アレチウリ

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アレチウリ
アレチウリの花と果実
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
: スミレ目 Violales
: ウリ科 Cucurbitaceae
: アレチウリ属 Sicyos
: アレチウリ S. angulatus
学名
Sicyos angulatus
L.
和名
アレチウリ(荒れ地瓜)
英名
burr cucumber
star-cucumber

アレチウリ(荒れ地瓜、学名:Sicyos angulatus)はウリ科の大型のツル植物で1年生草本。北米原産で日本では本州以南で帰化植物として知られ、特定外来生物に指定されている。また、日本生態学会によって日本の侵略的外来種ワースト100に選定されている。

分布

北アメリカを原産地とする[1]

南アメリカ、ヨーロッパ、アフリカ、アジア、オセアニアに外来種として移入分布する[1]

生態

白い花は雄花と雌花があり、雌花は球状、雄花(右下)は球状にはならない。花期は8月から9月で、花の後には白いトゲに覆われた実がなる。繁殖力は凄まじく、1株当たり25,000個以上の種子をつけていた例も報告されている。果実は長さ1センチほどで長くて鋭い棘が密生し、金平糖のような形にかたまって結実する。触ると痛く、棘は細くて硬くしなやかなので、ジーンズ程度の服ならば貫いて刺さったりする。実には苦さや渋みがあり、食用には適していない。

外来種問題

侵入と拡散

日本では1952年(昭和27年)に静岡県清水港アメリカカナダからの輸入大豆に種子が混入しているのが確認されたのが最初とされている [2]千曲川流域では1970年(昭和45年)に侵入が確認された。セイタカアワダチソウの様に土木作業機械や工事車両に付着、工事の残土、埋め戻し用土砂と共に拡散をした。旧千葉県農業試験場では、ウリ科野菜苗の台木としての利用が研究されたことがある。

豆腐豆の流通経路に沿って分布を広げ、近年では各地の河川敷などで群生して広い草ヤブを作っている。青森県以南の日本各地で広がりつつある。鋭い棘が有るため果実そのままを食べる鳥はいないが、地面にこぼれ落ちた種子は野鳥(種類は特定されていない)が食べ、その糞に混じり周辺部や山間部にも拡散している。河川敷では特に増水に伴い上流から下流に拡散している。

農作物や生態系への影響

スイカ果実汚斑細菌病
病原細菌はウリ科雑草のアレチウリ、カラスウリに病原性を有するが、アマチャヅルには病原性がない。病斑を形成した発病苗やウリ科雑草は2次伝染源となる可能性がある。スイカ作付け圃場周辺にカラスウリ、アレチウリが自生している場合は、抜き取って処分する。

多摩川流域では渡り前のツバメのねぐらとなるヨシ原がアレチウリに侵食され、減少している。

駆除または防除

長野県では県が主体となってアレチウリを駆除するため、「アレチウリ駆除全県統一行動日」を定め、2007年(平成19年)7月29日に駆除を行う民間団体、市町村、県等が連携して、県下各地で駆除作業を行った。

国土交通省千曲川河川事務所は抜き取り作業によるアレチウリ駆除のマニュアル [3]を整理している。それによると

  • 種を付ける前に抜き取る。
  • できるだけ小さいうちに抜き取る。
  • 1年に数回抜き取る。
  • アレチウリが現れなくなるまで数年間続ける。

というのがその基本で、6月から9月に計三回の駆除作業を数年間継続しないと効果が出ない。 また、長野県林業総合センター[4] によれば、『長野県では8月10日以降に発芽した個体は、開花結実しない』という結果が出ている。

ツルのように巻き付きながら高木をも覆い尽くして枯死させてしまう、成長・繁殖力が強いこと、根が残ると再生することから、「まわりの固有在来種が根こそぎ駆逐されてしまう恐れがある」として、2006年(平成18年)2月から駆除すべき「特定外来生物」に指定された。

画像

脚注

  1. ^ a b アレチウリ 国立環境研究所 侵入生物DB
  2. ^ 多紀保彦(監修) 財団法人自然環境研究センター(編著)『決定版 日本の外来生物』平凡社、2008年4月21日。ISBN 978-4-582-54241-7 
  3. ^ アレチウリ駆除のマニュアル 国土交通省千曲川河川事務所
  4. ^ アレチウリの防除長野県林業総合センター

外部リンク