シウリザクラ

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シウリザクラ
福島県帝釈山 2013年6月
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
亜綱 : バラ亜綱 Rosidae|Rosidae
: バラ目 Rosales
: バラ科 Rosaceae
亜科 : サクラ亜科 Prunoideae
: サクラ属 Prunus
: シウリザクラ P. ssiori
学名
Prunus ssiori F.Schmidt[1][2]
シノニム
  • Padus ssiori (F.Schmidt) C.K.Schneid. [1]
和名
シウリザクラ

シウリザクラ(学名:Prunus ssiori )は、バラ科サクラ属落葉高木。別名、ミヤマイヌザクラシオリザクラ[3][4][5]

特徴

の高さは10-20m、径は60cmに達する。樹皮はやや紫色を帯びた淡褐色から灰褐色で、老樹になると縦に裂け目が入り、不規則な小裂片となって裂け落ち、独特な香気を発する。若いは紫褐色で毛はない。は互生し、葉柄は長さ2-4cmになり毛はなく、2個の蜜腺が葉柄の上部につく。葉身は長さ7-16cm、幅3-7cmの倒卵状長楕円形から長楕円形で、先端は尾状にとがり、基部は心形となる。葉に側脈が11-14対あり、表面は深緑色で無毛、裏面は淡緑色で脈の腋に毛があるほかは毛はない。縁には先が状または刺状になってとがり先端が腺になる鋸歯がある[3][4][5]

花期は5-6月。は葉の展開後に咲き、新しい枝の先に長さ10-20cmの総状花序をつけ大きな試験管ブラシ状に多数の花をつける。花序枝の下部に3-5個の葉がつく。花は径7-9mmで、淡黄色を帯びた白色の5弁花、花柄は長さ6-8mm、花弁は円形で長さ4-5mmになり花時には水平に開く。筒は長さ約3mmの杯形で、内側の基部に軟毛が生え外側は無毛、萼の先は5裂し裂片の縁には腺毛状の鋸歯がある。雄蕊は多数あり、花弁より短いかほぼ同じ長さ。雌蕊は1個あり、無毛で花弁と同じ長さ、先端は盤状に広がった柱頭になる。果実は長さ7-10mm、径8mmの卵状球形の核果で、赤く熟し7-8月には暗赤色から黒色に熟す。完熟しても苦味がある[3][4][5]

分布と生育環境

日本では、北海道、本州の中部地方以北、隠岐の島に分布し、山地の川沿いや谷間などに生育する。北海道に多く、土地が肥え水分に恵まれた場所に多い。また、ウワミズザクラより高冷地に生育する。世界では、中国大陸(東北部)、ウスリー、樺太、南千島に分布する[3][4][5]

名前の由来

和名、種小名ともに本種のアイヌ名をとってつけられた[5]

ギャラリー

類似種との比較

イヌザクラPrunus buergeriana )は花序枝に葉がつかない。シウリザクラウワミズザクラPrunus grayana )、エゾノウワミズザクラPrunus padus )は花序枝に葉がつくが、シウリザクラは花序が長く太く、花弁と雄蕊がほぼ同長、葉の基部が明らかな心形で蜜腺が葉柄の上部にあるのに対し、ウワミズザクラは花序が短く、花弁より雄蕊が長い、葉の基部が鈍形・円形で蜜腺が葉身の基部にあること、エゾノウワミズザクラは花序が短く、花弁が大きく、花弁より雄蕊が明らかに短い、葉の基部が円形・やや心形なこと(蜜腺は葉柄の上部にあるの)で区別がつく[3][4][5]

脚注

  1. ^ a b Prunus ssiori, The Plant List.
  2. ^ シウリザクラ 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  3. ^ a b c d e 『日本の野生植物 木本I』pp.189-190
  4. ^ a b c d e 『樹に咲く花(離弁花1) 山溪ハンディ図鑑3』pp.536-537
  5. ^ a b c d e f 『新牧野日本植物圖鑑』p.311

参考文献