サタニズム

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サタニズム(Satanism)とは、宗教的信条の一つの主義である。イデオロギー的、哲学的信条や社会的現象との関係を含み、悪魔主義、悪魔崇拝とも呼ばれる。

一般的にサタニズムといえば、「サタン悪魔)」を崇拝し、の力をもってなる力に打ち勝つことにより、世界征服を目的とすると想像されがちだが、最大のサタニズム組織である「悪魔教会 (Church of Satan)」は、この考え方を否定する。悪魔教会は「サタン」が実際に存在するともしておらず、単にある概念を物質的に代表する名称として「サタン」の名を捉えている。サタニズムにも様々な形が存在するが、多くのサタニズムでは、サタンとは次のいずれかに該当する。即ち、イデア・人間性のある一面、あらゆる存在の源・あるいは宇宙を超越した何らかの力の人間界でのインターフェースである。

サタンといえば、悪や理不尽な力を連想させる言葉ではあるが、サタニズムは支持者にとってある少数派的な精神性と思想を示す言葉でもある。悪魔教会の創設者であるアントン・ラヴェイは、たとえそれがサタンという名のであっても、あらゆる神を信仰しない。同様に、悪魔の掟に従うこともない(このことは、有神論のサタニズム信仰者も存在することから、サタニズムが自己矛盾した存在であると誤解されがちである)。よって神に仕え、天の御命に従うような(欧米では一般的な)考え方も存在せず、サタニズムにおいては自身の物質的・身体的な発展と解決が殊更に重視される。

このような理由から、サタニズム信仰者はキリスト教ユダヤ教といった伝統的な宗教の信仰を疎んじ、自己中心的な世界観を構築し、利己主義であることを好むと捉えられる。一般には理解しがたい信仰のように思われるが、密教における天部明王から多面多臂の観音信仰に比肩することで理解は容易になる。ただし、密教のそうした祈願または信仰の対象はあくまで如来の化身とされるのに対し、サタニズムは一神教における神から堕して切り離された信仰対象であることに、その特殊性が見い出せる。

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