トランスペアレンシー・インターナショナル

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1998年11月、プラハでのワークショップ「Corruption – how and why to avoid it」にて発表された競争力と腐敗の関係

トランスペアレンシー・インターナショナル(Transparency International, 略称:TI)は、腐敗、特に汚職に対して取り組む国際的な非政府組織である。世界中の腐敗をリスト化した「腐敗認識指数」(Corruption Perceptions Index) を毎年発表していることで知られる。本部所在地はドイツベルリン。トランスペアレンシーとは「透明性」の意。

組織と役割[編集]

TI は世界各国の数百の国内団体の集合体として組織されており、本部事務局をベルリンに置いている。最初は1993年5月にドイツで非営利団体として発足し、その後国際組織へと発展した。完全に民主的な組織構成へ移行中であると発表している。

TI は自らについて以下のように説明している:

トランスペアレンシー・インターナショナルは世界的な民間社会運動団体であり、腐敗に対する闘いを主導している。TI は世界中の男性・女性・子どもたちに対する腐敗という破壊的な衝撃に終止符を打つため、人々を力強い世界中の協力関係に結びつけている。TI の使命は腐敗のない世界への変化を作り出すことである。

TI は腐敗問題に関して「先進国のほうが途上国に比して取り組みが優秀である」という考えを否定し、世界中の腐敗を暴くことに関わっている。

1995年から毎年「腐敗認識指数」を発表している。また、「世界の腐敗レポート」(Global Corruption Report),「世界腐敗バロメーター」(Global Corruption Barometer), そして「贈賄指数」(Bribe Payers Index) も発表している。

TI は個々の腐敗のケースについて捜査したり明るみにしたりするのではなく、腐敗に対抗するためのツールを開発し、他の民間社会運動団体や企業、政府と協力してそのツールを組み込む活動を行っている。TI の目標は、政治体制の外にあって腐敗に対抗する協力関係を構築することである。

TI の最も大きな成功は、腐敗というトピックを国際社会における議論対象にしたことである。1990年代より前は、この問題はそれほど広く話し合われてはいなかったが、今日では世界銀行国際通貨基金などの国際組織が、開発を妨げる主要な障害のひとつとして腐敗を捉えるようになっている。TI はまたさらに、国際連合腐敗防止条約 (United Nations Convention against Corruption) や OECD贈賄防止条約 (OECD Anti-Bribery Convention) などの制定においても重要な役割を果たしている。

腐敗認識指数[編集]

腐敗認識指数は、世界銀行腐敗指数 (World Bank corruption index) と並び、世界中の国々の腐敗に関してもっとも一般的に用いられる指標である。TI は調査対象の国の内外において、実業家やアナリストに対してその国の腐敗度の印象を尋ね、その結果をもとに指数を算出している。これは、国によって法律やその強制力が大きく異なるため、実際の汚職事件の件数をもとにした計算は成り立たないためである。

競争力と腐敗の関係[編集]

1998年11月にチェコプラハで開催された、国際対腐敗会議 (International Anti-Corruption Conference) での TI ワークショップにて、国々の競争力と腐敗の発生との相関関係についての研究が開始された。

批判[編集]

腐敗認識指数、世界の腐敗レポート、世界腐敗バロメーターなど TI の出版物の中で取り上げられたアメリカでの腐敗の実例について、TI のアメリカ国内団体である TI-USA はこれまでにコメントをしたことがない。その一方で、TI-USA は重役のダーリーン・ドルヤンが汚職で収監され、CEO のフィル・コンディットの辞任につながったボーイングから献金を受けている[1]

2008年5月、TI が発表した「Promoting Revenue Transparency」と題したレポートの中で、ベネズエラの国有企業であるベネズエラ国営石油会社(PDVSA)が収益高やロイヤルティー支払高などの基本的な財務情報を開示せず、適切な会計監査を行なっていないとされた。このため、このレポートでは、42 か国の石油会社がその透明性の高低によってランキングを決定されるところ、PDVSA に対しては最も低い評価が与えられていた。しかし実際には、PDVSA のデータはすべて開示されており、このレポートは誤りであった[2]。これにより、TI はベネズエラ政府に対して偏見を持っているのではないかという批判を受けた。

脚注[編集]

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  1. ^ Transparency International - USA: Who We Are: Contributors” (英語). Transparency International-USA. 2009年4月19日閲覧。
  2. ^ Tucker, Calvin (2008年5月22日). “Seeing through Transparency International” (英語). guardian.co.uk. 2009年4月19日閲覧。

外部リンク[編集]