イイギリ
イイギリ | |||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
イイギリの果実
| |||||||||||||||||||||
分類 | |||||||||||||||||||||
| |||||||||||||||||||||
学名 | |||||||||||||||||||||
Idesia polycarpa Maxim. (1866)[1] |
イイギリ(飯桐[2]、学名: Idesia polycarpa)は、ヤナギ科[注 1]の落葉高木。和名の由来は、昔はこの葉で飯を包むのに使われ、また、葉がキリに似ていることから「飯桐」となったといわれる[3][2]。果実がナンテンに似ており、別名ナンテンギリ(南天桐)ともいう[2]。イイギリ属の唯一の種。
分布[編集]
日本(本州、四国、九州、沖縄)、朝鮮半島、中国、台湾に分布する[4][3]。山地に生える[3]。湿気のある肥沃な暖地に多く自生する[2]。
形態[編集]
落葉高木で、樹高8 - 21メートル (m) 、幹径50センチメートル (cm) 程度で、樹皮は灰白色でざらざらしている[3]。シュートは灰褐色で太い髄がある。
葉は互生、枝先に束性する。葉柄を含めた葉の長さは30 - 40 cmにもなり、長くて赤い葉柄がつくのが特徴[2]。葉身はキリやアカメガシワに似て幅広い心形で[3]、長さ8 - 20 cm、幅7 - 20 cm。アカメガシワよりもハート形に近く、丸みがある[2]。表は暗緑色、裏は白っぽい。縁には粗い鋸歯がある。葉柄は4 - 30 cmと長くて赤く、先の方に1対の蜜腺がある(アカメガシワもこの点似ているが、蜜腺は葉身の付け根にある)。秋には黄葉し、明るい黄色に色づく[2]。
花期は春(4 - 5月ごろ)[3]。花は小さく黄緑色で、香気があり、ブドウの房のように垂れ下がった13 - 30 cmの円錐花序をなす[3]。花弁はなく、萼片の数は5枚前後で一定しない。雌雄異株で雄花は直径12 - 16ミリメートル (mm) 、雌花は9 mmで子房上位。雄花には多数の雄蕊があり、雌花にも退化した雄蕊がある。
果期は秋で、黄葉のころに熟して橙色から濃い赤紫になり、たくさんの実を房状にぶらさげる[2]。果実は液果で直径5 - 10 mm。多数の2 - 3 mmの褐色の種子を含む。果実は落葉後も長く残り、遠目にも良く目立つ[4][5][6]。
-
幹
-
葉と花
-
果実
利用[編集]
果実は生食可で、加工して食べられることもある[7]。
秋から冬に熟す多数の赤い果実が美しいので、観賞用樹木として、ヨーロッパ等を含む他の温帯域でも栽培される[5]。また生け花や装飾などの花材としても使われる[3]。白実の品種もある。
脚注[編集]
注釈[編集]
出典[編集]
- ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Idesia polycarpa Maxim. イイギリ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2022年12月4日閲覧。
- ^ a b c d e f g h 亀田龍吉 2014, p. 67.
- ^ a b c d e f g h i 平野隆久監修 永岡書店編 1997, p. 143.
- ^ a b Flora of China: Idesia (genus page), Idesia polycarpa (species page)
- ^ a b Rushforth, K. (1999). Trees of Britain and Europe. Collins ISBN 0-00-220013-9.
- ^ “イイギリ”. 森林総合研究所 九州支所. 2014年12月20日閲覧。
- ^ Tanaka, T. (1976). Cyclopaedia of Edible Plants of the World. Keigaku Publishing.
参考文献[編集]
- 亀田龍吉『落ち葉の呼び名事典』世界文化社、2014年10月5日。ISBN 978-4-418-14424-2。
- 平野隆久監修 永岡書店編『樹木ガイドブック』永岡書店、1997年5月10日、148頁。ISBN 4-522-21557-6。