アイルランドの教育
アイルランドの教育(the education of Republic of Ireland)ではアイルランド共和国における教育システムを記述する。他の西ヨーロッパ諸国と同様に教育段階は3段階(初等教育、中等教育、高等教育)に分けられている。1960年代からのアイルランド経済の発展を反影して 近年これ以外の教育課程が整備されつつある。
政府の教育・科学省および教育大臣が教育行政を取り仕切っており、資金配分や行政指導などをおこなっている。
概観
全ての児童は6歳から15歳まで義務教育を受けなければならない。アイルランド憲法では家庭教育の権利も保障されているため、憲法では規定されていない家庭教育が必要な最低経済状態の定義について議論が戦わされている。
アイルランド語の義務教育化は1973年に廃止されたが、公立学校の生徒には現在でもアイルランド語(国語)の授業が行われているが、第三レベルの教育機関入学に必須科目(Leaving Certificate Honour合格:英国のGCE A Level類似)となっている場合がある。幼少期を外国で過ごしたり、理解が遅い生徒はこの授業を免除することができる。
ほぼ全ての授業において英語が使用されているが、Gaelscoil(国立小中一貫校)と呼ばれるアイルランド語に特化した学校ではアイルランド語が一般の授業にも使用されており、現在増化傾向にある。大学の講義にもアイルランド語で受講できるものが存在する。
初等教育
1999年に規定された初等教育カリキュラムが全学校で施行されている。国立カリキュラム・評価委員会により制定されたこの文書では、宗教関連授業を教会主導でおこなう点に特色が見られる。カリキュラムは生徒の個性を尊重する教育を心がけている。
1929年から1967年にかけて行われていた初等教育終了試験は1971年に初等教育カリキュラムが導入されるにあたり廃止されたが、現在でも非公式な標準テストがおこなわれている。初等教育は8年制であり、大部分の生徒は4歳から12歳にかけて初等教育をうけている。
学校の種別
初等教育はおもにgaelscoil、多宗派学校、国民学校などでおこなわれている。生徒の両親はそれぞれの児童にあった学校を選択することができる。
- Gaelscoilは20世紀後半にはいってから発展してきた学校である。アイルランド語で授業が行われるこれらの学校は、現在もアイルランド島に残っているアイルランド語使用地域を中心に設立されている。
- 多宗派学校も比較的新しい制度である。有限教育法人により経営されている。
- 国民学校は19世紀中期に導入された最も歴史の古い学校である。地区のカトリック司教や自治体の長により構成される委員会により運営されている。アイルランドでは国民学校という言葉が初等教育を意味する場合もあるので注意が必要である。
中等教育
全体の80%ほどの児童は初等教育を卒業した後に中等教育に進学する。学校はコミュニティ・スクール、総合学校又は普通学校、職業訓練学校、ヴォランタリ・スクールに大別される。都市においてはこれらの学校から自由に選択できる。60%ほどの生徒は、教会により運営されていることのおおいヴォランタリ・スクールへと入学している。中等教育では社会訓練や職業訓練に重点がおかれており、スコットランドの制度に似かよっている。
高等教育
アイルランドにおける高等教育(第三レベルの教育)はダブリンシティ大学Dublin City University、ダブリン工科大学Dublin Institute of Technology、Higher Education and Training Awards Council、アイルランド国立大学National University of Ireland(UCD、UCC、NUI Galway、NUI Maynooth)、トリニティ・カレッジTrinity College、リムリック大学University of Limerickにおいて行われている。これらはアイルランド政府により認可されている学位授与機構である。ダブリンにあるKing's Innsは事務弁護士の養成に特化する形で、部分的に大学と同様の機能を果たしている。