ひととき融資
ひととき融資(ひとときゆうし)とは一時的な性行為を条件に貸し付ける個人間融資。
概要
SNSやネット掲示板等のインターネットサイトを通じて「個人間融資で金を借りたい者による投稿が出ている中で、サイトの文字検索をしていた貸したい男が個人間融資で金を借りたい投稿の存在を知り、投稿相手が女性だと判明する」「個人間融資で金を貸したい男による投稿が出ている中で、サイトの文字検索をしていた借りたい女性が個人間融資で金を貸したい投稿の存在を知る」という経緯で二人が知り合い、融資条件について個別にやり取りをする。やり取りの過程で男は女性に金を融資する。返済になった段階で男は女性に対して「性行為をしないと利息が追加」「性行為をすれば利息をまける」として性行為を迫る事例が多い(融資の約束の段階で性行為を条件にする事例もある)。なお、男は融資をする前に女性の顔写真が写っている免許証などの身分証明書を男のスマートフォンで撮影するか女性側が撮影して男側に送信で送らせる等して、男の側が女性の顔写真と個人情報を把握しておくようにしている[1]。中には融資前に顔写真付きの身分証明書だけでなく、男が女性の裸の写真を撮影するか、女性側が自らの裸写真を自撮りして男側にスマートフォンで送らせる等し、男側が女性の裸画像を保管することで女性に対して優位に立とうとする事例もある[1]。
言葉の由来は「性行為でひとときの時間を過ごすから」「人(人)・と(-)・き(木)を組み合わせた『体』と引きかえに借りるから」とされている[2]。
「ひととき融資」は複数の人に繰り返し金を貸している場合、貸金業というビジネスにあたると判断されれば、貸す側は国や都道府県への貸金業としての登録が必要として、貸金業法違反(無登録営業)の捜査対象となる[3]。また、法定金利を超えて貸付ている場合は、出資法違反(利息制限違反)の捜査対象となる[4]。なお、売春防止法における売春については、性交の相手が不特定ではなく、ある程度特定できる間柄であるとして抵触しないとされている。
また「ひととき融資」が民法第90条の規定により不法行為かつ公序良俗に違反するとされた場合は融資契約が無効となり、さらに民法第708条の規定により融資金額の返還を求めることもできなくなる。
2019年5月から6月にかけて大阪府の千早赤阪村の30代男性職員が「ひととき融資」に絡んで逮捕されたことで広く知られるようになった[2][5][6][注 1]。
「ひととき融資」に応じる女性は多重債務者のために消費者金融から借りられない「ブラック」の女性もいるが、ホスト遊びや投資の失敗で借金を作り業者から借りて家族に発覚することを恐れて援助交際のノリで個人間融資である「ひととき融資」に応じる「ホワイト」な女性もいるとされる[8]。
女性からしてみれば金が必要だったり、借金した後ろめたさから性的関係を強いられても声を上げることができずに泣き寝入りをする事例も少なくないとされる[3][9]。
脚注
注釈
出典
- ^ a b “「ひととき融資」のその後 顔写真を拡散され人生が激変するケースも”. NEWSポストセブン (小学館). (2021年11月29日) 2022年9月19日閲覧。
- ^ a b 「(ニュースQ3)女性につけ込む「ひととき融資」」『朝日新聞』朝日新聞社、2019年7月17日。
- ^ a b 「ヤミ金勧誘5倍に SNSで、コロナ流行後」『山口新聞』山口新聞社、2021年2月7日。
- ^ 「女性16人のセックス条件に金貸し 村役場職員が「ひととき融資」を始めたきっかけ」『日刊ゲンダイ』株式会社日刊現代、2019年6月10日。
- ^ 「「SNSヤミ金」危険 1週間で利息3割 性的な関係を要求」『読売新聞』読売新聞社、2019年8月31日。
- ^ 「個人間融資、コロナに便乗 違法な高金利・見返りに性行為要求 【大阪】」『朝日新聞』朝日新聞社、2020年5月24日。
- ^ 「千早赤阪村元職員、猶予付きの判決 大阪地裁、高利貸しの罪【大阪】」『産経新聞』産経新聞社、2019年11月19日。
- ^ 「話題の焦点=性行為を条件に金を貸す 「ひととき融資」にすがるフツーの主婦を待つ沼」『日刊ゲンダイ』株式会社日刊現代、2019年6月10日。
- ^ 「人対人 危険な「ひととき融資」 「性的な関係」を要求 拒んだら利息上乗せ」『産経新聞』産経新聞社、2019年9月25日。