外反母趾

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症状によって変形した足の写真
症例図

外反母趾(がいはんぼし、Hallux valgus)とは、親指小指の方に曲がっていく症状の総称。

概要[編集]

指のつけ根にある深横中足靭帯が伸びたり、緩んでしまった上になど履物によって締め付けられることで結果、親指が小指側に曲り変形した状態。足に合わない靴を履いている場合になりやすく、女性に多く見られる。特にかかとの高い靴を長時間履いている場合になりやすいと言われている。幅の広すぎる靴を履くことにより足が前に滑り、捨て寸の部分につま先が入り込んで圧迫され、発症するケースもある。症状の進行によって痛みを覚え、歩行や起立のたびに痛みを感じるようになる場合がある。子供や男性にも発生する。同じ要因によって外反母趾とは逆に足の小指が親指の方向に曲がってしまう症状は内反小趾(ないはんしょうし)と呼ばれる。

症状によって以下の4期に分類される。

  • 可逆期(代償期):親指の外反が、靴を脱ぐ、マッサージした場合にもとに戻る状態。
  • 拘縮期(非代償期):関節の炎症等が起こり靭帯などが固まってもとに戻らない状態。
  • 進行期(悪期):外反が自然に進行し、立っているだけでより外に曲がって行く状態。
  • 終末期:親指が他の指に重なり、親指の関節が脱臼したような状態。

また親指の曲がった角度(外反母趾角)で症状の重さが分類される。

  • ~15度 - 正常
  • 15~20度 - 軽症
  • 20~40度 - 中程度
  • 40度以上 - 重症

原因[編集]

女性、遺伝ハイヒールが三大原因であると言われている[1]

女性に外反母趾が多いのは、女性がハイヒールや先細の靴を履く傾向が大きいことも原因であるが、裸足で生活する民族の調査でも男性よりも女性に外反母趾が多く見られる[2]ため女性ホルモンの関与も指摘されている。

遺伝と外反母趾との関係は香港で調査が行われていて、遺伝はハイヒールよりもはるかに大きい外反母趾の原因であることが指摘されている[3]

ハイヒールが外反母趾の原因となるのは、(1)足が前滑りして、足先が靴先に押し込まれる。(2)ヒールが高くなるにつれて、足先にかかる体重の割合が増える。(3)第1趾の中足趾節関節の背屈の角度と、足関節の底屈の角度が大きくなるため、中足趾節関節の両側の靭帯が弛んで不安定になり、かつ足の横アーチに関与する筋肉が弛むため開張足になる、という3つの理由にある[4]

足病学では距骨下関節の過剰な回内(過回内、オーバープロネーション)が外反母趾の原因であるとされ、かつこの過回内には筋肉はあまり関与していないとされている[5]

出生時に外反母趾様の母趾の異常がある場合、進行性骨化性線維異形成症の場合がある。200万人に一人の難病だが遺伝子検査で早期診断をする必要がある。

治療[編集]

治療法には手術療法と保存療法がある。後者には靴の指導、運動療法、足底板療法(アーチサポート療法)などがある。

患者[編集]

脚注[編集]

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  1. ^ 井口傑『足のクリニック―教科書に書けなかった診療のコツ』 南江堂 2004年
  2. ^ Maclennan R: Prevalence of hallux valgus in a Neolithic New Guinea population. Lancet i:1398, 1966
  3. ^ Daniel Wu, Lobo Louie Does Wearing High-heeled Shoe Cause Hallux Valgus? A Survey of 1,056 Chinese Females. The Foot and Ankle Online Journal 3(5):3
  4. ^ 井口傑『新版 外反母趾を防ぐ・治す』 講談社 2007年
  5. ^ T. C. ミショー著 加倉井周一訳 『臨床足装具学』 医歯薬出版株式会社 2005年