コンテンツにスキップ

ジェラード・ストリート (ロンドン)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
爵禄街から転送)
ジェラード・ストリートは、様々な行事の際に飾り立てられる。2004年の春節の風景。
43番地
40番地にシティ・オブ・ウェストミンスターが設置したポール・ド・ラメリーの緑色のブルー・プラーク
37番地

ジェラード・ストリート英語: Gerrard Street中国語: 爵祿街拼音: Juélù Jiē)は、ロンドンウエスト・エンドチャイナタウン英語版地区にある街路

この街路は、1677年から1685年にかけて建設され、もともと一帯の土地を所有し、練兵場として使っていた当時の軍事指導者、初代マクルズフィールド伯爵チャールズ・ジェラード英語版にちなんでジェラード・ストリートと命名された。この街路を拓いたのは医師で投資家、重商主義者としても知られたニコラス・バーボンであった。18世紀半ばには、住宅地としてよりも、もっぱらコーヒー・ハウスや酒場の集まる場所として知られるようになっていた[1]

住民

[編集]

詩人ジョン・ドライデン(John Dryden、1631年 – 1700年)は、ジェラード・ストリート43番地に居住していた時期があり、ブルー・プラークによって記念されている[2]

「18世紀のイングランドで最も偉大な銀細工職人」と評されるポール・ド・ラメリーPaul de Lamerie、1688年 - 1751年)は、40番地に住居と仕事場を構えていた[3]

37番地にある、ロイヤル・ソサエティ・オブ・アーツによるブルー・プラークは、政治思想家エドマンド・バーク(Edmund Burke、1729年 - 1797年)を記念したものである[4]

フィクションでは、チャールズ・ディケンズが『大いなる遺産』に登場する弁護士ジャガース (Mr Jaggers) の住まいをここに設定し、「通りの南側にある家。同じような家よりもかなり立派な家だが、悲しいほど塗装がされておらず、あるのは汚れた窓、... 石の広間、... 暗茶色の階段、... 暗茶色の部屋、... 羽目板の壁だ」と描写している[5]

1953年、4番地の小さなスタジオには、劇場写真家ジョージ・ハリソン・マークス英語版とそのパートナーだったパメラ・グリーン英語版が住み、仕事場にもしていた。1950年代後半、カメラ・パブリケーション社 (Kamera Publications Ltd) の成功を経て、彼らは隣の5番地の最上階に、ずっと大きなスタジオを構え直した。1960年代はじめには、4番地の地上階(1階)は、ギャラリーに改装された。映画監督マイケル・パウエルは、古典的作品とされる1960年の映画血を吸うカメラ (Peeping Tom)』のセットを、この場所を模して作った。この映画には、グリーンも出演した。

事業所

[編集]
ザ・クラブの創設を記念し、シティ・オブ・ウェストミンスターが設置した緑色のブルー・プラーク

9番地には、サミュエル・ジョンソンジョシュア・レノルズが会合を重ね、1764年にこの場所にあったタークス・ヘッド・タヴァーン (Turk's Head Tavern) で、ダイニング・クラブ英語版としてザ・クラブ英語版を創設したことを記念するブルー・プラークがある[6]

狂騒の20年代には、43番地に43クラブ英語版が開業し、ジャズ・クラブとして派手なパーティーで知られるようになり、富や権力をもつ有力者たちがしばしば訪れるようになった[7]。このクラブは、内務省直々の命令によって閉鎖され、所有者であったケイト・メイリック英語版は投獄された。

1968年8月、レッド・ツェッペリンは、ジェラード・ストリートのとある地下室で最初のリハーサルをおこない、「トレイン・ケプト・ア・ローリン (Train Kept A-Rollin')」を演奏した[8]。この地下室の正確な場所はわからなくなっているが、既に事業所に改装されて長い時間が経っていると考えられている。

ロニー・スコッツ・ジャズ・クラブは、1959年に39番地の地下室で開業し[9]1965年フリス・ストリートへ移転するまで。当地で営業していた。

脚注

[編集]
  1. ^ Weinreb et al. 2008, p. 323.
  2. ^ Flikr image of blue plaque
  3. ^ Silver Objects by Paul de Lamerie”. Victoria and Albert Museum. 2020年6月14日閲覧。
  4. ^ Burke, Edmund (1729–1797)”. English Heritage. 2012年10月23日閲覧。
  5. ^ ch 26: ... a house on the south side of that street. Rather a stately house of its kind, but dolefully in want of painting, and with dirty windows [and with ...] a stone hall... a dark brown staircase ... dark brown rooms... panelled walls.
  6. ^ Johnson & Reynolds - The Club”. londonremembers.com. 2006年10月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2007年7月28日閲覧。
  7. ^ Chinatown London, Through the ages Archived 2009-12-07 at the Wayback Machine.
  8. ^ August 12, 1968 First Rehearsal”. Official Led Zeppelin Website. Led Zeppelin.com. 2013年6月11日閲覧。
  9. ^ Gerrard Street Guide | Gerrard Street London, W1D, England, UK | London Streets by Street”. LondonTown.com. 2013年3月26日閲覧。

参考文献

[編集]
  • Weinreb, Ben; Hibbert, Christopher; Keay, Julia; Keay, John (2008年). The London Encyclopedia. Pan MacMillan. ISBN 978-1-4050-4924-5

外部リンク

[編集]

座標: 北緯51度30分42秒 西経0度07分52秒 / 北緯51.5117度 西経0.1311度 / 51.5117; -0.1311