ステルスマーケティング

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ステルスマーケティング: stealth marketing)とは、消費者に宣伝と気づかれないように宣伝行為をすること[1]アンダーカバー・マーケティング: Undercover marketing)とも呼ばれる[2]

概要

ステルスマーケティングの手法としては、

  • 自社に関する飲食店の口コミサイトで、否定的な意見を削除して良い意見だけを残す事により、良いイメージを与えるようにする[3]
  • あたかも客観的な記事を装った広告や、影響力のあるブロガーが報酬を得ていることを明示せずに、第三者的な立場を偽装して、特定の企業や製品について高い評価を行うこと

などがあげられる[4] 。ステルスマーケティングに対してはモラルの観点からしばしば消費者団体などから非難を受けることがあり、また、「やらせ」が発覚すれば、消費者からの信用を落とすことにもつながりかねない[4]

このように、ステルスマーケティングは、自身の身元や宣伝が目的であることを隠して行われるため、消費者をだます側面を持ち、また「サクラ」や「やらせ」との線引きが困難であるため、国によっては法により規制されている。

またマーケティングの教科書に「倫理」という新しい項目が加えられるなど、企業倫理の一環として「マーケティング倫理」が意識されつつある[5]

各国の状況

日本

日本においては、消費者庁は2011年に景品表示法のガイドライン「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項」を公表しており、その中で口コミ情報について、事業者が口コミサイトやブログに口コミ情報を自ら掲載し、または第三者に依頼して掲載させ、その口コミ情報がその事業者の商品・サービスの内容または取引条件について、実際のものまたは競争事業者に係るものよりも著しく優良または有利であると一般消費者に誤認されるものである場合には、景品表示法上の不当表示として問題となるとしている[6][7][8]

アメリカ

アメリカ合衆国では、インターネットを利用した消費者自らが行う広告宣伝活動に対応するため、連邦取引委員会(FTC)が、1980年以来変更してこなかった「広告における推奨及び証言の利用に関する指導」Guides Concerning the Use of Endorsements and Testimonials in Advertisin[9]というガイドラインを2009年に改定し[10]、商品またはサービスの推奨者と、マーケッターや広告主との間の重大な関係の有無及び金銭授受の有無などを開示する義務を新設した[11][12]

ヨーロッパ

欧州連合においては、不公正商慣習一般を規制するため、不公正商慣習指令英語版("Unfair Commercial Practices Directive")が2005年に制定された[13]。この指令に従い、イギリスでは、2008年不公正取引からの消費者保護に関する規正法英語版が施行されており、消費者保護の観点からステルスマーケティングは違法であると規定されている[14]

脚注

  1. ^ 「虚の時代[2]――サクラ操り やらせ広告」『朝日新聞』2009年5月1日付朝刊、第13版、第34面。有名店や新規開店やセールの行列、歌手や俳優や選手の周辺で騒ぐ人たちの一部は、サクラ派遣会社が時給2000円程度で動員。芸能人がブログで商品を取り上げると一回90~300万円。ほか
  2. ^ 英語圏では蔑称として「ゴキブリホイホイ」roach baitingも使われる([[1]])。 英語版記事も参照のこと。
  3. ^ 口コミサイトにオーナーが契約すれば、自社の口コミは自己の判断で削除が可能である(大手のグルメサイトなど)
  4. ^ a b ステルスマーケティングとは」 ITpro 最新IT用語解説、2008年5月30日。
  5. ^ 野口智雄『マーケティングの基本』(第2版)日本経済新聞社〈日経文庫 ビジュアル〉、2005年3月。ISBN 4-532-11903-0 [要ページ番号]
  6. ^ 「ステマ 歯科・エステでも相次ぐ」『産経新聞』2012年1月15日29面
  7. ^ “歯科、美容外科の口コミサイトでもやらせ書き込み、業者特定急ぐ”. 産経新聞. (2012年1月15日). http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120115/crm12011501300001-n1.htm 2012年1月18日閲覧。 
  8. ^ 消費者庁、評価操作の“ステマ”は不当表示、景表法ガイドラインを一部改定
  9. ^ Federal Trade Commission - 16 CFR Part 255: Guides Concerning the Use of Endorsements and Testimonials in Advertising” (PDF). FTC (2009年). 2012年1月17日閲覧。
  10. ^ "FTC Publishes Final Guides Governing Endorsements, Testimonials" (Press release). FTC. 5 October 2009. 2012年1月17日閲覧
  11. ^ Revised FTC Guidelines: Blogger Beware”. www.law.com (2009年10月21日). 2012年1月17日閲覧。
  12. ^ ソーシャルメディアの時代なので、クチコミマーケティングを再考しよう:6”. www.advertimes.com (2011年9月26日). 2012年1月17日閲覧。
  13. ^ 欧州理事会 2005/29/EC
  14. ^

関連項目