インセンティブ (携帯電話)

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携帯電話PHSにおけるインセンティブとは、携帯電話・PHSの販売促進のために電気通信事業者側が販売代理店に支払う報奨金のこと。販売奨励金とも呼ばれる。

目次

[編集] 概要

携帯電話端末の価格は、本来であればミドルクラスで4~5万円、ハイエンドであれば6~7万円程度である。これを販売店側が 新規契約するユーザーや一定期間以上その機種を使用したユーザーに対して、端末価格をミドルクラスで1~2万円、ハイエンドで2~3万円程度にまで値下げしている。古めの機種の場合、新規契約するユーザーに限り、1円など破格の値段で販売されている機種も多い。販売店側が端末価格をこれだけ値引きできる理由は、携帯電話会社から支払われる報奨金のおかげで、これがインセンティブに当たる。日本韓国で用いられている。

ユーザーを新規で獲得すると、1契約あたり一定金額が報奨金としてキャリアから支払われるので、これで端末価格の元を取ることができる。ただし、この報奨金はユーザーが携帯電話を一定以上契約・使用しないと支払われないため、ユーザーが短期間で解約や機種変更すると、端末価格の元を取ることが出来なくなる。そのため、短期間での機種変更は原価に近い価格となる。

また、新規契約された携帯電話・PHSから発生する通話料金についても、その中の一定の割合が一定期間(通常販売後3~5年間程度)販売代理店に支払われる。かつて光通信が、携帯電話の架空契約(寝かせ)を大量に行っていたことが発覚したことに伴い携帯電話販売事業を大幅に縮小したにも関わらず、倒産するという事態にならなかったのは、過去に販売した携帯電話から発生する通話料金のインセンティブ収入があったためである。

これらの仕組みは、日本においては元々中継電話サービスにおける契約者の獲得のために行われていたスキームを携帯電話に応用したものであり、後に家庭向けのADSLFTTH直収電話サービスが本格化した際にも同様のスキームが導入されるなど、必ずしも携帯電話に限った仕組みではないが、現在では携帯電話におけるものが最も有名となっている。

[編集] 弊害

日本国内の携帯電話はインセンティブのおかげで、2006年3月末時点では普及率が75%を超えるまでになったが(参考)、同時にインセンティブによる弊害も出ている。

この制度を利用して、端末を新規価格で入手したあとすぐに解約して、付加機能目当てに使ったり、新規と機種変更の価格差が大きい場合などや、短期間での機種変更に利用されたりするケースが出ている。この場合はキャリアから報奨金が入らなくなるため、販売店が損をすることになってしまう。こうした行為に対して、販売店によっては独自で違約金を設定している所もあり、これは通称縛りと呼ばれている。しかし、事業者等とのサービス利用契約について、当該事業者等が中途解約を制限するのは総務省の通達[1]により禁止されている。そのため、本件のような縛りも違法無効であると言う論もあるが、単に販売店と電話機購入者との間の電話機購入に関する問題だとして合法とする論もある。

また、この奨励金は顧客の通話料などの利用料金から捻出されるものであるので、同じ機種を長く使う(=長く機種変更をしない)ほど損をするという構図にもなる。各社とも長期割引や端末購入時の値引きをしているものの、それによって均等化がなされているとは到底いい難い。

更に、普及率の上昇に伴って新規のユーザー数が以前ほど見込めなくなったことから、この制度も破綻するのではないかと言われている。これは、新規で契約するユーザーが減少すれば、収入増加が期待できなくなるため、インセンティブも捻出出来なくなるからであると言われている。

[編集] 今後のインセンティブのありかた

2007年6月22日、総務省はインセンティブ廃止についての意見をまとめた。これによると、2008年度から、端末価格と通話料とが分離できる料金制度の導入を従来の料金制度と並行して試行する、というもの。これは、インセンティブ廃止を即座に実施した場合、端末価格が急上昇し、その結果端末の販売が不振になり、販売店・代理店の廃業や端末メーカーの撤退が多発し、最終的にはユーザーのみならず業界にとって不利な事態になることを懸念してのことであり、2010年度には、端末価格と通話料とが分離した料金制度のみとする方針である。但し、従来のインセンティブ制度では販売店・代理店・量販店での自由な価格設定であったが、現在の料金制度では、各キャリアの各地域の支社及び各都道府県の支店の主導により定められた価格により価格設定がされ、販売店・代理店・量販店での価格(購入サポートによる割引分含む)が横並びになってしまう現象が発生している。

世界的に見ると、この仕組みを採用している国は稀であり、日本では1円で入手できる端末が欧米をはじめとする諸外国では数万円する、というケースがほとんどだ。その代わりに基本使用料や通話料が日本と比較にならないほど安い。ただし、諸外国では12~24ヶ月使用する事を前提に端末価格を限りなく無料にするという販売方法もとっており、インセンティブの廃止=端末価格の高騰という事には必ずしもならない。むしろ契約期間を縛る方が主流である。

最終的に総務省は、現在のキャリア主導の端末開発を取りやめ、メーカーが思い思いに端末を作り、独自に販売し、その後にユーザが好きなキャリアを選ぶというスタイルにしたいと言う。まさしくこれは現在の諸外国の携帯電話ビジネスモデルである。但し、モバイルブラウザ及びフルブラウザeメール又はMMSアプリがキャリア毎に仕様が違い、その仕様を吸収していくのが課題である。

ソフトバンクモバイルの「スーパーボーナス」は、インセンティブモデルの見直しを目的として開始されたもので、日本の携帯電話業界としては初の、端末代金の割賦(かっぷ)方式を取っている。これは諸外国の販売スタイルと似てはいるが、割賦、つまりローンを組んで端末を買うものである。また、26ヶ月以内に機種変更解約などを行うと残りの割賦金を支払わなければならない制約はある。

他の携帯電話事業者も、2007年に「スーパーボーナス」とほぼ同種の料金設定を総務省の指導により導入した。auブランドを展開するKDDI11月12日から「au買い方セレクト」の名でスタート。しかし、従来の料金体系に比べ割高となっている。KDDIは「従来型の料金プランに対する需要はまだ多く、従来型の料金プラン(フルサポートコース)を主体とする」方針で臨んでいる。一方で最大手のNTTドコモグループは、その2週間後にFOMA 905iシリーズの発売に合わせ「バリューコースベーシックコース」の名で導入。NTTドコモは総務省の指導に従い「将来的にはこちらをメインにする」との方針を示しており、2年間の料金比較で、バリュープランのほうが結果的に割安となるように料金体系を設定している。

しかし、分離プラン導入は携帯の買い替え需要冷え込みを招いた。さらに新料金プラン導入と同時に株価下落や物価高騰が深刻化し、国内経済の冷え込みとのダブルパンチとなり、2008年10月には出荷台数の前年同月比が5割を割り込んだ。さらに国内首位のシャープをはじめ国内全てのメーカーが出荷台数減少となり、キャリア別でも全キャリアが20%以上の減少となっている。三洋電機三菱電機ノキア(日本市場より)などが撤退するという事態も起こっており、世界経済の冷え込みが深刻化する中、更なるメーカー・キャリア再編が起こる可能性もある。

[編集] 脚注

  1. ^ 総務省 電気通信サービスFAQ

[編集] 関連項目