アレシボ天文台
アレシボ天文台(アレシボてんもんだい、Arecibo Observatory)はプエルトリコのアレシボにある電波天文台。米国科学財団(NSF)との協力協定のもと、国立天文学電離層センターの一部として、SRIインターナショナル、宇宙研究大学連合、プエルトリコ・メトロポリタン大学により運営されている。1963年に建設され、単体では世界最大の電波望遠鏡として知られている。
概要
コーネル大学とアメリカ空軍の元で建設されている[1]。直径305 mの球面反射面がカルスト地形の窪地を利用して造られ、3本のマストで高さ150 mに受信機が吊り下げられている固定式のアンテナである。レーダーとしても使用でき、小惑星などの観測にも利用される。
地球外知的生命体探査との関わりが深く、1974年にはM13ヘメッセージが送られた(アレシボ・メッセージ)。1999年から行われているSETI@homeにおいてはアレシボ天文台で受信された電波データの解析が行われている。
冷戦時代には、月面反射したソ連などからの電波を受信するのにも使われたことがある。
2007年11月22日、Technobahnの記事によると、NSFは現状1050万ドルだった年間予算を来年から800万ドルに削減する事を発表した[2]。また、同記事には2011年にてアレシボ天文台を閉鎖するとの記述があり、その主原因として観測設備(天文台)の拠点が地上から宇宙(ハッブル宇宙望遠鏡等)に移った事が挙げられている。
2012年5月12日、SRIインターナショナルが中心となりアレシボ天文台を運営していくことが通達された。
2014年1月13日、プエルトリコで発生したM6.4の地震により受信機を吊り下げるケーブルに損傷が発生し、観測できない状態になった。地震より2ヶ月後の3月13日に完全な観測が可能な状態に戻った。
2016年に中国の500メートル球面電波望遠鏡の完成予定で世界最大の電波望遠鏡が交代すると見られる。
アレシボ天文台でなされた発見
- 1964年4月7日にGordon H. Pettengillのチームが水星の自転周期が59日であることを発見した。それまで水星の公転周期と同じ88日だと考えられていた。
- 1968年、ラブラスたちによるかにパルサーの天体周期(33 ms)の発見は、宇宙に中性子星が存在する最初の確固とした証拠を提供した。
- 1974年ラッセル・ハルスとジョゼフ・テイラーが最初の連星パルサーPSR B1913+16を発見。
- 1989年8月には直径1.8 kmの小惑星(4769)カスタリアを直接観測した。
- 1990年ポーランドの天文学者アレクサンデル・ヴォルシュチャンがPSR B1257+12を発見、太陽系外惑星(もしくは彗星)をもつ天体の最初の発見であるとされる。
脚注
- ^ ナショナル ジオグラフィック プレミアムセレクションDVD 1. 宇宙開発のゆくえ より
- ^ 全米科学財団、アレシボ天文台の年間予算を大幅削減 近く閉鎖の見通し 2007年11月22日 Technobahn
関連項目
- アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計
- 007 ゴールデンアイ
- コンタクト
- Xファイル - シーズン2第1話「リトル・グリーン・マン」がアレシボ天文台を舞台としたエピソードになっている。