「登竜橋 (荒川)」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
修正
→‎風景: 画像の追加
54行目: 54行目:
== 風景 ==
== 風景 ==
<gallery widths="160">
<gallery widths="160">
ファイル:Chichibu Touryuubasi 3.jpg|右岸側橋詰より望む。
ファイル:Chichibu Touryuubasi 3.jpg|右岸側橋詰より望む。[[橋銘板]]に「とうりゅうはし」と記されている
ファイル:Chichibu Touryuubasi 4.jpg|左岸側橋詰より望む。
ファイル:Chichibu Touryuubasi 4.jpg|左岸側橋詰より望む。
ファイル:Ootaki Saitama Kyu-touryuubashi Kasetsukouji 1.jpg|施工中の旧登竜橋(大正初期)。
ファイル:Ootaki Saitama Kyu-touryuubashi Kaitsuushiki 1.jpg|完成祝賀会当日の旧登竜橋。
ファイル:Ootaki Saitama Kyu-touryuubashi Kaitsuushiki 1.jpg|完成祝賀会当日の旧登竜橋。
ファイル:Ootaki Saitama Kyu-touryuubashi 2.jpg|旧登竜橋を渡る山駕籠(大正中期)。
ファイル:Ootaki Saitama Kyu-touryuubashi 2.jpg|旧登竜橋を渡る山駕籠(大正中期)。

2016年2月6日 (土) 16:45時点における版

登竜橋
登竜橋(2015年1月)
基本情報
日本の旗 日本
所在地 埼玉県秩父市
交差物件 荒川
設計者
施工者
増田淳(1914年の橋)
建設 - 1955年
構造諸元
形式 アーチ橋
材料
全長 40.0 m
2.5 m
最大支間長 39.6 m
関連項目
橋の一覧 - 各国の橋 - 橋の形式
テンプレートを表示

登竜橋(とうりゅうばし[1])は埼玉県秩父市大滝の荒川に架かる大輪三峰線歩道(三峰山表参道)[1]の人道橋(歩道橋)である。旧字体登龍橋とも称する。また、大輪登竜橋とも呼ばれる[2]

概要

荒川河口から143.5キロメートルの位置に架かる[3]三峰山の登山道の入り口に位置している橋で、江戸時代以前より続く三峯神社への参拝のための三峰山表参道の一部であり、またかつて運営されていた三峰ロープウェイ2007年12月1日廃止)の大輪駅への交通手段となっていた橋である。現在の橋は1955年完成の三代目の橋で、橋長40.0メートル、幅員2.5メートル、支間長39.6メートル[4]の1径間の上路式の鋼アーチ橋の永久橋である。橋の床板はコンクリート製で石畳風の舗装である。高欄は鋼製で擬宝珠を有する宝珠柱が設置されている。朱塗りが橋全体に施されている。取り付け道路は斜面に沿ってクランク状の線形を有し、敷石舗装が施されている。橋の管理者は秩父市である[5]。橋は運用上は歩行者専用の橋で、車止めは設置されていないが、秩父市により一般車両の通行が禁止されている。橋を通る公共交通機関は設定されていないが、橋詰付近を通る国道140号西武観光バスの「大輪」停留所がある[6][7]

歴史

明治末期の初代登竜橋[8]
1914年架設の旧登竜橋。

明治時代の橋

初代の橋はいつから架けられていたかは定かではないが、明治時代までに[8]現在の橋よりやや下流側の岩の上の低い位置に橋脚を立て、高欄付きの木製の桁橋が初代の登竜橋として架けられていた。この初代の橋は周辺は渓が深いため、その箇所は橋脚が立てられないことから見かけの支間長を小さくするため、両岸から河道の方向に斜めに方杖を2本立てた橋脚を用いて橋桁を支えていた木造方杖橋であった[8][9]。この橋は老朽化により1914年架け替えられた[10][9]。橋の遺構や痕跡は残されていない。

1914年の橋

初代の橋の川上側の位置に1914年(大正3年)開通し、初代の橋より付け替えられた二代目の旧登竜橋は初代の橋よりも高い位置に架設され、斜材を逆ハの字に組んだプラットトラス構造を持つ1径間の木造上路トラスドアーチ橋[9]で、橋の設計者は増田淳である。橋長は40.006メートルあり[11][12]、支間長は38.4メートル、幅員は総幅員は3.9メートルで有効幅員は3.0メートルである[13]。橋面は橋の両端と中央部で0.9メートルの高低差があるため、太鼓橋のように弓なりに反った構造で、アーチリブの全体の高さは支承より5.8メートルである[14]。高欄は檜材製で銅製の擬宝珠が取り付けられた宝珠柱が14箇所設置されていた[11]。アーチライズ比が小さく一見すると桁橋のようにも見える。構造上橋の両端は勾配が付くため階段状に凹凸が設けられていた。

1955年の橋

現行の登竜橋。

先代の橋が架橋から約40年が経過し老朽化したため、ほぼ同様の位置に旧橋のデザインを踏襲した鋼製で、ほぼ同様な構造の鋼上路2ヒンジトラスドアーチ橋として架け替えられ、1955年(昭和30年)開通した[15][4]。これが現在の登竜橋である。橋の施工は松尾橋梁(現、IHIインフラシステム)が行なった[4]。また、橋面は木製からコンクリート製に変わり、高欄の宝珠柱は架け替え前の14箇所から10箇所に減らされた。竣工当時は大滝村に架かる橋であったが、2005年(平成17年)4月1日の合併(平成の大合併)により秩父市の橋となった。 登竜橋は架設から50年以上が経過し、近年橋の床板の背面にコンクリートの剥落により内部の鉄筋の腐食や露出が見られるため、秩父市による補修が望まれている[5]

周辺

登竜橋より下流方向を望む。

周囲は三峰山妙法が岳)のふもとで秩父多摩甲斐国立公園の公園区域である普通地域の区域に指定されている他、橋から三峯神社へと続く三峰山表参道は特別地域の区域でもある[16]。橋付近は約2億年前の秩父帯の地層を有した[17]山間部の深いV字谷となっていて、斜面にへばり付くように点在する大輪地区の集落が点在する他は山林である。 橋の取り付け道路の入り口には土産物屋などの他、三峯神社の鳥居(一の鳥居)や狛犬を模したの像が鎮座し、表参道には江戸時代以前より設立された多数の石碑などが並び、杉並木が続いている[18]。付近にある洞窟には縄文遺跡も存在している[19]。 橋付近の三峰登竜渓は彩の国クールスポット100選に選ばれている[20]。また、奥秩父の紅葉の名所で紅葉シーズンには登竜橋のライトアップが実施される[21]

  • 神庭洞窟遺跡
  • 大輪・神岡歩道
  • 大砥沢 - 荒川の支流
  • 車沢
  • バチ岩沢
  • 竃三柱神社
  • 秩父甲州往還 - 距離の短い峠越えの本線から分岐し、距離の長い荒川沿いの道が付近を通っていた[22]

風景

隣の橋

(上流) - 大中橋 - 神岡橋 - 登竜橋 - 上石橋 - 大血川橋 - (下流)

脚注

  1. ^ a b 秩父多摩甲斐国立公園(埼玉県内)の登山道紹介 - 埼玉県、2015年3月3日閲覧。
  2. ^ 第35回奥秩父大滝紅葉まつり(秩父市三峰) - アイサーフ株式会社(WebGuide秩父)、2015年3月3日閲覧。
  3. ^ 企画展「荒川の橋」荒川・隅田川の橋(amoaノート第8号)” (PDF). 荒川下流河川事務所(荒川知水資料館). 2005年11月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年2月5日閲覧。
  4. ^ a b c 登竜橋1955- - - 土木学会付属土木図書館、2015年3月1日閲覧。
  5. ^ a b ちちぶ市議会だより 第36号 (PDF) p. 5 - 秩父市ホームページ、平成26(2014)年5月10日、2015年3月3日閲覧
  6. ^ 西武観光バス路線案内図(秩父営業所管内) (PDF) - 西武バス、2015年3月3日閲覧。
  7. ^ 秩父市内路線バスのご案内 - 秩父市、2015年3月3日閲覧。
  8. ^ a b c 『ふるさと思い出写真集 明治大正昭和 秩父』43頁。
  9. ^ a b c 登龍橋1914- - 土木学会付属土木図書館、2015年3月3日閲覧。
  10. ^ わが国の木造アーチ橋の変遷” (PDF). 土木学会付属土木図書館. p. 12 (2004年). 2015年3月3日閲覧。木橋技術に関するシンポジウム論文報告集
  11. ^ a b 『登龍橋計算書』p. 53。
  12. ^ 土木学会の歴史的橋梁データベースでは65.0メートルと記され、『わが国の木造アーチ橋の変遷』p. 12(p. 4)で35.0メートルと、文献によって差異が見られる。
  13. ^ 『登龍橋計算書』p. 5。
  14. ^ 『登龍橋計算書』p. 14。
  15. ^ 『荒川 人文II -荒川総合調査報告書3-』231頁。
  16. ^ 秩父多摩甲斐国立公園 - 環境省、2015年2月5日閲覧。
  17. ^ ジオパーク秩父を楽しむコースマップ! (PDF) - ジオパーク秩父、2015年3月3日閲覧。
  18. ^ 三峯神社表参道コース- 秩父観光協会、2015年3月1日閲覧。
  19. ^ 神庭鍾乳洞・神庭半洞窟 - スターエイジ株式会社(洞窟どっとこむ)、2015年3月4日閲覧。
  20. ^ 彩の国 クールスポット100選 - 認定特定非営利活動法人 環境ネットワーク埼玉、2015年3月3日閲覧
  21. ^ 市報ちちぶ 2011年10月号 (PDF) p. 8 - 秩父市、2011年10月10日、2015年3月3日閲覧。
  22. ^ 新旧・街道図会 秩父甲州道4 - 三菱ふそうトラック・バス株式会社、2015年3月8日閲覧。

参考文献

  • 『登龍橋計算書』” (PDF). 土木学会付属土木図書館 (2004年). 2015年3月3日閲覧。
  • 埼玉県県民部県史編さん室『荒川 人文II -荒川総合調査報告書3-』、埼玉県、1988年3月5日。
  • 清水武甲/千嶋寿編集『ふるさと思い出写真集 明治大正昭和 秩父』、国書刊行会、1983年11月28日。

外部リンク

座標: 北緯35度56分12秒 東経138度56分58.9秒 / 北緯35.93667度 東経138.949694度 / 35.93667; 138.949694