ウルル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索

座標: 南緯25度20分41.3秒 東経131度2分6.6秒 / 南緯25.344806度 東経131.035167度 / -25.344806; 131.035167

ウルルの全景
ウルルの斜面

ウルル(Uluru)はオーストラリア大陸にある世界で2番目に大きい一枚岩エアーズロック(Ayers Rock)とも呼ばれる。ウルルは先住民のアボリジニーの呼び名であり、エアーズロックはイギリスの探検家によって名づけられている。

世界最大の一枚岩であるマウント・オーガスタスよりも知名度が高い事などから、しばしば書籍やWebサイト、テレビなどにおいて「エアーズロックは世界最大の一枚岩である」などと紹介されるケースがある[1]。しかし、マウント・オーガスタスはエアーズロック(ウルル)の倍以上の大きさがある[2]

概要[編集]

オーストラリアのほぼ中央に位置し、ノーザンテリトリー、ウルル-カタ・ジュダ国立公園内に存在する。西オーストラリア州にあるマウント・オーガスタスに次いで、世界で二番目に大きな単一の岩石である。『世界の中心』という意味合いで「大地のヘソ」、若しくは、「地球のヘソ」と呼ばれることもある。ウルルとはもともとはアボリジニによる呼称で、1980年代から正式名称として使われ始めた。ウルルはアボリジニの聖地でもある。日本では、2001年に刊行された片山恭一の『世界の中心で、愛をさけぶ』の舞台になったことでファンの間で知られている。

空中写真

歴史[編集]

ウルルの別称であるエアーズロックという名称は1873年イギリス探検家ウィリアム・ゴスが探検行の途中で発見し、当時のサウス・オーストラリア植民地総督ヘンリー・エアーズにちなんで名づけたものである。

現在、ウルルの所有権はピッティンジャラジャ評議会というアボリジニの組織が有しており、オーストラリア政府にリースしている。

杭を打って鎖を張った登山路が設置されており、山頂まで登ることも事実上は可能ではあるが、雨の後や風が強い日、アボリジニの儀式の時は登山禁止となる。しかし、アボリジニの人たちにとってはウルルは聖地であり、本来はアボリジニの一部の人以外は登ることができなかったことから、儀式がない時期においても観光客などの部外者がウルル登山をすることを好ましく思っていないのも事実である。このため、2009年7月にオーストラリア政府が2011年10月にも入山禁止の措置を取る計画を行なっていることが明らかになったが[3][4]、2010年1月8日に観光業界に配慮し、登山を当面認めることを発表した[5]

ウルル周辺にもアボリジニの聖地がいくつかあり、許可無く立ち入った場合は罰金が科せられる。

太陽の当たり方で色が変わって見え、朝陽と夕陽による鮮やかな赤色は特に美しい。ウルルの赤色は、鉄分が酸化して赤色になった為で、ウルルを形成する砂岩が鉄分を含んでいるからである。

ノッチと呼ばれる風食によって出来た巨大なくぼみや穴などがあり、ウルル表面の色、裂け目などにはそれぞれ意味があり精霊が宿っているとされる。

またウルルにはアボリジニの遺した壁画があり、その壁画には精霊や水場の位置が描かれている。最も古いものは1千年程度前のものと推定される。アボリジニがウルル周辺に住み着いたのは、今から1万年以上前といわれる。 1985年から2084年まで一帯の土地をオーストラリア国立公園ならびにワイルド・ライフサービスに貸すことになった。

1987年にはユネスコ世界遺産(複合遺産)に登録された。

ウルルは岩盤が長期的に削剝され形づくられたもので、比高335m(標高868m)、周囲は9.4kmとなっている。またその表面には地表からほぼ垂直に無数の縦じまがある。その縦じまは地層であり、詳しくは下述の通りである。

ウルルの形成過程[編集]

カタ・ジュタとウルルの概要

6億年前、現在ウルルがある地域は8000m級の山脈があったと考えられている。その山脈を流れていた川は、山からふもとへ砂を大量に運び出し、扇状地を形成した。

それから1億年経過した5億年前には、8000m級の山脈は侵食を受け消滅したと見られている。侵食によって流された、以前は山脈を形成していた土砂は扇状地の上に覆いかぶさり、扇状地の砂を砂岩へと変化させた。また4億年前には地殻変動が起こり、元は扇状地の砂であった砂岩の地層は大きく褶曲し、向斜構造となった。

その後、向斜構造の砂岩層とその地域全体が雨や風などの侵食を受けた。砂岩の地層は周りの土砂よりも硬かったため侵食の度合いが少なく、その地層のみが残る形となり、その結果ウルルは7000万年前にはほぼ現在の姿となった。なお、地表部は全体の5%に当たる。

気候[編集]

砂漠気候で年間降水量は285㎜と少ない。月間平均気温は5月~8月が最高20~24度C、最低5~9度C。9月~4月が最高29~39度C、最低11~23度Cである。

ウルル観光[編集]

ウルルが夕陽、朝陽を浴びて刻々とその岩の色が変化していく様子を楽しむ、「サンセット鑑賞」、「サンライズ鑑賞」、そしてウルルに登る「登山」が、ウルル観光の三大要素となっている。ウルル登山の前半の3分の1の行程は最大斜度46度にもなり、岩の上に張られた鎖につかまってよじ登る。山頂までの往復には2-3時間かかる。過去には転落死亡事故も発生している。

アボリジニの間では一部の祭司以外は登山が認められていなかったウルル登山であったが、オーストラリア政府による観光開発と、これに便乗した旅行会社によって観光化されて世界中に広く行き渡った。ウルルを観光資源とするために、オーストラリア政府は前述のピッティンジャラジャ評議会に毎年膨大な額のリース料とウルル=カタ・ジュタ国立公園 入場料の一部を支払っている。一方、アボリジニの人々には、ウルルがアボリジニの重要な聖地とする風俗上の理由や、オーストラリアの植民地としての歴史的な理由から、観光客によるウルル登山を快く思われていない。現在ではアボリジニを尊重して登山を推奨しない旅行会社も多く、土産物店で「私はウルル登山しません」とプリントされたTシャツやステッカーなども販売されている。しかし、リース料などの観光収入は彼らの貴重な収入源となっているため、観光客による登山を仕方なく認めている現状がある。(ただしこのリース料はウルルを観光資源とするというだけで、登山を前提としているわけではない。)入場料は25豪ドルである。宗教上、写真撮影が禁止されている場所がある。

ウルルへの登山口は次の様な条件によって閉鎖されている場合が多い。

  • 気温:その日の最高気温が36度以上に気温が上がると予想される場合、朝の8時に閉鎖
  • 風:2500フィート(25ノット)以上の風が吹くと予報された場合
  • 強い低気圧:ウルル50キロ以内の北西又は南西に強い低気圧が観測された場合
  • 雨:今後3時間以内に20%以上の確率で降雨が予報された場合
  • 雷:今後3時間以内に5%以上の確率で雷雲の発生が予報された場合
  • 曇天:ウルルの山頂より低く雲が出ている場合
  • 明るさ:日の出の1時間半以上前、及び日の入り後1時間半後
  • 救援活動:ウルルにて救援活動が行われている場合
  • 文化的な理由:アボリジニの人の宗教・文化的な行事が行われる場合[6]

ウルル周辺の観光地としては、カタジュタキングスキャニオンがある。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 青春出版社『世界で一番おもしろい地図帳』、JTB旅行サイト(デッドリンク)など
  2. ^ 管野浩編 『雑学おもしろ事典』 p.205 日東書院 1991年
  3. ^ http://www.47news.jp/CN/200907/CN2009071001000712.html エアーズロック入山禁止で論争 共同通信2009年7月10日配信
  4. ^ エアーズロック登山禁止へ”. 読売新聞 (2009年7月21日). 2010年1月9日閲覧。
  5. ^ 観光業に配慮して…豪州「エアーズロック」登山継続”. スポニチ (2010年1月8日). 2010年1月9日閲覧。
  6. ^ エアーズロック旅行情報、旅行情報.JP