「アフリカンゴールデンウルフ」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
今後どの様な措置を取るかにかかわらず、2008年公開のIUCNレッドリストの Canis aureus の記述を無条件で本項目の出典とするのはどう考えても不適切と判断されますので、これを出典としている要素を全て除去致します。
SilverSpeech (会話 | 投稿記録)
簡単に加筆。体格差については有意差が無いという記述もあったので一旦カット。
2行目: 2行目:
{{Sakujo/本体|2018年6月3日|アフリカンゴールデンウルフ}}
{{Sakujo/本体|2018年6月3日|アフリカンゴールデンウルフ}}
<!-- 削除についての議論が終了するまで、上記部分は削除しないでください。 -->
<!-- 削除についての議論が終了するまで、上記部分は削除しないでください。 -->

{{暫定記事名|date=2018年8月}}
{{生物分類表
{{生物分類表
|省略 = 哺乳綱
|省略 = 哺乳綱
18行目: 20行目:
}}
}}


''Canis anthus'' は2015年に Klaus-Peter Koepfli らが提唱した[[食肉目]][[イヌ科]][[イヌ属]]の[[種 (分類学)|種]]。従来[[キンイロジャッカル]]に分類されていた食肉類のうち、アフリカに生息しているものを指す。Koepfli らが命名した英語名は'''African golden wolf'''{{Sfn|P. Koepfli et al.|2015|p=2158}}。『[[CNN|CNN.co.jp]]』では'''アフリカキンイロオオカミ'''<ref>{{Cite news|title=アフリカのキンイロジャッカル、実は新種のオオカミだった|url=https://www.cnn.co.jp/fringe/35068353.html|newspaper=CNN.co.jp|date=2015-08-04|accessdate=2018-08-14}}</ref>、『[[ナショナルジオグラフィック]]』では'''アフリカンゴールデンウルフ'''<ref>{{Cite news|title=イヌ属で150年ぶりの新種見つかる|url=https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/15/b/080400024/|newspaper=ナショナルジオグラフィック|date=2015-08-05|accessdate=2018-08-14}}</ref>と翻訳されている。Koepfli が所属している{{仮リンク|スミソニアン保存生態学研究所|en|Smithsonian Conservation Biology Institute}}はイヌ属では150年ぶりの新種だと述べている<ref>{{Cite news|title=On closer look, researchers propose new species: African golden wolf|url=https://edition.cnn.com/2015/08/01/world/african-golden-wolf-feat/index.html|newspaper=CNN|author=Emanuella Grinberg|date=2015-08-02|accessdate=2018-08-16}}</ref><ref>{{Cite web|title=Discovery of the First New Canid Species in Africa|url=https://nationalzoo.si.edu/news/discovery-first-new-canid-species-africa|publisher=Smithsonian Conservation Biology Institute|date=2015-07-30|accessdate=2018-08-16}}</ref>。
'''アフリカンゴールデンウルフ'''({{Snamei|Canis anthus}})<ref name="afg"/> は、[[食肉目]][[イヌ科]][[イヌ属]]に分類される食肉類。
== 形態 ==
外見は概ね[[キンイロジャッカル]]に近いがやや大柄。<ref name="koepfli"/>


== ==
==分==
[[西アフリカ]]と[[エチオピア]]南部から[[エジプト]]にかけて生息していることが確認されている{{Sfn|S. Viranta et al.|2017|p=6}}。
従来はキンイロジャッカルの亜種として扱われていたが、2015年にミトコンドリアDNAの解析から、キンイロジャッカルとは100万年以上前に系統が分かれた別種で、ジャッカルよりもタイリクオオカミに近い種である事が判明。犬属としては150年ぶりの新種となった。<ref name="koepfli">{{cite journal|last1=Koepfli|first1=K.-P.|last2= Pollinger|first2=J.|last3= Godinho|first3=R.|last4= Robinson|first4=J.|last5= Lea|first5=A.|last6= Hendricks|first6=S.|last7= Schweizer|first7=R. M.|last8= Thalmann|first8=O.|last9= Silva|first9=P.|last10= Fan|first10=Z.|last11= Yurchenko|first11=A. A.|last12= Dobrynin|first12=P.|last13= Makunin|first13=A.|last14= Cahill|first14=J. A.|last15= Shapiro|first15=B.|last16= Álvares|first16=F.|last17= Brito|first17=J. C.|last18= Geffen|first18=E.|last19= Leonard|first19=J. A.|last20= Helgen|first20=K. M.|last21= Johnson|first21=W. E.|last22= O'Brien|first22=S. J.|last23= Van Valkenburgh|first23=B.|last24= Wayne|first24=R. K.|title=Genome-wide Evidence Reveals that African and Eurasian Golden Jackals Are Distinct Species|journal=Current Biology|volume=25|issue= | pages= 2158–65|url= http://www.cell.com/current-biology/abstract/S0960-9822%2815%2900787-3|date= 2015-08-17|doi= 10.1016/j.cub.2015.06.060|pmid=26234211|pmc=}}</ref>


==人間との関わり==
== 生態 ==
いくつかの論文では、[[家畜]]を襲う主な[[害獣]]の1つとされている{{Sfn|S. Viranta et al.|2017|p=7}}。


== 参考文献 ==
==研究史==
エジプトのジャッカル ''C. a. lupaster'' は従来キンイロジャッカルに分類されていた{{Sfn|E. Knispel et al.|2011|p=1}}。だが、1880年にインドの[[オオカミ]] ''C. l. pallipes'' と頭蓋骨が類似していることが指摘されるなど、タイリクオオカミ ''C. lupus'' と形態学的に類似点がみられるとの研究報告が複数あり{{Sfn|E. Knispel et al.|2011|p=1}}、タイリクオオカミの[[亜種]]だとする意見もあった{{Sfn|P. Koepfli et al.|2015|p=2159}}。2011年、2012年の''C. a. lupaster'' の[[ミトコンドリアDNA]]を解析した論文も、他のキンイロジャッカルよりタイリクオオカミに近いと報告していた{{Sfn|E. Knispel et al.|2011|pp=1, 4}}{{Sfn|P. Koepfli et al.|2015|pp=2158, 2159}}。
{{脚注ヘルプ}}

2015年、Koepfli らはアフリカとユーラシアに生息しているキンイロジャッカルは100万年以上前に分岐しているとして、2つの独立した種とみなすべきだと主張した{{Sfn|P. Koepfli et al.|2015|p=2159}}。また、ユーラシアの分類群の学名を ''Canis aureus'' としてEurasian golden jackalという英語名を提案し、アフリカの分類群の学名および英語名として ''Canis anthus'' (African golden wolf) を提案した{{Sfn|P. Koepfli et al.|2015|p=2163}}。

''C. anthus'' という学名はこの分類群の中で最初に記載された[[セネガル]]のキンイロジャッカルにつけられたものだったが{{Sfn|P. Koepfli et al.|2015|p=2163}}、この学名には異論もある。2017年、Viranta らは論文中でこの種を African wolf と呼び{{Sfn|S. Viranta et al.|2017|p=2}}、1820年に記載された''C. anthus'' の[[正基準標本]]とされているセネガルのメスの標本は[[ヨコスジジャッカル]]の可能性があると主張した{{Sfn|S. Viranta et al.|2017|p=6}}。これが事実であれば、''C. anthus'' が最初に公式に記載されたのは1847年ということになる{{Sfn|S. Viranta et al.|2017|p=6}}。Viranta らは ''C. anthus'' が種の定義に問題のある{{仮リンク|疑問名|en|Nomen dubium}}であるとして、''Canis lupaster'' を本種の学名として用いた{{Sfn|S. Viranta et al.|2017|p=6}}。

==脚注==
{{Reflist}}
{{Reflist}}

==参考文献==
*{{Cite journal|title=The Cryptic African Wolf: Canis aureus lupaster Is Not a Golden Jackal and Is Not Endemic to Egypt|url=http://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0016385|journal=[[PLOS ONE]]|author1=Eli Knispel Rueness|author2=Maria Gulbrandsen Asmyhr|author3=Claudio Sillero-Zubiri|author4=David W. Macdonald|author5=Afework Bekele|author6=Anagaw Atickem|author7=Nils Chr. Stenseth|date=2011-01-26|volume=6|issue=1|doi=10.1371/journal.pone.0016385|accessdate=2018-08-14|ref= {{SfnRef|E. Knispel et al.|2011}} }}
*{{Cite journal|title=Genome-wide Evidence Reveals that African and Eurasian Golden Jackals Are Distinct Species|url=https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0960982215007873?via%3Dihub|journal=[[カレントバイオロジー|Current Biology]]|author1=Klaus-Peter Koepfli|author2=John Pollinger|author3=Raquel Godinho|author4=Jacqueline Robinson|author5=Amanda Lea|author6=Sarah Hendricks|author7=Rena M. Schweizer|author8=Olaf Thalmann|author9=Pedro Silva et al.|date=2015-08-17|volume=25|issue=16|pages=2158-2165|doi=10.1016/j.cub.2015.06.060|accessdate=2018-08-14|ref= {{SfnRef|P. Koepfli et al.|2015}} }}
*{{Cite journal|title=Rediscovering a forgotten canid species|url=https://bmczool.biomedcentral.com/articles/10.1186/s40850-017-0015-0|journal=BMC Zoology|author1=Suvi Viranta|author2=Anagaw Atickem|author3=Lars Werdelin|author4=Nils Chr. Stenseth|date=2017-04-19|volume=6|issue=2|doi=10.1186/s40850-017-0015-0|accessdate=2018-08-17|ref= {{SfnRef|S. Viranta et al.|2017}} }}


== 関連項目 ==
== 関連項目 ==
{{Commons&cat|Canis_aureus}}
{{Commons&cat|Canis_aureus}}
{{Wikispecies|Canis_aureus}}
{{Wikispecies|Canis_aureus}}
* [[イヌ科]]
*[[キンロジャッカル]]
*[[オオカミ]](Gray wolf, ''Canis lupus'')
** [[イヌ属]]


{{DEFAULTSORT:あふりかんごーるでんうるふ}}
{{DEFAULTSORT:あふりかんごーるでんうるふ}}

2018年8月21日 (火) 01:32時点における版

アフリカンゴールデンウルフ
アフリカンゴールデンウルフ
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
: 食肉目 Carnivora
: イヌ科 Canidae
: イヌ属 Canis
: アフリカンゴールデンウルフ C. anthus[1]
学名
Canis anthus (F. Cuvier, 1820)
和名
アフリカンゴールデンウルフ[1]
英名
African golden wolf

Canis anthus は2015年に Klaus-Peter Koepfli らが提唱した食肉目イヌ科イヌ属。従来キンイロジャッカルに分類されていた食肉類のうち、アフリカに生息しているものを指す。Koepfli らが命名した英語名はAfrican golden wolf[2]。『CNN.co.jp』ではアフリカキンイロオオカミ[3]、『ナショナルジオグラフィック』ではアフリカンゴールデンウルフ[4]と翻訳されている。Koepfli が所属しているスミソニアン保存生態学研究所英語版はイヌ属では150年ぶりの新種だと述べている[5][6]

分布

西アフリカエチオピア南部からエジプトにかけて生息していることが確認されている[7]

人間との関わり

いくつかの論文では、家畜を襲う主な害獣の1つとされている[8]

研究史

エジプトのジャッカル C. a. lupaster は従来キンイロジャッカルに分類されていた[9]。だが、1880年にインドのオオカミ C. l. pallipes と頭蓋骨が類似していることが指摘されるなど、タイリクオオカミ C. lupus と形態学的に類似点がみられるとの研究報告が複数あり[9]、タイリクオオカミの亜種だとする意見もあった[10]。2011年、2012年のC. a. lupasterミトコンドリアDNAを解析した論文も、他のキンイロジャッカルよりタイリクオオカミに近いと報告していた[11][12]

2015年、Koepfli らはアフリカとユーラシアに生息しているキンイロジャッカルは100万年以上前に分岐しているとして、2つの独立した種とみなすべきだと主張した[10]。また、ユーラシアの分類群の学名を Canis aureus としてEurasian golden jackalという英語名を提案し、アフリカの分類群の学名および英語名として Canis anthus (African golden wolf) を提案した[13]

C. anthus という学名はこの分類群の中で最初に記載されたセネガルのキンイロジャッカルにつけられたものだったが[13]、この学名には異論もある。2017年、Viranta らは論文中でこの種を African wolf と呼び[14]、1820年に記載されたC. anthus正基準標本とされているセネガルのメスの標本はヨコスジジャッカルの可能性があると主張した[7]。これが事実であれば、C. anthus が最初に公式に記載されたのは1847年ということになる[7]。Viranta らは C. anthus が種の定義に問題のある疑問名であるとして、Canis lupaster を本種の学名として用いた[7]

脚注

参考文献

関連項目