性犯罪条例

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性犯罪条例(せいはんざいじょうれい)とは地方自治体の条例[1][2][3]

概要[編集]

18歳未満の児童に対する性犯罪[注 1]を犯した元受刑者に対し、刑期を終えてから5年以内は自治体に対する住所や生年月日、連絡先、罪名などの届け出を義務付け、所在の確認できた前歴者に対し社会復帰にむけた相談や支援を行うことを規定している。当該自治体に住民票を置いている者だけでなく、居住実態がある者も届け出の対象である。届け出違反には過料5万円が規定されている。

初めて条例が制定されたのは大阪府で、「大阪府子どもを性犯罪から守る条例」が2012年3月23日に大阪府議会で成立され、同年10月1日に施行されている。

2例目は福岡県で、「福岡県における性暴力を根絶し、性被害から県民等を守るための条例」が2019年2月21日に福岡県議会で可決され、同年3月に一部施行され、届け出義務規定は2020年に施行されている。

2021年3月に大阪府茨木市に住む無職の男が2020年6月と2020年11月に大阪府北部の路上でそれぞれ別の女児への強制わいせつをした容疑で逮捕された[4][5]。この男は2015年10月に少女への強制わいせつ罪等で実刑判決を受けて服役して仮釈放され、刑期満了となっていたが、刑期満了から5年経過していなかったにもかかわらず、大阪府性犯罪条例に基づく届け出をしておらず、逮捕の1か月前の2021年2月に大阪府警から大阪府に通知されていた[6]。2021年8月に届け出をしなかった条例違反で5万円の過料となった[6]。届け出義務違反の条例違反で過料となったのはこれが初めてとなった[6]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 強制性交等罪(旧:強姦罪)、強制わいせつ罪わいせつ目的略取誘拐罪、児童ポルノ製造罪(児童ポルノ禁止法違反)など。

出典[編集]

  1. ^ 「性犯罪条例 大阪府が検証 元受刑者に住所届け出義務」『読売新聞読売新聞社、2018年1月30日。
  2. ^ 「福岡県が性犯罪条例案まとめる」『毎日新聞毎日新聞社、2019年1月17日。
  3. ^ 「意見公募中に内容変更、福岡県性犯罪条例で」『日本経済新聞日本経済新聞社、2019年2月27日。
  4. ^ 「女児にわいせつ容疑の男を逮捕 条例規定の住所届け出ず【大阪】」『朝日新聞朝日新聞社、2021年3月2日。
  5. ^ 「【衝撃事件の核心】繰り返された女児への性犯罪 住所届け出義務をかわした男」『産経新聞産業経済新聞社、2021年3月15日。
  6. ^ a b c 「性犯罪で服役の男 住所無届けで初の過料 大阪府」『産経新聞』産業経済新聞社、2021年11月13日。

関連項目[編集]