カプロニ・カンピニ N.1
カプロニ・カンピニ N.1
カプロニ・カンピニ N.1(Caproni Campini N.1)とは1940年に初飛行したモータージェット推進のイタリア製航空機である。CC.2と呼ばれることもあるが、正式名称ではない。ターボジェットエンジンが普及する以前にジェット機のテストモデルとなることを期待されたが、有用な結果を残すことはできなかった。
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開発 [編集]
1931年、イタリアの技術者セコンド・カンピニはジェット推進機の有効性についてイタリア航空省に独自のレポートを提出した。その翌年、カンピニはジェット推進で動くボートを製作し、ヴェネツィアでデモンストレーションを行った。そうした結果、1934年に航空省はカンピニの理論を実現するためのジェット航空機の開発を許可したのであった。
このカンピニが設計したジェットエンジンは現在広く見られるものとは異なり、いわゆるモータージェットであった。カプロニ・カンピニ N.1は3段の空気圧縮機を備えていたが、その駆動のために900hpのレシプロエンジンを使用していた。これにより機体前部から吸入・圧縮された空気は機体後部でガソリンと共に燃焼され、そのジェット排気によって推力を得るという機構であった。カンピニはこの構造のエンジンをサーモジェット(thermojet)と呼んだが、これは今日では特殊なタイプのパルスジェットエンジンを指すことが多い。
運用・評価 [編集]
カンピニは、以前に世界初のモータージェット機であるコアンダ=1910を開発した実績のある航空機メーカーのカプロニ社と協力して2機の試作機と1機の地上テスト機を製作した。初飛行は1940年8月27日にテストパイロットのマリオ・デ・ベルナルディによって行われ、無事に終了した。この結果を受けて当時のファシスト政権は「世界で最初に飛んだジェット機」とN.1を大々的に宣伝した。
しかし、実際はその約一年前にターボジェット機であるHe 178がドイツで秘密裡に初飛行に成功していた。また、N.1の推力の大半はレシプロエンジンで駆動される圧縮機で生み出されており、機体後部で燃料の燃焼を行わなくても飛行することができた。同様の事実は実際に製作された他のモータージェットの例(ツ11)にも言えることで、ジェットエンジンというよりは胴体内にプロペラを備えたダクテッドファンエンジンと言った方が本質的なのかもしれない。
初飛行後もテストが続けられたものの、特に有効なデータを残すことなく1942年に開発は放棄された。その後、試作機のうち1機は撤退するドイツ軍に機密保持のため地中に埋められ、後にイギリス軍により回収されたが一通り分析された後にスクラップにされた。他の飛行可能な1機は工場に収容されていたために難を免れて、現在はローマ県のヴィーニャ・ディ・ヴァッレ(Vigna di Valle)航空博物館に展示されている。また地上テスト機も現存しており、ミラノ航空博物館に展示されている。
性能諸元 [編集]
- 搭乗員:2名
- 全長:13.10 m
- 全幅:15.85 m
- 全高:4.7 m
- 翼面積:36.00 m²
- 空虚重量:3640 kg
- 最大離陸重量:4195 kg
- エンジンタイプ:モータージェット
- 圧縮機用レシプロエンジン:Isotta-Fraschini L. 121/R.C. 40 (出力:900 hp) ×1
- 圧縮機:3段可変ピッチフィン
- 推力:6.9 kN
- 最大速度:
- 329 km/h @ 3000 m (機体後部でのガス燃焼なし)
- 375 km/h @ 3000 m (機体後部でのガス燃焼あり)
- 実用上昇限度:4000 m
関連項目 [編集]
同時代に開発されたターボジェット機
- He 178 (ドイツ)
- 橘花
- グロスター E.28/39 (イギリス)
- P-59 (アメリカ)
参考文献 [編集]
- en:Caproni Campini N.1 - 本頁は左記の英語版ウィキペディアの頁の内容を基にしている。
- 空飛ぶ竹輪:カプロニ・カンピーニN.1 - サイト『Crazy☆Planet』内の記事
- The First Italian Jet Airplane The Campini-Caproni - サイト『REGIA MARINA ITALIANA』内の記事