ガストルニス
ディアトリマ | ||||||||||||||||||||||||
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分類 | ||||||||||||||||||||||||
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ディアトリマ (Diatryma) は、新生代の暁新世から始新世にかけて繁栄した恐鳥類の一種。地上走行性の巨大な肉食鳥で、祖先の小型獣脚類(恐竜)と酷似した生態を確立した。
形態
体高2メートルに達し、体重は200キログラム以上、最大で500キログラムほどになったと推定される。巨大な頭部が特徴で、頭骨の長さは40センチメートル以上。鉤型に曲がった強力なくちばしがあった。翼は退化して縮小し、過大な体重と相まって空を飛ぶことはできなかったが、強大な脚で地上を走行した。
生態
恐竜絶滅の頃すでに一部の鳥類は直ちに恐竜のニッチを引き継ぎ得る状況にあり、恐竜絶滅後間もなく、一部の鳥類は恐鳥類として地上へと進出し、ディアトリマが出現した。また、その食性は祖先と同じく肉食であった。一方、哺乳類は、新生代初期にはその大部分が小型で原始的なものであったため、ディアトリマは当時の陸上生態系の頂点にあった。高速で疾走して小型の哺乳類を捕食していたと見られる。
その巨大なくちばしは硬い木の実の殻を割るためのものであるとして、ディアトリマを植物食とする説もあるが、巨大な頭部と鉤型のくちばし、強い力のある脚などは明らかに肉食、それも強い捕食性を示している。現生の大型走行鳥であるダチョウ・ヒクイドリ・エミューなどはいずれも植物食または雑食であり、頭部は小さく、くちばしも鋭くない。
ディアトリマは北アメリカ、ヨーロッパ(当時、両大陸の北部は繋がっていた)から化石が発見されているが、その他の地域でも同じような巨大な走行性肉食鳥類がいたことがわかっている(現在の中央アジアにあったツルガイ海峡en:Turgai Seaでヨーロッパから隔てていたアジア大陸では、生存していた化石証拠が無い)。彼らは新生代初期の食物連鎖の上位にあったが、肉歯目のヒエノドン(Hyaenodon ヒアエノドンとも呼ばれる)などの肉食哺乳類が進化すると共に勢力を失い(祖先の鳥は空を飛ぶために前足を翼に進化させ、軽量化のために牙をなくした。そのためその子孫であるディアトリマも牙や前足をもたなかった。そのため、前足や牙をもつ肉食哺乳類との生存競争は不利だったと考えられる)、絶滅した。ヒエノドン類に卵を食べられたり、餌となる小動物を奪われたと考えられ、また彼らが小規模とはいえ群れをなしてディアトリマを攻撃した可能性もある。
分類
近年、北米産のディアトリマは1855年に命名された欧州産のガストルニス(Gastornis)とシノニムであり、新参異名であるディアトリマ (Diatryma) は無効名である、とする説が出されている。
ディアトリマの所属目は未確定であり、近年までツル目とする説が一般的であったが、21世紀以降の研究ではキジカモ類に含まれるとする説が有力となってきた。また、独立目として、ガストルニス目(Gastornithiformes)もしくはディアトリマ目(Diatrymiformes)を立てる説がある。
科については、本稿はガストルニス科としているが、ガストルニスとディアトリマが科でも別だと考える場合、ディアトリマ科に入れられることもある。
脚注
参考文献
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