ハッセ・ヴェイユのゼータ函数

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数学では、代数体 K の上で定義された代数多様体 V のハッセ・ヴェイユのゼータ函数(Hasse–Weil zeta function)は、2つの最も重要な L-函数の一つである。そのようなL-函数は、大域的(global)と言われ、局所ゼータ函数の項のオイラー積として定義できる。ハッセ・ヴェイユゼータ函数は、大域的L-函数の 2つの大きなクラスの一つで、他は保型表現に付随する L-函数である。予想としては、一つの本質的なタイプの大域的 L-函数が存在し、2つの表し方をもっているのではないかとなる(代数多様体から来るゼータと保型表現から来るゼータ)。このことは谷山志村予想の非常に大きな一般化であり、非常に深い最近の数論の結果である(2009年現在)。

オイラー積の有限個の要素を除外したハッセ・ヴェイユゼータ函数の記述は比較的単純である。これはヘルムート・ハッセ(Helmut Hasse)とアンドレ・ヴェイユ(André Weil)が始めて示唆し、V が一つの点からなり、リーマンゼータ函数の場合に動機を得たものである。

K を有理数Q で V が非特異(non-singular)射影多様体のとき、ほとんど全て英語版(almost all)の素数 p に対し、p をmoduloとして V のリダクション(還元)を考える。p 個の元を持つ有限体 Fp 上の代数多様体 Vp はまさに V の方程式を還元することにより得られる。繰り返すが、ほとんど全ての p に対して、Vp は非特異となる。

Z_{V,Q}(s)

複素変数英語版(complex variable) s のディリクレ級数として定義すると、局所ゼータ函数

\zeta_{V,p}\left(p^{-s}\right)

無限積となる。

すると、Z(s) は、定義に従い、有限個の p^{-s}有理函数による乗法のみを除外してwell-definedである。

この有理函数による乗法の不定性は比較的実害がなく、どこでも有理型函数として解析接続英語版(meromorphic continuation)することができるので、Z(s) の性質がこの不定性に依存しないということが成り立つ。特に、Z(s) の函数等式の完全な形は複素平面内の垂直の線を反映し、函数等式の存在に影響する失われた(missing)要素への依存はほとんどない。

さらに精密な定義がエタールコホモロジーの発展を可能とした。これは失われた悪いリダクションとは何かということを整然と説明する。分岐理論で理解される一般原理に従うと、悪い素数には導手の理論のような良い情報を持っている。良いリダクション英語版(good reduction)であるためのオッグ・ネロン・シャファレビッチの判定条件英語版(Ogg–Néron–Shafarevich criterion)とエタールコホモロジー論で言われていることは、全ての素数 p に対し、V のエタールコホモロジー上のガロア表現英語版(Galois representation) ρ は不分岐であるといとが、良いリダクションの意味である。このため、局所ゼータ函数の定義は、

\rho(\operatorname{Frob}(p))

特性多項式の項で再現できる。ここの Frob(p) は p に対するフロベニウス元である。分岐する p で起きていることは、ρ が p に対する惰性群英語版(inertia group) I(p) 上、非自明である。これらの素数では、定義は「正しい」はずで、惰性群が自明表現英語版(trivial representation)として作用するような表現 ρ の最も大きな商である。この精密化では、Z(s) の定義はほとんど全ての p から全ての p へ、オイラー積が整合性をもつようにうまくアップグレードすることができる。函数等式の結果は1960年代後半にセール(Serre)とデリーニュ(Deligne)により完成され、函数等式自体は一般的に証明されることとなった。

例:Q上の楕円曲線[編集]

E を導手英語版(conductor) N のQ上の楕円曲線とすると、E は N を割らない全ての p で良いリダクションを持つので、N をちょうど割る素数 p (つまり、p は N を割るが、p2 は割らないような、このことは p || N と書く)に対し乗法的リダクション英語版(multiplicative reduction)を持ち、どこでも(つまり p2 が N を割るような素数)加法的リダクション英語版(additive reduction)を持つ。E のハッセ・The Hヴェイユのゼータ函数は次の形となる。

Z_{E,Q}(s)= \frac{\zeta(s)\zeta(s-1)}{L(s,E)}.

ここに、ζ(s) は通常のリーマンゼータ函数であり、L(s, E) を E/Q の L-函数と呼び、次の形となる。[1]

L(s,E)=\prod_pL_p(s,E)^{-1}

ここに、与えられた素数 p に対し、

L_p(s,E)=\begin{cases}
            (1-a_pp^{-s}+p^{1-2s}), & \text{if }p\nmid N \\
            (1-a_pp^{-s}), & \text{if }p\|N \\
            1, & \text{if }p^2|N
       \end{cases}

であり、良いリダクションの場合は、ap は p + 1 かまたは、p − 1(p は E mod p の点の数)であり、乗法的リダクションの場合は、ap は E が p で分岐する乗法的リダクションか不分岐な乗法的リダクションかに従い ±1 となる。

ハッセ・ヴェイユ予想[編集]

ハッセ・ヴェイユ予想は、ハッセ・ヴェイユのゼータ函数が複素平面の全ての s の有理型函数へ拡張され、リーマンゼータ函数の予想と類似した函数等式を満たすという予想である。有理数体上の楕円函数に対し、ハッセ・ヴェイユ予想はモジュラリティ定理=谷山志村予想より従う。

参照項目[編集]

参考文献[編集]

  1. ^ Section C.16 of Silverman, Joseph H. (1992), The arithmetic of elliptic curves, Graduate Texts in Mathematics, 106, New York: Springer-Verlag, ISBN 978-0-387-96203-0, MR:1329092, ISBN 978-3-540-96203-8 
  • J.-P. Serre, Facteurs locaux des fonctions zêta des variétés algébriques (définitions et conjectures), 1969/1970, Sém. Delange–Pisot–Poitou, exposé 19