3モードフロッピーディスクドライブ
3モードフロッピーディスクドライブとは、通常、3種類のフォーマットにアクセスできるフロッピーディスクドライブのことである。
世界的には3.5インチで、2DD(720KB)、2HD(1.44MB)、2ED(2.88MB)の三つのフォーマットにアクセスできるものが一般的であるが、日本では同じ3.5インチで、2DD(720KB)、2HD(1.23MB)、2HD(1.44MB)の三つのフォーマットにアクセスできるものを指す。
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[編集] 概要
日本における「3モードフロッピーディスクドライブ」とは通常、720KB(2DD)と1.23MB(2HD)、1.44MB(2HD)の3つのディスクへのアクセスモードを持つ、3.5インチのフロッピーディスクドライブのことである。この内、1.44MBフォーマットは、IBM PS/2および以後のPC/AT互換機で主流となった、2HDフロッピーディスクのフォーマット方式である。また、1.23MBフォーマットは、日本のコンピュータメーカーがPC-9800シリーズ(NEC)、FMRシリーズ(富士通)、2020(日立)などのパソコンで主に採用していた、2HDフロッピーディスクのフォーマット方式である。
ただし、PC/AT互換機にとっての3モードとPC-9800シリーズにとっての3モードは物理的には同じものであるが、歴史的意味が違う。PC/AT互換機にとっての3モードは、720KBの2DDと1.44MBの2HDが読み書き出来る2モードのドライブを拡張し、1.23MBの2HDも読み書き出来るように設計を施したものである。それに対して、PC-9800シリーズにとっての3モードとは、720KBの2DDと1.23MBの2HDが読み書き出来る2モードのドライブを拡張し、1.44MBの2HDも読み書き出来るように設計を施したものである。
ちなみに、2HDの1.23MBと2HDの1.44MBの各フォーマットのディスクは装置内での回転速度が違う。2HDの1.23MBは毎分360回転(以下、360rpmと表記)で回転させ、2HDの1.44MBは300rpmで回転させる。
[編集] 3モードアクセスを成り立たせる3階層
3モードアクセスは大きく分けて以下の三階層によって成り立つ。
- 上位層 - FDに3モードアクセスを行うアプリケーション(Windowsのエクスプローラ、ディスクコンバートソフト等)
- 中位層 - 3モード動作をサポートしたデバイスドライバ(国産メーカー製PC付属ドライバ等)
- 下位層(ハードウェア)- 3モード動作可能なフロッピーディスクコントローラおよびフロッピーディスクドライブ。
- フロッピーディスクコントローラは、フロッピーディスクドライブがパソコンに内蔵されている場合はメインボードに搭載されている場合が多い。USB接続のフロッピーディスクドライブではドライブに内蔵されている。
上位層は下位層の状態に依存する。ドライブ装置、デバイスドライバが3モード対応であっても、アプリケーションが完全に対応していない場合がある。
Windows2000のエクスプローラは、3モード対応のドライブがあり、3モード対応のドライバがインストールされていれば、PC-98の1.23MBのディスクを読み書きフォーマット全て出来る。しかしながら、Windows XPのエクスプローラは、3モード対応のドライブがあり、3モード対応のドライバがインストールされていても、PC-98の1.23MBのディスクに対しては読み書きは行えるものの、フォーマットが出来ない。
[編集] Windowsと3モード
ここではWindowsにおけるフロッピーディスクドライブの3モード動作について述べる。
- Windows XPの標準ドライバでエクスプローラからアクセスした場合
- 2DD形式(640KB) - アクセス不能。
- 2DD形式(720KB) - 右側の穴がふさがれたディスクのみ、読み書き可能。フォーマット不能。
- 2HC形式(1.21MB) - アクセス不能。
- 2HD形式(1.23MB) - アクセス不能。
- 2HD形式(1.44MB) - 読み書きフォーマット可能。
- 2HD形式(IBM形式) - アクセス不能。
- ただし、MPF82E(中身はSONY MPF820U)やFD-05PUB(中身はTEAC FD-005U)を使うと、2HC形式(1.21MB)や2HD形式(1.23MB)でフォーマットされているメディアでも読み書きできるようである。特に、FD-05PUBは3モード対応であることをメーカーが明記している。
- なおWindows XPでの2DD(720KB)のフォーマットは、GUIではサポートされていないが、コマンドラインからのformatコマンドでは可能(コマンド例は「format A: /FS:FAT /T:80 /N:9」)。
- PCメーカー製3モードドライバにて、エクスプローラからアクセスした場合
- FD装置が3モード対応である場合のみ
- 2DD形式(640KB) - アクセス不能。
- 2DD形式(720KB) - 右側の穴がふさがれたディスクのみで読み書き可能。フォーマット不能。
- 2HC形式(1.21MB) - 読み書き可能。フォーマット不能。
- 2HD形式(1.23MB) - 読み書き可能。フォーマット不能。
- 2HD形式(1.44MB) - 読み書きフォーマット可能。
- 2HD形式(IBM形式) - アクセス不能。
- PCメーカー製3モードドライバにフィルタドライバを被せて、アプリケーションソフト独自のディスクアクセス機能を利用した場合
- FD装置が3モード対応でFMアクセス可能である場合のみ
- 2DD形式(640KB) - 読み書きフォーマット可能。
- 2DD形式(720KB) - 読み書きフォーマット可能。
- 2HC形式(1.21MB) - 読み書きフォーマット可能。
- 2HD形式(1.23MB) - 読み書きフォーマット可能。
- 2HD形式(1.44MB) - 読み書きフォーマット可能。
- 2HD形式(IBM形式) - 読み書きフォーマット可能。
- Windows2000でPCメーカー製3モードドライバを用いて、エクスプローラからアクセスした場合
- FD装置が3モード対応である場合のみ
- 2DD形式(640KB) - アクセス不能。
- 2DD形式(720KB) - 読み書きフォーマット可能。
- 2HC形式(1.21MB) - 読み書きフォーマット可能。
- 2HD形式(1.23MB) - 読み書きフォーマット可能。
- 2HD形式(1.44MB) - 読み書きフォーマット可能。
- 2HD形式(IBM形式) - アクセス不能。
[編集] Windows XPに1.23MB初期化機能が搭載されていない理由
PC-98(PC9821は除外)利用者に渡すためのFDを新規に作成するためには、1.23MB初期化機能が必須となる。しかしながら、Windows XPには1.23MB初期化機能が標準搭載されていない。これは、Windows XPが発売されたころには、もうPC-98は過去のコンピュータであり、かつてPC-98で作られたデータを読むことは有っても、今後PC-98用のディスクを作成する必要はないと考えられたがゆえである。事実、Windows2000はPC-98版が発売されていたが、Windows XPにはPC-98版が存在しないのもこのあらわれである。
[編集] 国内メーカーと国外メーカーの3モードドライブの差異
IBM、デル、ヒューレット・パッカード等の海外メーカーにおいても、日本で独自に使われていた1.23MBフォーマットを読めるように3モードFDDと3モードFDDドライバを提供していたが、最近では、国内メーカーより先んじてFDDの3モードをサポートしない方向に動いている(2006年11月25日現在のデルのPCラインナップでは3モードFDD搭載機種は存在しない)。
また、Windows2000/XP用の3モードFDDドライバについては、海外メーカーでは、国内メーカーのものと比べて簡略化した形式のものを提供している。国内メーカーの3モードドライバは、もう一段上層にフィルタドライバを配置することにより、アプリケーションから特殊なアクセスがしやすいように作られているのに対し、海外メーカーのものはそういったことが行いにくい作りになっている。この違いは、AT互換機と国産機の間で3モードの歴史的意味が違うことを認識することで理解がしやすくなる。