サタン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
サタン(Satan)とは、ユダヤ教、キリスト教とイスラム教における悪魔。アラビア語では、シャイターン(شيطان)と綴られる。
ユダヤ教、キリスト教では神の敵対者、イスラム教では人間の敵対者とされる。地獄(魔界)の支配者であり、すべての悪魔を統べる王である。
その名前は「敵」、「反対する事」を意味する普通名詞(ヘブライ語satanまたはアラム語satana)に由来する。また、ヘブライ語でサタンの語源は試練を与える天使とも訳される。ここから、本来サタンは「妨げる者」との意味の名を持つ天使だったが、「敵対者」としての意味が重視されだしてから悪魔に変化したと考えられている。
バーバラ・ウォーカーは、サタンの語源として、エジプト神話の神セトより、「セトの犬(セト=アン)」が変化したとの説を発表しているが、これは根拠に乏しい。
日本で特にサタン(Satan)と呼ぶ場合、悪魔の中でも上位の存在を指す総称として用いられることがあり、しばしば著名な悪魔(ベルゼブブ、メフィストフェレス、アバドンなど)を含むことがある。このような用法には、ルネサンス以降の小説や戯曲の影響もある。
目次 |
[編集] サタンの正体
サタンの正体については様々な説があるが、代表的なものとして次のものがある。
サタンは、元々「ルシファー」という名の神にもっとも近い存在の者であり、多くの天使を率いる十二枚の翼を持った美しい天使であった。しかしある時から、自分が神より上なのではないかと考えるようになり、神の座を奪うため、自分に賛同する天使達を集めて、ミカエルの率いる神の軍団との戦いを開始する。戦いは長く続くが最終的に敗北し、ルシファーと天使の三分の一は天から投げ落とされてしまう。その後、ルシファーは地獄(魔界)の王サタンとなったと言われる。
ルシファーが神に戦いを挑んだ理由としては、神が天使より人間を上の位置に置いたことに嫉妬したためとの説もある。
[編集] サタンの正体についてのその他の説
- ベルゼブブ説
- 多くの悪魔、魔物を支配するベルゼブブがサタンの正体であるとする説。ただし、ベルゼブブはサタンの次に高位の悪魔であるとの説もある。
- サマエル説
- サマエルがサタンの正体であるとする説。ユダヤ教ではサタンと同一視しており、キリスト教では堕天使のリーダー格とみなしている。
- 階級名説
- サタンは固有名詞ではなく悪魔の統率者の階級名とする説。
- イスラム教におけるサタンの正体
- イブリースの項を参照のこと。
[編集] サタンの観念の矛盾点
一昔まえから、全知全能の創造主たる神がなぜ、悪の原因たるルシファー達(サタン)を創造し、完全に抹殺しないでいるのかと言う矛盾に、疑問を抱く人が少なからずいるようである。
歴史的に見れば、上記の項目にも書かれているように、古来サタンとは、神に従い、神の命の元、人々に試練を与える善なる天使の役職であったようである。 そして、後の時代に神から人間にとってありがたくない世界の事柄の原因を神から引き離し、神から離れた独立した存在に、その原因と責任を負わせようとする試みがなされてきた。そして、現在の多くの人々が抱く、独立した意志と力で悪をなすサタンの観念がつくられた。
上記のような矛盾は、神に従い人々に試練を与える善なる者から、自らの意思で神に逆らう者への観念の変化の歪みから生まれたもののようだ。

