非球面レンズ

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非球面レンズ(ひきゅうめんレンズ、Aspheric lens )とは、平面でも球面でもない曲面屈折面に含むレンズのこと。 球面レンズに比べて収差を小さくすることができるなどの利点があるため、様々な光学機器に採用されている。

概要 [編集]

キヤノン EF 85mm F1.2L USM
大口径研削非球面レンズを使用した写真用レンズ

球面のみで構築されたレンズでは様々な収差が発生し、像がぼやけたり湾曲したりといった弊害の元となる。これを抑えるために形状や屈折率などの異なるレンズを複数組み合わせる工夫がなされてきた。

しかし、レンズ枚数の増加による重量化・高価格化などの問題もあり、球面レンズのみの組み合わせでは収差補正に実用上の限界があった。非球面を用いれば複数枚のレンズを組み合わせたのと同等以上の性能が得られることは17世紀にはデカルトコンスタンティン・ホイヘンスらの研究によって明らかとなっていた[1]ものの、理論的に求められた曲線を正確に再現するための技術的・機械的な限界から大量生産は長らくなされなかった。 1台ずつ生産される天体望遠鏡の分野では、非球面の補正板を採用し1931年に発明されたシュミットカメラなど戦前からの実用化例があるが、設計者のベルンハルト・シュミットは非球面の研磨方法を生涯公表しなかったという。

20世紀後半になって加工技術が発展したことによりレンズ面の非球面加工が可能になり、一般的なガラス素材による非球面レンズが生産可能となった。一般撮影用レンズの初の非球面レンズ採用は1966年発売のライカノクチルックス50ミリF1.2とされる。当初はレンズ研磨職人の手作業による研削加工が主で、大量生産に向かず非常に高価なものであった(これを研削式非球面レンズという)。近年では、あらかじめ非球面形状に超精密旋盤で加工した型で高温で軟化させたガラスを挟んで製造されたモールドレンズや、球面レンズ上に紫外線硬化樹脂などを重ねて複雑な複合レンズ様に成型した複合非球面レンズのような低コストの非球面レンズが製造可能となり、廉価なカメラや眼鏡のレンズ、光ディスクのピックアップレンズなどに採用されるようになった[2]。 ガラスモールド非球面レンズは硝材の熱膨張・収縮からあまり肉厚で大口径のレンズは成形困難とされていたが、トキナー1997年HOYAと共同開発したATX20-35mmF2.8ではアタッチメントφ77mmもある大口径レンズの最前玉にガラスモールド非球面を採用し、モールド非球面レンズの大口径化に貢献した。また、現在でも試作品などのための少量生産では型を使わず研削・研磨によって非球面とする創生法も用いられ[3]、研究が重ねられている[2]

出典・脚注 [編集]

  1. ^ 吉田正太郎 『レンズとプリズム』 地人書館、東京都新宿区中町15番地、1985年6月10日、第1版。
  2. ^ a b 永田信一 『図解 レンズが分かる本』 日本実業出版社、東京都文京区本郷3-2-12、2002年11月20日、初版、pp. 64-65。ISBN 978-4-534-03491-5
  3. ^ 「創生法」では、曲率の異なる半径方向には研磨具を動かすことができないため、円周方向に生じる痕を除去するのに工夫が求められる。

関連項目 [編集]