電気素量

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
電気素量
elementary charge
記号 e
1.602176565(35)×10−19 C[1]
相対標準不確かさ 2.2×10−8
テンプレートを表示

電気素量 (でんきそりょう、: elementary charge)は、電気量単位となる物理定数である。陽子あるいは陽電子1個の電荷に等しく、電子の電荷の符号を変えた量に等しい。素電荷(そでんか)、電荷素量とも呼ばれる。一般に記号 e で表される。

原子核物理学化学では粒子の電荷を表すために用いられる。現在ではクォークの発見により、素電荷の1/3を単位とする粒子も存在するが、クォークの閉じ込めにより、通常の実験室では取り出せず、素電荷が電気量の最小単位である。 素粒子物理学では、電磁相互作用ゲージ結合定数であり、相互作用の大きさを表す指標である。

SIにおける電気素量の値は

e =1.602\ 176\ 565(35)\times 10^{-19}\ \text{C}

である(2010CODATA推奨値[1])。 SIとは異なる構成のガウス単位系(単位: esu)での値はおよそ

e =4.803\times 10^{-10}\ \text{esu}

である。

電気素量の計測実験[編集]

1897年 ジョン・タウンゼントの方法
電気分解によって生じる帯電した気体イオンの量と帯電量を測定し、電荷を算出。
1898年 J.J. トムソンの方法
水蒸気をイオン化して、電流と水蒸気の質量から求める。
1903年 ジョン・タウンゼントとH.A. ウィルソンの実験
水蒸気のイオンの電界中の落下速度から求める。
1909年 ミリカンの油滴実験
油滴を使ったウィルソン実験の改良(多くの誤差要因の排除)。その時の計測値は 1.592×10−19 クーロンだったとされる。

電磁気学の単位[編集]

電磁気学の単位系は、何らかの幾何学的な配位において作用する電磁気的な力の大きさによって定義されており、電気素量との理論的な関係はない。 なお、1mol の電子の電気量は電気分解の法則で知られる 1Fd であり、電気素量にアボガドロ数 NA mol をかけた物である。

1\ \text{Fd}
 =(N_\text{A}\ \text{mol})\, e
 =(6.022\ 141\ 29\times 10^{23})\times (1.602\ 176\ 565\times 10^{-19}\ \text{C})
 =964\ 85.3365\ \text{C}

量子電気力学における電気素量[編集]

量子電気力学においては、ある時空点で電子が光子を放出したり吸収したりする確率振幅の大きさが電気素量に対応する。ファインマン・ダイアグラムを用いることでその事がより明らかになる。

脚注[編集]

  1. ^ a b CODATA Value

参考文献[編集]

  • R. A. ミリカン (1913). “On the Elementary Electrical Charge and the Avogadro Constant”. Phys. Rev. 2: pp.109-143. doi:10.1103/PhysRev.2.109. 
  • R. A. ミリカン (1911). “The Isolation of an Ion, a Precision Measurement of Its Charge, and the Correction of Stokes's Low”. Phys. Rev. (Series I) 32 (4): pp.349-397. doi:10.1103/PhysRevSeriesI.32.349. 
  • 西条敏美 『物理定数とは何か-自然を支配する普遍数のふしぎ』 講談社〈ブルーバックス〉、1996年10月ISBN 4-06-257144-7

外部リンク[編集]