アクセル・ホネット

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アクセル・ホネット(「ジェンダーセンター開設記念講演会『労働と承認』」)  2010年3月21日(明大)

アクセル・ホネット(Axel Honneth, 1949年 - )は西ドイツエッセン出身の哲学者である。ホネットは、1949年7月18日に西ドイツのエッセンで生まれた。ボン、ボーフム、ベルリンそしてユルゲン・ハーバーマスの指導のもとにミュンヘンで学び、1996年にフランクフルト大学に移る前は、ベルリン自由大学とニュースクールで教鞭をとっていた。 2001年の春から、1950年代マックス・ホルクハイマーテオドール・アドルノによりフランクフルト・アム・マインフランクフルト大学に設立された社会研究所Institut für Sozialforschung, 通称IfS)の所長を務めている。

略歴[編集]

1969年から1974年まで、ボン大学ボーフムルール大学において哲学、社会学ドイツ文学を学び、哲学課程において卒業。1977年にはベルリン自由大学の社会学研究所の助手に就任した。

1983年にはベルリン自由大学のウルス・イェギ (独語 Urs Jaeggi) の下において執筆した『Foucault und die kritische Theorie』(フーコー批判理論)と題した論文により博士号を取得。後にこの論文は『Kritik der Macht』(邦題『権力の批判』)として公表される。同年からフランクフルト大学哲学科の助手に就任し、併行してベルリンの社会学研究所では特別研究員として研究を行う。

1990年6月には、フランクフルト大学において『Kampf um Anerkennung』(邦題『承認をめぐる闘争』)という論文で哲学科の教授資格を取得し、1991年にはコンスタンツ大学助教授に就任。その1年後にはベルリン自由大学オットー・ズーア政治学研究所における法哲学の教授に就任する。さらに、1995年9月から1996年4月まで、テオドア・ホイス客員教授としてニューヨークニュースクール・フォー・ソーシャル・リサーチ (New School for Social Research) で働き、その後フランクフルト大学哲学科教授に就任。そこで批判理論が発祥した社会研究所の評議会に参加する。同年、アムステルダム大学の哲学部で数ヶ月間にわたりバールーフ・デ・スピノザを教える。2001年、社会研究所の所長に就任。また、雑誌『Deutsche Zeitschrift für Philosophie』『European Journal of Philosophy』『Constellations』の編集者でもある。 2011年からは、さらに、ニューヨーク市のコロンビア大学における哲学部門のジャック・C・ワインスタイン教授になっている。

業績[編集]

ホネットの研究は、社会哲学、道徳哲学、特に権力関係、承認、配慮を軸としている。
彼の核心の論点の1つには、社会関係を理解する上で、『承認』(独語Anerkennung)の間主観的な関係の優先性がある。
このことは、社会的な対人関係的な衝突の基礎として、非承認ないし誤った承認を含んでいる。
例えば、共同体における財の配分に関わる不満は、根本的には承認の闘争である。
彼の最初の主な研究である『権力の批判』では、批判的社会理論の思慮深い段階において、フランクフルト学派とミヒャエル・フーコーとの間における類似点を探求している。
彼の2番目の研究『承認の闘争』において、社会的衝突の道徳的な基本原理である承認概念が、主にゲオルグ・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲルの初期の社会哲学の業績から見出されている。それは、一方では、ジョージ・ハーバート・ミードの社会心理学、ハーバーマスのコミュニケーション倫理、ウィニコットの対象関係理論によって、補完されている。
ホネットのこれらの批判的適応は、以前のアプローチの欠点を改善しようとする試みとして批判的社会理論の基礎になっている。
2003年に、ホネットは、フェミニストのナンシー・フレーザーと『承認か、再分配か?』を共同出版した。フレーザーは、ホネットの思想における経済的再分配理論のようなものとして、構造的社会政治学上のカテゴリーを超える承認のような倫理的なカテゴリーの優先性を批判している。
彼の最近の業績である『物象化』(独語Verdinglichung)は、西欧マルクス主義のキー概念を再定義している。
ホネットにとって物象化のあらゆる形式は、カール・マルクスやゲオルグ・ルカーチによって議論されたものと同じ資本主義のような社会システムの構造的性格の中に埋もれてきた、間主観性に基礎付けられた原理と公共性の問題へと焦点を移している(位相している)わけである。

フランクフルト学派における位置づけ[編集]

ホネットはフランクフルト学派の第3世代に位置づけられるとされる。特に社会哲学の分野で承認の観点から考察を加え、かつてのユルゲン・ハーバーマスの助手としては最も発言を行う哲学者の一人として見られており、フランクフルト学派を代表する哲学者として活動を行っている。

日本語訳著書[編集]

単著[編集]

共著[編集]

リンク[編集]