オオヤマハコベ

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オオヤマハコベ
福島県浜通り地方 2017年8月
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
: ナデシコ目 Caryophyllales
: ナデシコ科 Caryophyllaceae
: ハコベ属 Stellaria
: Stellaria monosperma
変種 : オオヤマハコベ
S. m var. japonica
学名
Stellaria monosperma Buch.-Ham. ex D.Don var. japonica Maxim.[1]
シノニム
和名
オオヤマハコベ(大山繁縷)[3]

オオヤマハコベ(大山繁縷、学名:Stellaria monosperma var. japonica)は、ナデシコ科ハコベ属多年草インドなどに分布する、S. monosperma var. monosperma を分類上の基本種とする変種[3][4][5]

特徴[編集]

は直立して高さは40-120cmになり、上部で分枝し、上部に腺毛がある。は対生し、葉身は披針形、卵状披針形、長楕円状披針形で、長さ4-12cm、幅1.5-3cmになり、先端は鋭頭から長鋭尖形で、基部はくさび形、縁は全縁でややしわがよって波打つ。長さ0.2-1.3cmになる短い葉柄があり、基部の茎部は節となってふくらむ。葉の表面に毛は無い[3][4][5]

花期は8-10月。の径は約1cm、上部の葉腋から大きな円錐状の集散花序をだし、多数頂生する。花柄は長さ3-12mmになり、腺毛があって、ふつうは小さい。片は5個、軟質で披針形になり、長さは3.5-5mm、先端が鋭尖形になり、背面に長さ3mmになる腺毛がある。花弁は白色で5個、萼片より明らかに短く、爪部が細く先は2中裂し、裂片はとがる。雄蕊は5個あり、花弁より長く、葯は黄白色になる。子房胚珠3個を含み、卵球形になり、その上に3個の花柱がある。果実は萼片より短い卵形の蒴果となり、1種子を含み、裂開しない。種子は褐色になり、径約2.5mmの円形で、表面は平滑。他の2個の胚珠は不稔となる[3][4][5]

分布と生育環境[編集]

日本では、本州(岩手県以南)、四国、九州に分布し、山地の夏緑林の林内、林縁や湿った林内に生育する[3][4][5]。国外では台湾中国大陸(中部・南部)に分布する[4]

名前の由来[編集]

和名オオヤマハコベは、「大山繁縷」の意で、「大型のヤマハコベ(山繁縷)」の意味[5]

種小名(種形容語)monosperma は、「種子が一個の」の意味[5]

ギャラリー[編集]

基本種[編集]

  • 基本種(基準変種)Stellaria monosperma var. monosperma - は葉に葉柄が無く、葉の基部は茎を抱き、萼片は乾膜質となる。雄蕊は5個または10個あり、種子は径約3mmと大きく、表面に微小な突起かしわがある。インドヒマラヤ地域からアフガニスタンにかけて分布する[4]

脚注[編集]

  1. ^ オオヤマハコベ「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  2. ^ オオヤマハコベ「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  3. ^ a b c d e 『山溪ハンディ図鑑2 山に咲く花(増補改訂新版)』p.259
  4. ^ a b c d e f 『改訂新版 日本の野生植物 4』p.125
  5. ^ a b c d e f 『新牧野日本植物圖鑑』p.86, p.1337

参考文献[編集]