プレドニゾロン
臨床データ | |
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胎児危険度分類 | |
法的規制 | |
識別 | |
ATCコード | A07EA01 (WHO) C05AA04 (WHO), D07AA03 (WHO), D07XA02 (WHO), H02AB06 (WHO), R01AD02 (WHO), S01BA04 (WHO), S01CB02 (WHO), S02BA03 (WHO), S03BA02 (WHO) |
KEGG | D00472 |
化学的データ | |
化学式 | C21H28O5 |
分子量 | 360.45 g·mol−1 |
プレドニゾロン(英: prednisolone)は、ステロイド系抗炎症薬の1つ。各種の疾患で処方されることが多いプレドニンは、塩野義製薬が発売しているプレドニゾロンの商品名である。
概要
プレドニン(プレドニゾロン)は、合成副腎皮質ホルモン製剤[1]であり、1955年(昭和30)に塩野義製薬(株)とアメリカ・シェリング社(米国)が技術援助契約を締結することによって、日本国内に初めて導入されたステロイド剤である。ステロイドは、抗炎症作用や免疫抑制作用などの薬理作用を有しており、さまざまな疾患の治療に幅広く用いられている。つまり、臨床各科において最も重要な薬剤の一つである。ちなみに、日本の診療ガイドラインや治療指針あるいは手引きを調べてみると、ステロイドが治療薬の一つとして記載されているガイドライン等は70余りに上っている[2]。
炎症の原因に関係なく炎症反応を抑制し、炎症のすべての過程において有効。非常に広範な疾患を抑えるのに有効なので数え切れないほど多くの疾患に適用になり、ほとんどの診療科で使われる。また炎症抑制作用だけでなくリンパ球を破壊するので異常リンパ球が増える疾患である急性リンパ性白血病や悪性リンパ腫では欠くことができず、リンパ球が関係するなど自己免疫疾患、アレルギー性疾患、移植片拒絶反応の治療でも用いられる。
他にプレドニゾロンが使用される疾患は急性炎症、慢性炎症、自己免疫疾患、アレルギー性疾患、ショック、痛風、メニエール病、突発性難聴、急性白血病、ネフローゼ症候群、移植片拒絶反応など枚挙にいとまがないほどである。しかし副作用も多彩で、免疫機能低下およびそれによる感染症、副腎皮質機能不全、クッシング症候群、胃潰瘍、神経症状、精神症状、骨粗鬆症、白内障、Na及び体液貯留(むくみ)、食欲増進、脂肪の異常沈着、ムーンフェイス(脂肪が付いて顔が丸くなる)、傷の治りが悪い、いらいら感、不眠その他枚挙にいとまがないほどである。
数え切れないほどの多数の疾患に非常に良く効くことと多彩な副作用は表裏一体でもある。
長期間プレドニゾロンを使用した場合、急に止めるとさまざまな離脱症状があるため、時間をかけて徐々に減薬していかないとならない(短期的な使用ならば、いきなり断薬した方が良い)。
ドーピングテストに於いては禁止薬物の一つに指定される物質である[3]。
商品名
プレドニゾロンは一般名称で、製薬会社各社から同じ薬剤がさまざまな商品名で売られている。形態も錠剤や注射薬があり、プレドニンのほかにプレドニゾロン錠、プレロン錠などがある。
特徴
脚註
- ^ 副腎皮質ホルモン(ステロイドホルモン)に関する研究は、1950年度ノーベル生理学・医学賞を受賞している
- ^ 「ステロイドへの取組み」『What is SHIONOGI(第3集)』SHIONOGI & CO.,LTD.(2011年12月)、pp.10-3.
- ^ ドーピング違反とならないための手引きIII (「禁止物質」と「安全な薬」について) 日本ダンススポーツ連盟
- ^ Listin J, et al. Mortality in rheumatoid arthritis: the impact of disease activity, treatment with glucocorticoids, TNF alpha inhibitors and rituximab. Ann Rheum Dis. 2015:74;415-421.
参考文献
- 伊藤勝昭ほか編集 『新獣医薬理学 第二版』 近代出版 2004年 ISBN 4874021018