四チオン酸

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四チオン酸
識別情報
CAS登録番号 13760-29-7
PubChem 26259
UNII 8V1L8R19JH
KEGG C02084
ChEBI
ChEMBL CHEMBL3306828
特性
化学式 H2O6S4
モル質量 226.27 g mol−1
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。
四チオン酸イオン
識別情報
CAS登録番号 15536-54-6
PubChem 4657547
ChEBI
特性
化学式 S4O2−
6
モル質量 224.3 g mol−1
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

四チオン酸(しチオンさん)またはテトラチオン酸(Tetrathionic acid)は、4つの硫黄原子が連なるポリチオン酸である[1]。硫黄原子のうち2つは酸化状態0、2つは酸化状態+5である。S2−
2
SO3に結合して生じた付加物と見る事もできる。四チオン酸に由来するオキソアニオン四チオン酸アニオン (S4O2−
6
) である。

生成[編集]

ヨウ素I2チオ硫酸S2O2−
3
)を酸化して合成する。

2S2O2−
3
+ I2S4O2−
6
+ 2I

構造[編集]

図はBaS4O6·2H2ONa2S4O6·2H2OにおけるS4O2−
6
の配置を示したものであるが、このように立方体の4つの頂点に硫黄原子が位置した構造をしている。多硫化物では、S-S-S-S の二面角が 90°に近づくのが普通である。

Detailed structure of the tetrathionate ion Ball-and-stick model of the tetrathionate ion

化合物[編集]

四チオン酸アニオンを含む化合物としては、四チオン酸ナトリウム:Na2S4O6、四チオン酸カリウム:K2S4O6、四チオン酸バリウム二水和物:BaS4O6·2H2Oが挙げられる。

性質[編集]

中間の酸化状態にあるチオ硫酸のような硫黄化合物同様、炭素鋼ステンレス鋼孔食の原因となる事がある。

哺乳類の小腸に存在するチオ硫酸は、炎症反応において免疫系が放出する活性酸素(主にNADPHオキシダーゼが生成するスーパーオキシド)により酸化され四チオン酸に変化する。一方で、この四チオン酸は細菌 Salmonella Enterica serotype Typhimurium において終末電子受容体となる事が分かっている。このため、炎症反応によって細菌の増殖が促進されることがある[2]

関連項目[編集]

出典[編集]

  1. ^ グリーンウッド, ノーマン; アーンショウ, アラン (1997). Chemistry of the Elements (英語) (2nd ed.). バターワース=ハイネマン英語版. ISBN 978-0-08-037941-8
  2. ^ Winter, Sebastian E. "Gut Inflammation Provides a Respiratory Electron Acceptor for Salmonella." Nature, 23 Sept. 2010. Web. 28 Mar. 2013.