コンテンツにスキップ

デルタウイング

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。118.6.95.21 (会話) による 2012年4月28日 (土) 12:57個人設定で未設定ならUTC)時点の版 (→‎概要)であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

デルタウイング
概要
製造国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
設計統括 デルタウイング・レーシング・カーズ
デザイン ベン・ボールビー (デルタウイング・レーシング・カーズ)
ボディ
乗車定員 1 人
ボディタイプ プロトタイプレーシングカー
駆動方式 MR
パワートレイン
エンジン 1.6L 直列4気筒 ターボチャージド
最高出力 300ps(公称値)
変速機 5速シーケンシャルマニュアル
トルク・ベクタリング・ディファレンシャル機能付
車両寸法
ホイールベース 3070mm
全長 4650mm
全幅 2000mm
全高 1030mm
車両重量 475 kg
テンプレートを表示

デルタウイング(DeltaWing)とは、初期はインディカー・シリーズ、後にル・マン24時間レースへの参戦を目的に開発された、オープンボディ・プロトタイプレーシングカーである。

概要

2012年用インディカーとしての誕生

プロジェクトが発足したのは2009年。当時2012年用のマシンの案を募集していたインディカー・シリーズに、チップ・ガナッシ・レーシングの援助を得てマシン案を提出した事で存在が明らかになる。翌年の2010年2月にはシカゴオートショーにてプロトタイプが披露される[1]も、インディ・レーシング・リーグ(IRL)は2012年用のマシンをダラーラが提出した案で製作する事を決定したため、結局インディカー・シリーズのマシンには採用されなかった。

「プロジェクト56」としての再出発

デルタウイングのインディカー・プロジェクトは成功しなかったが、新たにオール・アメリカン・レーサーズ、2010年までLMP1でアキュラ・ARX-02を走らせていたハイクロフト・レーシングIMSAのオーナーであるドン・パノスと共同プロジェクト「プロジェクト56」を始動、再スタートを切った。これはル・マン24時間レースを主催するフランス西部自動車クラブ(ACO)が2012年から始める“ガレージ#56”(新技術をプロモートするために新しく設置された出場枠)を利用し、ル・マンへの出場を目指すものである。[2] 2012年3月1日に、バトンウィロー・レースウェイ・パークで初走行を行った。[3]

2012年3月13日、プロジェクトに日産自動車が参加することが明らかになった。エンジン供給のほかチーム自体のスポンサーも務め、ル・マンには『ニッサン-デルタウィング』のエントラント名でエントリーする。さらにドライバーにも長年日産のワークスドライバーを務めるミハエル・クルムが起用され、サードドライバーには本山哲が起用された[4]

車体

設計は元ローラ・カーズの設計士である、デルタウイング・レーシング・カーズベン・ボールビーが担当。少し見ただけでは三輪車と見間違うような、三角形(デルタ)の斬新な車体形状が特徴的である。これは空気抵抗を低減し、ドライバーの安全を確保するためのデザインであるという。[2]一般のプロトタイプレーシングカーに装着されているような前後のウイングは無く、替わりにリアに整流目的の垂直なフィンを装備している。ダウンフォースは車体下部で生み出す予定である。[5]このようなボディデザインとなった結果、車体前部のトレッドは後部と比べて約3分の1と極めて狭くなっている。ボディには、ドン・パノスが所有するエラン・モータースポーツ・テクノロジー社(以下EMT)が製作した新素材「リサイカブル・エナジー・アブソービング・マトリクス・システム(以下REAMS)」が使用されている。これは「TEGRIS」と呼ばれる、ミリケン・アンド・カンパニー社が製作したポリプロピレン製の新素材に、EMTで使用されていたいくつかの素材を組み合わせて作られたものである。[6]車体の搭乗部のモノコックはアストンマーチン・AMR-Oneのものを流用している。[7]また、エンジンとトランスミッションはどちらもストレスメンバーとしては使用されない。[8]インディカーとして登場したモデルとル・マン用にデザインし直されたモデルとの違いは、タイヤハウスの有無(インディカー仕様はタイヤ上部が外部に出ている)、ライトの有無、垂直尾翼の形状の違いなどである。

動力源としては、1.6Lの直列4気筒エンジンを搭載予定[8]。エンジンは前述のとおり日産が供給する[4]。エンジン出力は300馬力と高くは無いが、重量が420kg(インディカー・シリーズ参戦表明時。ル・マン出場用のスペックでは475kg)と軽量であり、またcd値がオープンボディであるにもかかわらず0.24と低く抑えられている[8]事から、インディカー・シリーズへの挑戦の際には、このスペックで2011年まで使用されていたインディカーのマシンと同等のスピードを発揮できるとしている。[9]また、燃料消費量も従来のインディカーの半分になるとしている。[9]

側面から見たデルタウイング

脚注

外部リンク