概複素構造

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数学における多様体の概複素構造(がいふくそこうぞう、almost complex structure)は、多様体の各点での接ベクトル空間が(滑らかな)複素構造を持つことを言う。1つの多様体に対して複数の概複素構造が入る場合がある。また、複素解析的多様体は必ず概複素構造をもつ一方で、概複素構造を持ちながら複素解析的多様体とならないものが存在する。

定義 [編集]

多様体 M に対し、接束 TM 上の自己同型写像 J: TMTM

J^2 = -\mathrm{id}_{TM{}}

を満たすものを、多様体 M概複素構造という。ここで、idTMTM の恒等写像を表す。

シンプレクティック多様体上の概複素構造 [編集]

(M, ω) をシンプレクティック多様体とする。このとき、次の条件を満たす概複素構造 J: TMTMMリーマン計量 g が存在する:

  • g_{x}(X,Y) = \omega_{x}(X,JY), \quad X,Y \in T_{x}M,
  • g_{x}(JX,JY) = g_{x}(X,Y), \quad X,Y \in T_{x}M.

このとき、Jg をそれぞれシンプレクティック形式 ω と両立する概複素構造、計量という。ただし、ω と両立する概複素構造は一意には決まらない。

いま、ω と両立する概複素構造全体のなす集合を J(M, ω) と表すことにする。集合 J(M, ω) は空集合ではなく、可縮である。すなわち、J(M, ω) 内の連続曲線は 1点に連続変形可能である。これより、第一チャーン類 c1(TM, J) ∈ H2(M, Z) が概複素構造 JJ(M, ω) の取り方によらず定まる。ここで、H2(M, Z) は M の整数係数の2次のホモロジー類を表す。