人口統計学

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
人口規模を国別に表した地図
500年から2150年までの世界人口推移の推計。黒線は過去の人口の推定、青は近年の実際の世界人口、その先はさまざまな推計。 国連2004年予測(赤、オレンジ、緑の線)と アメリカ人口統計局の歴史上の人口見積(黒線)に基づく。

人口統計学(じんこうとうけいがく、人口学、英: demography)は、人口統計学的に検討する学問分野。特に人口の変化・増減、出生出生率)や死亡死亡率)、余命、性別や年齢などの構成、人口密度、属性、地域間や国家間の移動の動向などを研究対象とする。

概要[編集]

"demography"という語は、本来はあらゆる生物の数や属性の動向に用いられる(個体群統計学)が、特に人間の数に関する統計学 (human demography) を指すことが多い。人口統計学による分析は、ある社会や集団の教育水準、民族構成、宗教国籍などを調査し、その特徴を判断するために使われることがある。

学問上、人口学は経済学社会学の一部とされることもある。形式人口学 (formal demography) は研究対象を人口の増減などの法則性の検討に限定するが、社会人口学 (social demography、population studies) はより対象の広い分野であり、人口と経済社会文化、生物学的状況(疫病衛生など)との関係、これらが人口に及ぼす影響を分析する。

デモグラフィックス(デモグラフィクス、demographics)という用語がしばしば人口統計学と混同されて使用されている。デモグラフィックスは顧客など特定の人口集団の特徴を定義し分類する手法であり、マーケティング世論調査などに用いられる。地域・国における人口統計学的な調査結果も、マーケティングなどの調査に使用されている。

なお、この分野に相当する生物学での分野は個体群生態学であるが、両者は深く関わり合いながら発展してきた。例えば、個体群成長の基礎モデルであるロジスティック方程式は人口増加に関する研究に端を発している。

データ収集方法[編集]

人口統計学のデータの収集方法は、2種類に分けることができる。直接に収集する方法と、間接的に収集する方法である。

直接データを収集するには、出生や死亡婚姻離婚、移民などの動きの記録・登録に当たる方法がある。先進国では住民登録などのデータが整っているため、出生数や死亡数はここから見積もることができる。

国勢調査も人口動向を調査する上での一般的な手法である。国勢調査は通常、中央政府により国内に住む全ての人々に対し実施される。しかし日々受け付けられ年度ごとに集計できる住民登録などとは異なり、国勢調査は通常10年ごとや5年ごとなど間隔を置いてしか実施されないため、出生数や死亡数の集計にはあまり向いていない。国勢調査では人数の調査以上のデータ、例えば家族の人数や年齢や性別など家族構成、雇用状態、収入、地理的位置などについて収集できる。また、国内・国外移住についての正確なデータ(出生地や前回調査時の居住地)や、国によっては宗教、言語人種、民族、識字率、市民権まで調査される場合もある。住民登録制度が整っていない国では、国勢調査は出生率死亡率の直接の情報源として使われる場合もある。たとえば中華人民共和国の国勢調査においては、調査から18か月以内にあった出生や死亡についての情報が集められる。

間接的なデータ収集方法は、住民に関する完全なデータが揃わない発展途上国などで使われる。たとえば姉妹を対象とした調査方法では、女性に対し、その姉妹の人数・姉妹の何人が何歳で死んだか・あるいは何歳のときにを生んだかなどを質問する。これにより、全人口に対する出生率や死亡率が推計できる。また人々に兄弟姉妹・両親・子供について質問する方法もある。

人口分析のモデル作成には様々な手法がある。死亡のモデル(生命表、Gompertz models、hazard models、Cox proportional hazards models、multiple decrement life tables、Brass relational logitsなど)、出生のモデル(Hernes model、Coale-Trussell models、parity progression ratios)、婚姻のモデル(Singulate Mean at Marriage、Page model)、障害や疾病のモデル(Sullivan's method、multistate life tables)、人口推計(Lee Carter、the Leslie Matrix)、人口モメンタム (Keyfitz) などのモデル各種が含まれる。

関連項目[編集]