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これはブッシュフライング(不整地での離着陸)における利点になりうる。特に、障害物で囲まれているような滑走路に離着陸する際には、低速で飛びながら障害物を避けなければならないため、有効である。---> |
これはブッシュフライング(不整地での離着陸)における利点になりうる。特に、障害物で囲まれているような滑走路に離着陸する際には、低速で飛びながら障害物を避けなければならないため、有効である。---> |
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プロペラの位置によっては、離陸時の機首上げで地面と接触しないように[[降着装置]]を長くする必要がある。 |
プロペラの位置によっては、離陸時の機首上げで地面と接触しないように[[降着装置]]を長くする必要がある。[[震電]]では降着装置を長めに設計していたが、テストでの離陸滑走中、機首を上げ過ぎてプロペラ端を地面に接触させる事故を起こしたため、垂直尾翼の下部に車輪を付けている。 |
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尾部の前方にプロペラを設置することで様々な利点もあるものの(上節を参照)、逆に欠点となる場合もある。エンジン出力の加減で尾翼に流れる気流の速度が変化するため、ピッチ&ヨー運動が急激なものになるからである。気性の荒いパイロットは、まずエンジン出力を調整してから飛行経路を維持することが要求されるだろう。 |
尾部の前方にプロペラを設置することで様々な利点もあるものの(上節を参照)、逆に欠点となる場合もある。エンジン出力の加減で尾翼に流れる気流の速度が変化するため、ピッチ&ヨー運動が急激なものになるからである。気性の荒いパイロットは、まずエンジン出力を調整してから飛行経路を維持することが要求されるだろう。 |
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小型機から大型機まで存在する。 |
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2018年9月11日 (火) 14:48時点における版
推進式(すいしんしき、またはプッシャー式、Pusher configuration)とは、航空機においてプロペラが機体後部に設置されている形式のことで、プロペラの回転によって生ずる空気の流れは機体を"押し出す"形になる。これに対して牽引式(トラクター式、Tractor configuration)では、プロペラが機体前部に設置されるため機体を"引っ張る"形になる。
概要
初期の航空機の多くは推進式であり、この中には世界初の有人動力飛行を達成したライトフライヤー号や、ユージン・バートン・イーリーによって初めて艦上からの離陸に成功したカーチス モデルDも含まれている。
第一次世界大戦初期において、イギリスではプロペラの回転域を通過させて前方に射撃する手段を持たなかったため、推進式の航空機(ヴィッカース F.B.5 ガンバス、王立航空機廠(RAF) F.E.2、エアコー DH.2など)が好まれたが、プロペラ同調装置が広く採用された結果、推進式のほとんどの利点は失われた(ドイツでは早期にプロペラ同調装置が開発されたためこの傾向はない)。
牽引式が支持されるようになった。戦後、推進式は絶滅するまでには至らなかったが、新規に開発される航空機では少数派となってしまった
単発・推進式の航空機では、エンジンは機体のナセル後部中心線上に配置される。このような機体では、いわゆる胴体と呼ばれる部分を持っておらず、尾部はプロペラのクリアランスを確保するために枠構造、またはテイルブーム(AGO C.IIや閃電の様に)となっている。
1930年代、スーパーマリン・ウォーラス(水上機)は推進式を採用した。また、ショート S.19 シンガポールのように大型の多気筒エンジンを搭載した場合には、牽引式と推進式を組み合わせたプッシュプル方式(push-pull configuration)が引き続き採用された。極端な例としては、コンベア B-36がある。この機体はこれまでアメリカで運用された爆撃機の中でも最大級の大きさで、P&W R-4360星型エンジンを6基、推進式に配置した。しかしそれでもパワーが不足ぎみであったため、更にB-36DではGE J47 ターボジェット4基(2対)を追加し、合計10基のエンジンを推進式配置することになった。また、震電やサーブ 21ではジェットエンジンが利用できない段階であったにも関わらず、推進式で開発された。
飛行艇ではプロペラを水面から離すため、(スーパーマリン・ウォーラスのようにエンジンごと機体上部に配置する設計の機体が多数存在する(リパブリック RC-3 シービー、SIAI-マルケッティ FN.333、コロニアル スキマー、グッドイヤー ダック、ICON A5など)。
モーターグライダーの中には機体後部にエンジンとプロペラを搭載し、滑空時にプロペラ畳む機種も存在する。
利点
航空機においては潜水艦や船舶においてプロペラ(スクリュー)を後部に配置することに比べ効果は少なとされる[1]。
推進式では牽引式に比べ胴体が短くて済み、機体重量を減らすことが出来る[2]。胴体が短いため風見鳥効果は少なくなるが、離陸滑走中の横風には敏感ではないというメリットもある[3][4]。
単発の牽引式では常に主翼や垂直尾翼にプロウォッシュ(螺旋状の気流)が当たり効率が落ちることに加え、垂直尾翼が気流で押されて機首が左に向く現象が発生し[5]低速時に出力を上げるとピッチとヨーの制御に強く影響する[6]ため、離陸時にはバランスを取るための当て舵操作が必要となり[5]、垂直尾翼をローリング軸から僅かに傾けて取り付ける、エンジンのプロペラ軸を僅かに右に傾けるなどの調整が行われるが、完全には消えない[7]。推進式ではルータン ロング・イージーのようにスリップストリーム(プロペラ後流)の範囲内に尾翼や胴体が入らない設計の場合、胴体周りに流れるプロウォッシュが発生しない[5]。またXB-42 (航空機)は
機体にスリップストリームが当たらない場合は振動が少なくなるため、機内の騒音が軽減される[8]。旅客機では大きなメリットであるためピアッジョ P.180 アヴァンティではセールスポイントの一つとなっている[8]。
欠点
プロペラの位置によっては、離陸時の機首上げで地面と接触しないように降着装置を長くする必要がある。震電では降着装置を長めに設計していたが、テストでの離陸滑走中、機首を上げ過ぎてプロペラ端を地面に接触させる事故を起こしたため、垂直尾翼の下部に車輪を付けている。
採用機種
小型機から大型機まで存在する。
単発機でのプロペラと尾翼の位置関係は、機体後端に配置する(ルータン ロング・イージー)、機体上部に配置する(リパブリック RC-3 シービー、SIAI-マルケッティ FN.333、コロニアル スキマー、グッドイヤー ダック、ICON A5)などがある。
多発機の場合は、ピアッジョ P.180 アヴァンティのようにT字尾翼とすることでスリップストリームが機体に当たらない設計になる。
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モーターグライダー後部に搭載されたエンジンと畳まれたプロペラ
脚注・出典
- ^ Don Stackhouse (14 February 2007), “ASK DJ Aerotech Question”, DJ Aerotech Electrics Soaring and Accessories, オリジナルの21 November 2011時点におけるアーカイブ。
- ^ Raymer, Daniel P., Aircraft Design: A Conceptual Approach,, AIAA, p. 222
- ^ “Grob tests highlight exhaust problem”, Flight International: 11, (24–30 June 1992), オリジナルの20 May 2011時点におけるアーカイブ。 Flight test : Low sensitivity to crosswind gusts and turbulence is another outstanding feature.
- ^ Flight test Results for Several Light, Canard-Configured airplanes, Philip W. Brown, NASA Langley Research Center, Pusher Airplane Evaluation (VariEze), Flying Qualities : Directional control during take-off roll is quite easy, even with a strong, gusty crosswind.
- ^ a b c The Design of the Aeroplane, Propeller Effects, p304-307
- ^ Basic Aerodynamics Term 基本的な航空力学の用語
- ^ [1]
- ^ a b Niles, Russ (2011年12月13日). “Naples Targets Piaggio Noise”. AVweb 2011年12月13日閲覧。
参考文献
関連項目
- 牽引式 (航空機)
- プッシュプル方式 (航空機) - 機体の後部にプロペラを配置する方式。
- ダクテッドファン
- 2重反転プロペラ