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インターカレーション

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
インターカレートから転送)
グラフェンの間にカリウムが入り込んだ様子

インターカレーション (Intercalation) とは、分子または分子集団の空隙に他の元素が侵入する可逆反応である。この反応を起こした物質は層間化合物 (intercalational compound) または成層化合物 (lamellar compound)、侵入した物質はインターカレーターやインターカラントと呼ばれることがある。

事例

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グラファイト

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正六角形に結合した炭素が層状に重なったグラファイトの、層と層の間にカリウムが侵入したKC8 は、最初に発見された層間化合物である(1926年)[1]。他に(カリウム比率の少ない)KC24KC36、カリウムではなくアルカリ金属典型元素(およびその酸化物や硫化物)がインターカレーションした層間化合物が知られている[2]KC8は還元試薬など、LiC6リチウムイオン電池の負極などに用いられる[3]

塩基

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左:元のDNA鎖。右:3か所(赤色部)にインターカレーションが起こったDNA鎖。

DNARNAなどで起こる場合もある。複製や転写に影響を与え、侵入する物質によっては奇形の原因にもなると考えられているが、直接の証拠はない。

  • 分子生物学の実験においては核酸と結合して蛍光を発するエチジウムを意図的にインターカレーションさせることで塩基を検出する手法が知られている[4]
  • 薬剤に利用される例もある。アントラサイクリンのインターカレーションは核酸の合成を阻害し、癌細胞の増殖速度を抑制する効果がある[5]。ただし、同時に心臓の機能にさまざまな悪影響を及ぼす[6]

語源

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Intercalation の原義は閏月である。毎年の暦に閏月が挿入される様子が本記事の物理現象に似ていたので、こう呼ばれるようになった[要出典]

出典

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  1. ^ Hiroaki Ishikawa; Masaharu Takanashi, Shogo Sato, Nobuyuki Iwata, Hiroshi Yamamoto (2012-01-15). “Intercalation of Li to a Few Layers of Graphenes” (PDF). Transactions of the Materials Research Society of Japan (日本MSR) 37 (4). doi:10.14723/tmrsj.37.507. ISSN 1382-3469. https://doi.org/10.14723/tmrsj.37.507 2019年6月26日閲覧. "The graphite intercalation compounds, GICs, have been studied since the material of KC8 was discovered first in 1926" 
  2. ^ 国立天文台 編『理科年表 平成19年』丸善〈理科年表〉、2006年11月25日。ISBN 978-4621077634OCLC 987261419 
  3. ^ 荻野博 著、岡崎 廉治, 桜井英樹, 志田忠正, 茅幸二, 野依良治 編『典型元素の化合物』岩波書店〈岩波講座 現代化学への入門〉、2004年4月27日。ISBN 9784000110419OCLC 673607311  Eric Chaline『図説 世界史を変えた50の鉱物』上原ゆうこ(訳)、原書房、2013年1月1日(原著2012年)。ISBN 9784562048717OCLC 840097931 
  4. ^ 柴山祥枝 (2018年8月). “核酸(DNA・RNA)の定量法 ―吸光分析法と蛍光分析法を中心に―” (PDF). 日本分析化学会. 2019年6月26日閲覧。, リアルタイムPCR(インターカレーター法)実験ガイド” (PDF). 遺伝子検査の基礎知識. タカラバイオ株式会社 (2018年8月). 2019年6月26日閲覧。
  5. ^ Chris H.Takimoto; Emiliano Calvo (2009年4月15日). “"Principles of Oncologic Pharmacotherapy"”. cancerNetwork. 2019年6月26日閲覧。, Richard Pazdur; Lawrence R.Coia, William J.Hoskins,Lawrence D.Wagman (2007年1月1日). “"Cancer Management: A Multidisciplinary Approach"”. cancerNetwork. 2019年6月26日閲覧。
  6. ^ 弦間昭彦; 北村和広 (2013年10月7日). “7.心毒性”. 日経メディカル. 2019年6月26日閲覧。

参考文献

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