ログハウス

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ログハウス(2008年)。比較的大型のもの。
北海道、麓郷の森にある丸太小屋(テレビドラマ「北の国から」で黒板五郎の一家が住んでいたことになっていた小屋)
ログキャビン。1室(ワンルーム)タイプ。(ペンシルヴァニア州、Black Moshannon State Park、2008年)
オスロen:Norwegian Museum of Cultural Historyに展示されているログ・キャビン
Martin Wadell cabin。イリノイ州、en:New Salemエイブラハム・リンカーンの村にあるログ・キャビン。
ジョージ・ワシントンの軍が1778-1779年にバレーフォージで越冬する時に使ったログキャビンのレプリカ

ログハウス(log house)とは、基本的にはlog ログ(= 樹木の幹や枝をシンプルに切り離したもの)でできた家屋・建築物を指す。つまり、細かく(板状などに)製材したりなどしていない材料、もとの樹木の形がほぼ残されているような材料で作られたものを指す。

英語では、特に小さなものは「log cabin ログキャビン」などと呼ぶことで、呼び分けている。結果として英語では「log house」という言葉で呼ばれているものは比較的大きなものであることが多い。

日本語では「ログハウス」というと(結果として)、小さなものや簡素なものを指していることが多く、つまり「小屋」状のもの、つまり英語の「log cabin」相当のものを指していることが多い。この場合は日本語では丸太小屋(まるたごや)とも。

以下、log houseにも言及し、また英語のlog cabin、日本語の「丸太小屋」についても解説する。

概要[編集]

丸太を組み合わせて壁を構成したもののほか、 角材(角ログ)を使用するもの、 丸太はにのみ使用してには漆喰などを使用するものなどもログハウスとして扱われている。

小屋状のものは、ログを水平方向に井桁のように組み合わせていることが多い。

17~18世紀には北アメリカに伝播し、西部開拓の象徴として広まった。日本に、西洋の様式のログハウスが導入されるようになったのでは1970年後期である。

日本古来の校倉造正倉院、あるいは長野県の農村で見受けられる伝統的な板倉「せいろう倉」は、断面が三角形や四角形の木材を組み上げて作られており、 実は、これらも英語の「log house ログハウス」に分類されうると考えてよい。[注 1]

ログハウスの特徴として、湿度の調整がとても優れており、また木の断熱性の高さから夏は涼しくて冬は温かいということが挙げられる。また、コンクリートなどに比べて感触が良く、木の温もりを感じることができるなどの特徴もある。

ログハウスによく使われる樹種としては、ウェスタン・レッドシーダーダグラスファースプルースフィンランドパインなどが代表的である。

近年、原油価格の高騰に伴う輸送費の増大により、輸送マイレージの短い国産材の利用も拡大している。

工法[編集]

丸太組み工法[編集]

コーナーの交差部分を外から見たところ。実はノッチ(欠き込み)があるのだが、外からはよく見えない。(麓郷の森 黒板五郎の丸太小屋)

ログに《欠き込み》(=ノッチ)を入れて交差させながら積み上げて壁面を構成する工法。 ノッチには様々な形状(サドルノッチ、ウェッジノッチ、ラウンドノッチなど)がある。

セトルダウン対策

横に積んだ木材が乾燥と荷重によって数年かかって縮み下がる「セトルダウン」(または「セトリング」)と呼ばれる現象が伴うので、 窓・ドアなどの建具を予め将来起こるべきセトリング幅を見越して「寸足らず」に作っておく必要がある。 この場合 上部の隙間は「トリムボード」と呼ばれる 装飾を兼ねる板材をあてがって隠しておく。また、階段もセトリングに対応できるようにしておかなければならない。

ハンドカットとマシンカット

太い丸太の皮を手で剥き、チェーンソーを使ってカットした手作り感覚のログハウスを「ハンドカット・ログハウス」(またはハンドヒューン)、機械加工で均一な大きさにカットした丸太または成形された木材を使ったログハウスを「マシンカット・ログハウス」と呼ぶ。マシンカット・ログハウスには丸太のみならず長方形の角材を使用したものも多く、一般に「角ログ」などと呼ばれ、これもログハウスとして扱われている。マシンカットログハウスはフィンランドが発祥の地といわれており、北欧ではごく一般的に見られ、カラフルに塗色されることが多い。見た目がすっきりしており、設計自由度も高く家具の納まりが良い、単価が安いなどのメリットがあり、現在日本でも最も多く普及している。

日本での法的扱い

丸太組工法とは1986年(昭和61年)3月29日に旧建設省(現国土交通省)告示第859号により制定された「丸太組構法の技術基準告示」に則った工法である。 その後、平成2年の告示改正を受け、延べ床面積300平米以下、絶対高さ8.5m以下、階数2階以下で小屋裏利用のみ、ノッチで囲まれる耐力壁は一辺の最大長さを6mまでとする30平米以下などの範囲に拡大された。 後の建築基準法改正により、建築基準法第38条が削除されたことを発端に新しい告示が定められ、丸太組工法で建てられる建築物の規模は他の木造建築にほぼ等しくなった。 2002年(平成14年)5月15日 国土交通省告示第411号によると、延べ床面積3000平米以下、絶対高さ13m以下、階数2階以下であるがRC造やS造との混構造が認められ小屋裏利用3階建ても可能、ノッチで囲まれる耐力壁は一辺の最大長さを10mまでとする60平米以下などの範囲となり、さらに構造計算で安全性を確かめることによってそれ以上の規模の建築も可能である。 ただし、新しい告示で建てられる規模ではログ材の乾燥率や断面積、二階床構造など細かな規定を満たす必要があるので注意が必要である。

新しい告示によって従来は建築できないとされていたダブテイルノッチなど、交差部が突出しないタイプのノッチであっても構造計算によって安全性を確認する事ができれば建築できるようになった。これによって北欧タイプのようにノッチの突き出しを抑えたプランを設計することも可能となっている。

ポスト&ビーム工法[編集]

柱や梁に丸太を使った木造軸組構法、日本のいわゆる「在来工法」である。厳密には、ログハウスとは呼ばないが、太い丸太の柱と梁が表に出ていることから、ログハウスと呼ぶログハウスメーカーもある。壁には内外装ともに漆喰モルタル、板などが主に使われる。

バッド&パス工法[編集]

ノッチによる欠き込みを最小限に抑え、ログを交互に突きつけて積み上げる事で壁を構成する。ログ同士はダボスパイクで繋がれる。 災害時に力の集中するノッチ部分を大きく残せ、耐震性能に優れる工法としてアメリカで誕生し、日本に輸入された。

建築基準法の旧38条に則った認定を受けているモデルに関しては旧認定により建築確認を得ることが出来るが、 建築基準法の旧38条認定を受けているモデルは、フリージアハウス(東証2部フリージア・マクロスグループ)のFLHシリーズのみである。

ピース・エン・ピース工法[編集]

「ピーセンピース」とも呼ばれる、ポスト&ビーム工法の仲間であるが柱に溝をついて柱と柱の間にログ(フィラーログ)を落とし込んで壁面を構成する。 耐震の安全性が得られにくいことから、建築確認を取るには構造計算で安全性を証明する必要がある。

ログの断面[編集]

断面の一例
Milled-log types
Blue D-shaped log graphic
Swedish Cope profile 
Blue square-log graphic with notches
D-shaped profile 
Blue log graphic, round with half-moon-shaped notch
Square or chink-style profile 

内部・内装[編集]

内壁・内装は様々であるが、たとえば次のようなタイプがある。

  • ログがそのまま見える状態にしてあるもの
  • ログとログの間に漆喰を塗り込んだもの
  • ログの手前に板材をはるもの
内壁の一例
内壁の一例
米国、インディアナ州、Fishersの生活史博物館に展示されているログハウスの内部
内壁・内装の一例。大型のログハウスのもの。


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東北地方太平洋沖地震では仮設住宅の代わりにもなった。

脚注[編集]

  1. ^ なお、建築史を研究してみると判ることだが、古くからの歴史をたどると、西洋では中世ころから建物は(木造の建物も少しはあるものの)基本的には石材を使って壁構造を中心として形作る建築法で作られてきた歴史があり、ヨーロッパ人にとってはそれのほうが常識で、樹木で作るのは珍しく感じられ、そういう家は特に呼び分ける必要が感じられた。 それに対して日本はその歴史のほとんど、建物を木で作っており(木造建築)、しかも、日本の中世でも近世でも、柱や梁に樹木の形をほぼ活かして用いている部分が非常に多く、英語の「log house」に相当するような建物のほうが多い。日本では、逆に、石造りの家のほうが珍しいのである。日本では、わざわざ「木の家」などと呼び分けなくても、基本的に「家」と言えば木(しかも英語でlogに相当するような状態のもの)で出来ていたわけである。日本で石やコンクリートを主たる材料に用いた建築物が増えたのは明治以降である。
出典


関連項目[編集]

外部リンク[編集]