カジカガエル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。Moss (会話 | 投稿記録) による 2012年4月5日 (木) 13:33個人設定で未設定ならUTC)時点の版 (→‎人間との関係)であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

カジカガエル
カジカガエル
カジカガエル Buergeria buergeri
保全状況評価[a 1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 両生綱 Amphibia
: 無尾目 Anura
亜目 : ナミガエル亜目 Neobatrachia
: アオガエル科 Rhacophoridae
: カジカガエル属 Buergeria
: カジカガエル B. buergeri
学名
Buergeria buergeri
(Temminck & Schlegel, 1838)
和名
カジカガエル
英名
Kajika frog

カジカガエル(河鹿蛙、金襖子、Buergeria buergeri)は、両生綱無尾目アオガエル科カジカガエル属に分類されるカエル。

分布

日本本州四国九州五島列島[1][2][3][4][5][6]固有種

形態

体長オス3.5-4.4センチメートル、メス4.9-6.9センチメートル[3][4][5]。体形は扁平で[3][6]、岩の隙間に隠れるのに適している[5]。体色は灰褐色で、不規則な斑紋があり[3]。岩の上では保護色になる。体色の濃淡は、環境によりある程度変色させることができる[5]

指趾の先端には吸盤が発達する[1][3][5][6]

卵は直径0.2センチメートルで暗褐色[1]。口器は大型で吸盤状になり、急流で流されないように水中の岩に貼り付くことができる[2][3][4]

生態

山地にある渓流、その周辺にある森林などに生息する[1][4][5]

食性は動物食で、昆虫クモなどを食べる[4][6]。幼生は藻類を食べる[3][5]

繁殖形態は卵生。オスは水辺にある石の上などに縄張りを形成し、繁殖音をあげる[2]。和名の「河鹿」はこの鳴き声が雄鹿に似ていることが由来[3]。4-8月に水中にある石の下などに約500個の卵を数回に分けて産む[1][2][3][4][5][6]。卵は約2週間で孵化する[1]

人間との関係

鳴き声から和歌の題材になったり[5][6](夏の季語[注釈 1])、また美声で唄う者を「河鹿」と呼んで讃えることもあった。

ペットとして飼育されることもある。江戸時代には専用の籠(河鹿籠)による飼育がされた[2][3][5]

日本では1936年美川町(現:岩国市)の錦川中流域が「南桑カジカガエル生息地」、1944年湯原町(現:真庭市)が「湯原カジカガエル生息地」として生息地が国の天然記念物に指定されている[1][3][a 2]

脚注

  1. ^ 「河鹿」は三夏(初夏・仲夏・晩夏)・動物に分類される季語である。- 齋藤慎爾・阿久根末忠編『必携季語秀句用字用例辞典』柏書房、1997年、P.200

参考文献

  1. ^ a b c d e f g 今泉吉典、松井孝爾監修 『原色ワイド図鑑3 動物』、学習研究社1984年、129、191頁。
  2. ^ a b c d e 海老沼剛『爬虫・両生類ビジュアルガイド カエル1 ユーラシア大陸、アフリカ大陸とマダガスカル、オーストラリアと周辺の島々のカエル』、誠文堂新光社2004年、53頁。
  3. ^ a b c d e f g h i j k 加藤陸奥雄、沼田眞、渡辺景隆、畑正憲監修 『日本の天然記念物』、講談社、1995年、755-756頁。
  4. ^ a b c d e f 千石正一監修 長坂拓也編著 『爬虫類・両生類800種図鑑 第3版』、ピーシーズ、2002年、309頁。
  5. ^ a b c d e f g h i j 深田祝監修 T.R.ハリディ、K.アドラー編 『動物大百科12 両生・爬虫類』、平凡社1986年、71頁。
  6. ^ a b c d e f 『小学館の図鑑NEO 両生・はちゅう類』、小学館2004年、53頁。

関連項目

外部リンク

  1. ^ The IUCN Red List of Threatened Species
    • Yoshio Kaneko, Masafumi Matsui 2004. Buergeria buergeri. In: IUCN 2011. IUCN Red List of Threatened Species. Version 2011.2.
  2. ^ 文化庁