アン・ビーティ

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アン・ビーティ(Ann Beattie、1947年9月8日 - )は、アメリカ合衆国作家。無駄のない硬質な文章で短編の名手とうたわれる。

経歴[編集]

1969年アメリカン大学卒、1970年コネティカット大学大学院英文科修士課程修了。

1973年にミュージシャンで音楽ジャーナリストのデービッド・ゲイツと結婚し、1児をもうけるが、1980年に離婚。その後、画家リンカーン・ペリーと出会い、1998年に再婚。

1976年から1977年にかけてバージニア大学で教鞭を執った後、1977年から1978年ハーバード大学で英語講座を担当。のちバージニア大学教授。この間、1974年に短編「プラトニックな関係」が『ニューヨーカー』誌に掲載されて注目を集める。

1976年に短編集『歪み』と長編『冬の寒い風景』を同時に刊行。グッゲンハイム助成金を得てコネティカットの田舎に引きこもり、1980年アメリカン・アカデミー功労賞受賞を機にニューヨークに出る。

評価・人物[編集]

1960年代後半に大学に入ってから、同時代の文学を読むようになった。フィッツジェラルドヘミングウェイに興味を抱いており、アップダイクに惹かれていた。また『エスクァイア』誌でジョイ・ウィリアムズレイモンド・カーヴァーを知りノックアウトされた。

また、1984年のインタビューで、大学院生のころに一番熱心に読んでいた作家はサミュエル・ベケットで、小説を書く際に意識する作家であると回答している。

主な著書[編集]

  • 『愛してる』(Love Always、青山南訳、早川書房、ハヤカワノヴェルズ、彼女のためのノヴェルズ) 1991
  • 『ウィルの肖像』(Picturing Will、亀井よし子訳、草思社) 1994
  • 『カップルズ』(Alex Katz、片岡真由美訳、スイッチ・コーポレイション書籍出版部) 1989
  • 『燃える家』(The Burning House、亀井よし子訳、ブロンズ新社) 1989、のちヴィレッジブックス 2002
    「身をゆだねて」
    「浮遊」
    「プレイバック」
    「シンデレラ・ワルツ」(芦野淳訳で心交社『ご主人を拝借』にも収載)
    「女同士の話」
    「重力」
    「欲望」
    「ハッピー」
    「いさり火」
    「光と影」
    「待つ」
    「駆けめぐる夢」
    「ガラスのように」
    「グリニッチ・タイム」
    「燃える家」
  • 『あなたが私を見つける所』(Where You'll Find Me、道下匡子訳、草思社) 1990
    「カード」
    「コニーアイランド」
    「ハイスクール」
    「今度はいつ会えるの?」
    「広い外の世界」
    「骸骨」
    「白い夜に」
    「雪」(柴田元幸訳で文春文庫『Sudden Fiction2 超短編小説・世界篇』にも収載)
    「時の流れ」
    「アンドリアのお護り」
    「スピリタス」
    「サマーピープル」
    「木の上から」
    「夏の夜の楽園」
    「あなたが私を見つける所」
  • 『貯水池に風が吹く日』(What Was Mine、亀井よし子訳、草思社) 1993
    「人生の終わりの、ある一日のことを想像してみよう」
    「アマルフィにて」
    「蜂蜜」
    「一年でいちばん長い日」
    「ワーキングガール」
    「マリーの待つわが家へ」
    「ホレイショーの芸当」
    「ねえ、知ってる?」
    「父のかたみ」
    「貯水池に風が吹く日」
  • 『この世界の女たち - アン・ビーティ短篇傑作選』(岩本正恵訳、河出書房新社) 2014
    「この世界の女たち」
    「かわりを見つける」
    「コンフィデンス・デコイ」
    「ヤヌス」
    「白い夜に」
    「高みから」
    「燃える家」
    「ロサンゼルスの最後の奇妙な一日」
    「ウサギの穴」
    「堅い木」
  • Park City: New and Selected Stories(パーク・シティ) - 短編集
  • Perfect Recall: A Short Story(パーフェクト・リコール) - 短編集
  • 『ニッポン新婚ツアー in カリフォルニア』 - ノンフィクション

脚注[編集]

参考文献[編集]