サーブ・9000

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サーブ9000CS

サーブ・9000SAAB 9000 )は、スウェーデン自動車会社サーブが1984年から1998年にかけて製造販売していた乗用車である。同社の再編後も自動車メーカー・サーブ・オートモービルに引き継がれた。日本では1986年から1997年にかけて輸入・販売されていた。

概要

サーブ9000(中期型)
サーブ9000(後期型)

9000は1984年5月24日にサーブの新しいフラッグシップモデルとしてデビューした。当初は5ドアハッチバックのみであったが、後に4ドアセダンが追加された。当時、新車種の開発資金が薄かったサーブは、イタリアフィアットと共同開発をすることになる。これが、有名な「ティーポ4プロジェクト」(Tipo-Quattro Project )である。更にこれにフィアットグループのアルファロメオが加わり、9000の他に「アルファロメオ・164」、「フィアット・クロマ」、「ランチア・テーマ」といった「姉妹車」が誕生した。「姉妹車」とされるものの、9000はフィアットグループの他の3車とは外観や内装、メカニカルなど差異が多かった。なおこの共同プロジェクトでサーブはエアコンの開発を担当している。

なお、9000に関しては、サーブ車の特徴の一つであるセンターコンソール上のキーシリンダーは採用されず、通常の位置(ステアリングコラム右側)に設置されている。

後継車は1997年に発表された「9-5」である。本国では1998年モデルまで「9-5」と並行して販売されたが、アメリカや日本では1997年モデルで打ち切りとなった。

日本での販売

日本に輸入された9000は大きく分けて3期(前期・中期・後期)に分けることができる。前期型では2Lエンジンのみの展開、ヘッドライトとフロントグリルがフロントバンパーに対してほぼ垂直に配置されている。中期型では2.3Lエンジンが追加され、初期型とほぼ同じ意匠ながらヘッドライトとフロントグリルがややスラントしている。スポーツハッチバックの「タラテガ」と同じくハッチバックの「CS」が追加された。この頃にサーブはGM傘下となった(CSはGM傘下に入って初のニューモデルとなる)。後期型では僅か2年で消滅した「タラデガ」に代わって「エアロ」、上級仕様の「グリフィン」が追加された。

フロントマスクは3種類あり、厚いグリルが俗に「CD顔」、薄いグリルが同じく「CS顔」(見出し写真参照)と呼ばれる。「CD顔」は、「タラデガ」や1994年式までの「CD/グリフィン」に、「CS顔」はそれ以降の「CD/グリフィン」と「CS」、「エアロ」に装着される。

  • 最初期モデル(1986年モデル)
    • 9000i 16
    • 9000ターボ16
  • 初期モデル(1989年モデル)
    • 9000ターボ16
    • 9000CD
    • 9000CD16i
    • 9000ターボ16Sタラデガ
  • 中期モデル(1991年モデル)
    • 9000CD 2.3-16
    • 9000CD 2.3ターボ
    • 9000 2.3ターボSタラデガ
  • 後期モデル(1996年モデル)
    • 9000CD
    • 9000CDE
    • 9000CS
    • 9000CSE
    • 9000グリフィン
    • 9000エアロ

日本での販売台数はあまり芳しくなく、中でもMT車は特に稀少。1989年に9000ターボ16CDが630万円[1]で、当時のシーマセルシオより高価であった。モデルライフ後半ではグレードも細分化され約380万円の廉価グレードを設定するも、ライバル車に比してモデルライフの長さに起因する設計の古さが目立った。

脚注

  1. ^ 『外国車ガイドブック1989』p.215

参考文献

  • 『外国車ガイドブック1989』日刊自動車新聞社