タカサゴキララマダニ
タカサゴキララマダニ | |||||||||||||||||||||||||||
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分類 | |||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||
Amblyomma testudinarium C.L.Koch, 1844 |
タカサゴキララマダニ(高砂綺羅々真蜱、学名:Amblyomma testudinarium)はマダニ科キララマダニ属に属するダニの1種である。大型のマダニで、東南アジアの他に日本では関東以南に分布する。
解説
日本に分類する他のマダニ科の多くがそうであるように3宿主性で、幼虫、若虫、成虫の3つの発育期それぞれで別の個体に寄生する。ヒトへの寄生例が多く、成虫はイノシシ、馬、ヒトなどの大型哺乳類、幼若期は中・小型哺乳類,鳥類,爬虫類に寄生が見られる[1][2]。また、幼虫は小型で運動能力に乏しく、成虫に比べ葉に集団で待機するという習性があり[3]、刺傷症の場合には大量の幼虫に刺傷される例が報告されている[4]。富山県では従来タカサゴキララマダニの記録はほとんどみられなかったが、近年のイノシシの定着にともなって、イノシシと関係の深い本種による人体刺症が発生するようになった[5]。
刺傷症
これまでに、病原体不明の熱症[6][4]が報告されるなどすることから、ある種の紅斑熱群リケッチアや重症熱性血小板減少症候群[7]の原因となるウイルスを保有している可能性が指摘され、重症熱性血小板減少症候群のほか何らかの病原体を媒介する可能性が指摘されている[2]。
脚注
- ^ 今井壯一, 板垣匡, 藤崎幸藏 編 編『最新家畜寄生虫病学』板垣博, 大石勇 監修、朝倉書店、2007年。ISBN 978-4254460278。
- ^ a b 山内健生他「タカサゴキララマダニによる人体刺症の 5例」『日本ダニ学会誌』第19巻第1号、15-21頁、2014年7月31日閲覧。
- ^ 菊池荘太、菊池了子、沖野哲也、『タカサゴキララマダニ幼虫の多数刺咬例』 臨床皮膚科 64巻 13号 p. 1069-1072, 2010/12/1, NAID 40017433383
- ^ a b 石田勝英, 塩入有子 石坂泰三 ほか、「200匹以上のタカサゴキララマダニ幼虫に寄生されたマダニ刺症の1例」 『皮膚の科学』 2004年 3巻 1号 p.55-61, doi:10.11340/skinresearch.3.1_55, 日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
- ^ 山内健生, 中谷友美「富山県における2010年以降のマダニ人体刺症10例,特にタカサゴキララマダニ症例に注目して」『衛生動物』第67巻第4号、日本衛生動物学会、2016年、239–242頁、doi:10.7601/mez.67.239。
- ^ 夏秋優、高田伸弘、川端寛樹 ほか、「タカサゴキララマダニ刺症に伴う遊走性紅斑:Tick-associated rash illness (TARI)」 『衛生動物』 2013年 64巻 1号 p.47-49, doi:10.7601/mez.64.47, 日本衛生動物学会
- ^ 西條政幸、「日本における重症熱性血小板減少症候群と今後の課題」 『日本内科学会雑誌』 2014年 103巻 10号 p.2581-2586, doi:10.2169/naika.103.2581, 日本内科学会
参考文献
- Yamauchi, T.ほか (2012) マレー半島におけるタカサゴキララマダニの人体刺症(英文) 『日本ダニ学会誌』21(2): 143-148, NAID 10031125849, doi:10.2300/acari.21.143
- 山内健生、「日本産鳥類とマダニ類との宿主-寄生関係の文献的検索」 『ホシザキグリーン財団研究報告』 2001年 5号 p.271-308, NAID 120001493192, ISSN 1343-0807
関連項目
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