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「コンピュータ・コントロールド・ヴィークル・システム」の版間の差分

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== 概要 ==
== 概要 ==
1960年代にモータリゼーションの発達に伴う諸問題を解決すべく計画された[[新交通システム]]計画の一つとして通商産業省と機械振興協会が中心となり構想を発表<ref name="jsae">[http://www.jsae.or.jp/~dat1/interview/interview111202.pdf 自動車技術・社会のさらなる発展を目指して（技術者～教育者～研究者の立場から）] - 近森順（[[自動車技術会]]）</ref><ref name="ieej91_12">[https://doi.org/10.11526/ieejjournal1888.91.12_2211 新しい都市内交通システム] - 電気学会雑誌91巻12号（J-Stage）</ref>。1970年に開催された[[日本万国博覧会]]の自動車館で展示されたコンピューター制御の2人乗り電気自動車を用いた未来の都市交通の可能性を表した「交通ゲーム」システムを発展させる形で開発に着手<ref>[https://doi.org/10.1299/jsmemag.75.640_738 わが国における個別輸送機関(CVS)の開発計画について<都市交通問題小特集号>] - 日本機械学会誌75巻640号（J-Stage）</ref><ref>[https://www.iatss.or.jp/common/pdf/publication/iatss-review/37-3-02.pdf 特集近未来の交通システム ITS礼賛] - 井口雅一（国際交通安全学会）</ref>。全体を[[石井威望]]、車両を井口雅一、ガイドウェイを越正毅が取りまとめ民間企業に委託し[[三菱自動車]]・[[三菱重工業]]・[[マツダ|東洋工業]]が車両、[[東芝]]・[[日立製作所]]・[[富士通]]・[[住友電工]]・[[日本電気]]が通信やシステム、[[新日本製鐵]]がガイドウェイを担当した<ref name="jsae"/>。運輸省の新交通システムの分類では「個別輸送システム」として扱われた<ref name="mext"/>。
1960年代にモータリゼーションの発達に伴う諸問題を解決すべく計画された[[新交通システム]]計画の一つとして通商産業省と機械振興協会が中心となり構想を発表<ref name="jsae">[http://www.jsae.or.jp/~dat1/interview/interview111202.pdf 自動車技術・社会のさらなる発展を目指して（技術者～教育者～研究者の立場から）] - 近森順（[[自動車技術会]]）</ref><ref name="ieej91_12">{{Cite journal|和書|author=石井威望, 井口雅一, 越正毅 |title=新しい都市内交通システム |url=https://doi.org/10.11526/ieejjournal1888.91.12_2211 |journal=電氣學會雜誌 |issn=0020-2878 |publisher=電気学会 |year=1971 |volume=91 |issue=12 |pages=2211-2214 |naid=130003435848 |doi=10.11526/ieejjournal1888.91.12_2211}}</ref>。1970年に開催された[[日本万国博覧会]]の自動車館で展示されたコンピューター制御の2人乗り電気自動車を用いた未来の都市交通の可能性を表した「交通ゲーム」システムを発展させる形で開発に着手<ref>井口雅一, 石 威望, 越正毅, 「[https://doi.org/10.1299/jsmemag.75.640_738 わが国における個別輸送機関(CVS)の開発計画について<都市交通問題小特集号>]」『日本機械学会誌』 1972年 75巻 640号 p.738-746, , {{doi|10.1299/jsmemag.75.640_738}}, {{naid|110002470635}}。</ref><ref>[https://www.iatss.or.jp/common/pdf/publication/iatss-review/37-3-02.pdf 特集近未来の交通システム ITS礼賛] - 井口雅一（国際交通安全学会）</ref>。全体を[[石井威望]]、車両を井口雅一、ガイドウェイを越正毅が取りまとめ民間企業に委託し[[三菱自動車]]・[[三菱重工業]]・[[マツダ|東洋工業]]が車両、[[東芝]]・[[日立製作所]]・[[富士通]]・[[住友電工]]・[[日本電気]]が通信やシステム、[[新日本製鐵]]がガイドウェイを担当した<ref name="jsae"/>。運輸省の新交通システムの分類では「個別輸送システム」として扱われた<ref name="mext"/>。


1971年東京モーターショーにて東京銀座を1/20スケールで再現した[[ジオラマ]]の上をコンピュータ制御された60台の模型自動車が走行するデモンストレーション展示を経て<ref name="ieej91_12"/>、同年後半より実規模実験計画へ移行<ref name="htiachi">[http://www.hitachihyoron.com/jp/pdf/1974/12/1974_12_14.pdf CVSスーパーウェイ計算機制御システム] - 日立評論1974年12月号（日立製作所）</ref>。[[1973年]]8月から[[1976年]]6月にかけては東村山の通産省機械試験所跡地に全長4.8[[キロメートル|km]]に及ぶ実験線を設けて総合実験を実施<ref name="jsaeiguchi"/><ref name="mext">[http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/html/hpaa197601/hpaa197601_2_017.html 第1部 科学技術発展の回顧と新たな課題 第2章　社会開発分野における技術革新への期待 第1節　社会開発分野における科学技術の役割 2 課題例] - 昭和51年版科学技術白書（[[文部科学省]]）</ref>。内側メンテナンスエリアでの低速実験を皮切りに1974年1月に2kmの外周部「スーパーウェイ」にて高速実験に着手<ref name="htiachi"/>、実物大のCVS車両100台でコンピュータ制御により時速60km・1秒間隔での安全走行実験に成功している<ref>[http://www.bio.titech.ac.jp/event/event_pdf/kuramae/kuramae2012/06-impres.pdf 自動車技術者のつぶやき—失敗と成功は表裏一体] - 東京工業大学生命理工学院生命理工学系</ref>。[[1975年]]に開催された[[沖縄国際海洋博覧会]]では1.6kmの周回コースに停留所5か所を設け16台の車両で会場内のアクセスを担った<ref>[https://doi.org/10.5100/jje.14.23 新交通システムと人間工学の課題] - 人間工学14 巻(1978)1号（J-Stage）</ref>。
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その後はオイルショックに伴う経済性の重視からコストのかさむ無人運転の新交通システムは需要の見込める地域に列車編成を設ける形で開発される事となり<ref>[https://doi.org/10.11526/ieejjournal1888.102.6 実現した新交通システム-中量軌道輸送システム-] -
その後はオイルショックに伴う経済性の重視からコストのかさむ無人運転の新交通システムは需要の見込める地域に列車編成を設ける形で開発される事となり<ref>井口雅一, [https://doi.org/10.11526/ieejjournal1888.102.6 実現した新交通システム―中量軌道システム―]」『電氣學會雜誌』 1982年 102巻 1号 p.6-9, 電気学会, {{doi|10.11526/ieejjournal1888.102.6}}, {{nai|130003610689}}。</ref>、本システムで培われた技術は軌道輸送型の新交通システムや自動車の電子制御サスペンションに用いられた<ref name="jsae"/><ref name="jsaeiguchi">[https://www.jsae.or.jp/~dat1/interview/interview110629.pdf 絶え間のない挑戦が自動車技術の発展を支えていく] - 井口雅一（自動車技術会）</ref>。
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==運用形態・仕様==
==運用形態・仕様==

2020年8月19日 (水) 07:01時点における版

コンピュータ・コントロールド・ヴィークル・システム (Computer-controlled Vehicle System) とは、過去に研究されていた公共交通機関のひとつである。アルファベットの頭文字をとってCVSと略された。

概要

1960年代にモータリゼーションの発達に伴う諸問題を解決すべく計画された新交通システム計画の一つとして通商産業省と機械振興協会が中心となり構想を発表[1][2]。1970年に開催された日本万国博覧会の自動車館で展示されたコンピューター制御の2人乗り電気自動車を用いた未来の都市交通の可能性を表した「交通ゲーム」システムを発展させる形で開発に着手[3][4]。全体を石井威望、車両を井口雅一、ガイドウェイを越正毅が取りまとめ民間企業に委託し三菱自動車・三菱重工業・東洋工業が車両、東芝・日立製作所・富士通・住友電工・日本電気が通信やシステム、新日本製鐵がガイドウェイを担当した[1]。運輸省の新交通システムの分類では「個別輸送システム」として扱われた[5]。

1971年東京モーターショーにて東京銀座を1/20スケールで再現したジオラマの上をコンピュータ制御された60台の模型自動車が走行するデモンストレーション展示を経て[2]、同年後半より実規模実験計画へ移行[6]。1973年8月から1976年6月にかけては東村山の通産省機械試験所跡地に全長4.8kmに及ぶ実験線を設けて総合実験を実施[7][5]。内側メンテナンスエリアでの低速実験を皮切りに1974年1月に2kmの外周部「スーパーウェイ」にて高速実験に着手[6]、実物大のCVS車両100台でコンピュータ制御により時速60km・1秒間隔での安全走行実験に成功している[8]。1975年に開催された沖縄国際海洋博覧会では1.6kmの周回コースに停留所5か所を設け16台の車両で会場内のアクセスを担った[9]。

その後はオイルショックに伴う経済性の重視からコストのかさむ無人運転の新交通システムは需要の見込める地域に列車編成を設ける形で開発される事となり[10]、本システムで培われた技術は軌道輸送型の新交通システムや自動車の電子制御サスペンションに用いられた[1][7]。

運用形態・仕様

  • 「CVSストップ」は約100m間隔で設けられ、どこからでも1分以内で乗り場へ行くことが可能。車両を呼ぶと、2-3分で空車が来て乗ることができる。都市内には電気式ガイドウェイによる専用道路がはりめぐらされ、チケットを入れボタンを押すだけでルートや速度を自動的に判断し人や荷物を目的地まで運ぶ。速度はすいている場合で40km/hで走行する。
  • フルサイズシステムで用いられる車両は広範囲の公共活動を担うべく4種が考案され、需要が大きい場合は連結し列車方式で運行するとした[2]。
    • パーソナルカー - 定員2-4人、個人または小集団が乗車。
    • ワゴン - 小型貨物を積載。
    • 特殊車 - 緊急車両、システム保全車両
    • 長大車 - バス、連結貨物車
仕様[6]
  • システム運行
    • 最大車線容量：約15,000人/h
    • 最小車頭間隔：約1秒
    • 巡航速度：時速40.6km
    • 常用加減速度：0.2G
    • 緊急時最大加減速度：2G
  • ストップ（停留所）
    • 停車方式：オフラインストップ
    • ワゴン乗降方式：自動荷役
    • 出改札：自動
    • パーソナルカー最大乗車容量：12人/分
    • 最小駅間隔：100m
  • ガイドウェイ
    • 最大勾配・最大カント：10%
    • 最小回転半径：5m
    • 標準スパン：20-30m
    • 標準支柱径：600-1500m
    • 標準桁高さ：700mm
  • 車両（ワゴン・パーソナルカー）
    • 寸法：長さ3000×幅1600×高さ1850mm
    • 自重：1t
    • 定員：4人/両
    • 推進：直流電気駆動
    • 電源：AC200V
    • 誘導：中央案内溝方式
    • 分岐方式：車上選択
    • 車体支持：空気入りゴムタイヤ
  • 制御
    • 車間速度制御：ムービングターゲット方式によるコンピュータ制御
    • 衝突防止方式：ムービングロック方式
    • 配車：ターゲット予約方式
  • 通信
    • 車両制御用：誘導無線方式、1200ボー全二重移動無線電話
    • 乗客サービス用：一般電話
  • メンテナンス
    • 車両：自動メンテナンス
    • 通信：コンピュータ自動検査

参考文献

  • 学研の図鑑『自動車・船』 P52-53（1972年刊）
  • 石井威望、井口雅一、越正毅「CVS-都市交通の革命児」、サイエンス、1974年8月号、P10-23

出典

  1. ^ a b c 自動車技術・社会のさらなる発展を目指して（技術者～教育者～研究者の立場から） - 近森順（自動車技術会）
  2. ^ a b c 石井威望, 井口雅一, 越正毅「新しい都市内交通システム」『電氣學會雜誌』第91巻第12号、電気学会、1971年、2211-2214頁、doi:10.11526/ieejjournal1888.91.12_2211、ISSN 0020-2878、NAID 130003435848。 
  3. ^ 井口雅一, 石 威望, 越正毅, 「わが国における個別輸送機関(CVS)の開発計画について<都市交通問題小特集号>」『日本機械学会誌』 1972年 75巻 640号 p.738-746, , doi:10.1299/jsmemag.75.640_738, NAID 110002470635。
  4. ^ 特集近未来の交通システム ITS礼賛 - 井口雅一（国際交通安全学会）
  5. ^ a b 第1部 科学技術発展の回顧と新たな課題 第2章 社会開発分野における技術革新への期待 第1節 社会開発分野における科学技術の役割 2 課題例 - 昭和51年版科学技術白書（文部科学省）
  6. ^ a b c CVSスーパーウェイ計算機制御システム - 日立評論1974年12月号（日立製作所）
  7. ^ a b 絶え間のない挑戦が自動車技術の発展を支えていく - 井口雅一（自動車技術会）
  8. ^ 自動車技術者のつぶやき-失敗と成功は表裏一体 - 東京工業大学生命理工学院生命理工学系
  9. ^ 井口雅一「新交通システムと人間工学の課題」『人間工学』第14巻第1号、日本人間工学会、1978年、23-27頁、doi:10.5100/jje.14.23、ISSN 0549-4974、NAID 130003869551。 
  10. ^ 井口雅一, 実現した新交通システム―中量軌道システム―」『電氣學會雜誌』 1982年 102巻 1号 p.6-9, 電気学会, doi:10.11526/ieejjournal1888.102.6, Template:Nai。
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