
参照資料
- ^ a b c d e f g h i j 「重曹」と「ベーキングパウダー」の違い、東京ガス 食の生活110番Q&A
- ^ a b c d e f g What Is the Difference Between Baking Soda & Baking Powder?, About.com
- ^ Company History, Dr. August Oetker 社
- ^ Backin (Dr. August Oetker社の商品紹介)
- ^ a b c d e f g What is the Difference Between Baking Soda and Baking Powder?, wisegeek.com
関連項目
- ドライイースト(乾燥酵母)- ベーキングパウダーと同じくパンや焼き菓子の膨張剤として用いられ、発酵作用によりゆっくりとガスを発生させる。