ソピステス
プラトンの著作 (プラトン全集) |
---|
初期 |
ソクラテスの弁明 - クリトン エウテュプロン - カルミデス ラケス - リュシス - イオン ヒッピアス (大) - ヒッピアス (小) |
初期(過渡期) |
プロタゴラス - エウテュデモス ゴルギアス - クラテュロス メノン - メネクセノス |
中期 |
饗宴 - パイドン 国家 - パイドロス パルメニデス - テアイテトス |
後期 |
ソピステス - 政治家 ティマイオス - クリティアス ピレボス - 法律 第七書簡 - 第八書簡 |
偽書及びその論争がある書 |
アルキビアデスI - アルキビアデスII ヒッパルコス - 恋敵 - テアゲス クレイトポン - ミノス - エピノミス 書簡集(一部除く) - 定義集 正しさについて - 徳について デモドコス - シシュポス エリュクシアス - アクシオコス アルキュオン - 詩 |
『ソピステス』(古希: Σοφιστής、ソピステース、英: Sophist、ソフィスト)は、プラトンの後期対話篇の1つであり、『テアイテトス』の続編。副題は「存在(有)[1]について」。
「ソピステス」(ソピステース、希: Σοφιστής)とは、「ソフィスト」(英: Sophist)の古代ギリシア語表現であり、本篇が「ソフィストとはいかなるものであるか」を主題とした対話篇であることに因む。
構成
登場人物
- ソクラテス - 最晩年、70歳。
- テアイテトス - アテナイのスーニオン区出身。後の数学者。少年期。
- テオドロス - キュレネ出身の数学者。老年期。
- エレアからの客人 - エレア派哲学者。パルメニデス、ゼノンの門下。
年代・場面設定
紀元前399年[2]、アテナイ、某体育場(ギュムナシオン)[3]にて。
『テアイテトス』で描かれたやり取りの翌日、約束通り早朝に同じ場所に集まったソクラテス、テアイテトス、テオドロスの3名。テオドロスはエレアからの客人もそこに連れて来ていた。
ソクラテスは、その客人がエレアから来たと聞くと、「論争術」(エリスティケー)を操る論争家なのではないかと疑うが、テオドロスはれっきとした哲学者であると否定する。そこでソクラテスは、ソフィストと、政治家と、哲学者が、エレアにおいてはどう認識され、区別されているのかを客人に聞く。客人はそれはそのまま3つに区別されているが、その説明には手間がかかるという。
ソクラテスは問答(弁証術、ディアレクティケー)でそれを説明してもらえるようお願いしつつ、その対話者にテアイテトスを提案する。客人はそれを了承し、客人とテアイテトスの2人による問答が、最後まで描かれる。
補足
最初の方でソクラテスがソフィスト、政治家、哲学者の三者とはいかなる者かと問うているため、プラトンは、本篇と続編の『政治家』(ポリティコス、古希: Πολιτικός)に加えて、『哲学者』という対話編を書こうとしていたという説もある。
内容
本書は「ソフィストとはいかなる者か?」というテーマで対話がなされるが、パルメニデスの哲学と絡められて「あるもの」と「あらぬもの」に関する存在論的な対話に発展する。
訳書
- 藤沢令夫・水野有庸訳、『プラトン全集3 ソピステス ポリティコス(政治家)』、岩波書店、2005年