グアニジン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

2022年8月4日 (木) 17:28; 299b69a (会話 | 投稿記録) による版(日時は個人設定で未設定ならUTC

(差分) ← 古い版 | 最新版 (差分) | 新しい版 → (差分)
グアニジン
グアニジンの構造式
IUPAC名guanidine(許容慣用名)
別名イミド炭酸ジアミド
分子式CH5N3
示性式HN=C(NH2)2
分子量59.07
CAS登録番号113-00-8
形状無色結晶
融点50 °C
SMILESNC(=N)N

グアニジン (guanidine) は、有機化合物。強い塩基性を持つ結晶性の固体で、グアニンの分解によって得られる。またタンパク質代謝によって生成し、尿中にも検出される。

性質[編集]

グアニジンは、共鳴により共役酸の正電荷が3つの窒素上に非局在化できるため安定であり、また強い塩基性を示す(pKa=12.5)。結果として、生理的条件においては、プロトン化された+1価の陽イオン(グアニジニウムイオン)として存在する。

用途[編集]

プラスチック爆薬の原料として用いられる。また水素結合を作りやすい性質から、生化学分野においてはタンパク質変性剤として塩酸塩塩化グアニジニウム、GdmCl)やチオシアン酸塩グアニジンチオシアン酸塩、GuSCN)がよく用いられる。化石燃料に代わる燃料としての研究も進められている。誘導体は、有機合成において強塩基として用いられる。

誘導体[編集]

グアニジンを含む化合物としてアミノ酸の一種であるアルギニンがあり、タンパク質内でDNAとの結合など重要な役割を負う。またアルギニンから生合成されたグアニジノ基を含むアルカロイドが知られており、サキシトキシンテトロドトキシンなど強い生理作用を持つものが多い。他に、ニトログアニジンは爆薬として用いられる。

近年、アルギニンを多数含むペプチド細胞膜を容易に透過することが発見され、この作用の源がグアニジノ基にあることが証明されている。グアニジノ基を多数結合させておけば大分子量のタンパク質や人工分子も容易に細胞内に取り込ませられるため、医薬生化学分野において応用の期待が高まっている。

外部リンク[編集]

Guanidine グアニジン データ

関連項目[編集]